「
灼き過ぎて 皮膚のただれの 若き夏 黄色でよかれ 白なら皮膚癌」、「焼き加減 計算づくの おっとっと たまには混じる 出来そこないは」、「また出たね 新シリーズの おっとっと 2箱買って 種類を並べ」、「百円で 買えぬよごめん おっとっと 安く買うには ミニ袋入り」

森永成果のスナック菓子『おっとっと』は筆者の知る限り、スーパー3、4軒に1軒ほどしか売っておらず、しかも売られていない月のほうが圧倒的に多い。それで新シリーズを見かければ買うことにしているが、スーパーによって価格はわずかに異なり、少し高いかと思えば別のスーパーで探す。ところが前述のように商品を見かける機会は少ない。それに今回気づいたが、どの店でも似た価格で、また一箱百円では買えない。消費税のために数円は超える。お小遣いに100円玉をもらう子どもは買えないのでどうにかならないかと思うが、消費税は一律であるので、子ども用のお菓子だけ割り引くことはない。『おっとっと』は箱入り以外に袋入りもある。これは小さな袋が縦方向に7,8個つながった状態で売られ、一袋ずつ切り離すことが出来る。小学生向きというより、数歳の幼児向きだろう。またその小さな袋をたくさん詰め込んだ横長の大きな袋もあって、同様の販売方法は他の菓子や他のメーカーの有名商品でも行なわれている。筆者が買う『おっとっと』は新たに見かけたシリーズに限るが、ひょっとすれば今回の商品はこれまで投稿して来たものとだぶっているかという気がしないでもない。早速調べると思い過ごしで、以前売られたシリーズの再販ではなく、定期的に新たな種類を組み合わせ、そのたびにパッケージのイラストも変えている。ただし必ず2種類の箱が用意される。それで筆者はいつもイラストが異なる2種を買い、中に入っている計4袋を調べて箱側面のイラストにある動物が全部そろっているかどうかを確認する。それはなかなか面倒で、買った箱をすぐには開けない。ところが開けて調べ始めると興に乗り、一部が欠けているものを口に放り込みながら次々に選り分ける。1袋目を調べる時間は4袋目の倍は要する。4袋目となると動物の型を覚えているので、型はすぐに見分けがつく。今回は緑と黄色で塗り分けられたパッケージをまず見つけたが「コンソメ味」の表示が目に入り、その日は買わなかった。1週間ほどして今度はいつもの赤い箱の「うすしお味」を別の店で見つけ、2種類を買った。それで満足すればいいのに、また別の店で「コンソメ味」を見つけ、買うことにした。箱の側面の賞味期限を見ると「コンソメ味」は6月、赤箱は10月になっている。「コンソメ味」が先に売られたであろう。これは「ありがとう40周年」の表示がイラストの上部にあって、赤箱ではそれがちょうど
1年前にあったことが筆者の投稿からわかる。となれば賞味期限の印字が製造日から何か月先かによるが、今回の「コンソメ味」はかなり古い商品か。

「コンソメ味」は「陸の動物ずかん」と題し、2種類の箱を西日本版と東日本版に分けている。これは中に入っている菓子の動物の種類を東西に分けているのではく、箱のイラストを東西の動物園に飼われる動物から選んで描き分けている。箱の側面はいちおう東西の動物から選んだ8種の菓子の写真をそれぞれ載せているが、その下に「いつものなかまたち全13種 ぜんぶで29種類」の表示があって、東日本版を買っても西日本の動物が含まれ、その逆も言える。それはともかく29種類はかなり多く、2箱を買ってその全種が入っていることは考えにくい。そう思いながら4袋を次々に破って調べると、今日の最初の写真が示すように、左の皿の「いつものなかま」は13種が揃っているものの、「全部で29種」から13を差し引いた16種の右の皿に並べた「陸の動物」は、最上段の右から2番目と2段目の右端の2種が含まれていなかった。箱側面の写真からそれが東日本の足立区生物園の「ヘラクレスオオカブト」と東武動物園の「マレーバク」であることがわかる。なお筆者は右皿の動物を縦半分に分け、左が西日本、右を東日本としたが、結果として東日本の2種が得られなかった。次に赤箱は「今回は最強のいきもの大集合」と銘打たれ、学研の図鑑と提携している。「いつもの仲間」は10種、「最強のいきもの」は11種で、写りが悪いが3枚目の写真が示すように全部揃っていた。「コンソメ味」では「いつもの仲間」は野菜やそれを育てる道具、あひるやうさぎが選ばれているのに対し、「うすしお味」ではすべて海の動物となっている。どちらの「いつもの仲間」も完成度が高く、筆者は特に前者では三連の瓢箪のような形をしたエンドウマメ、後者ではイカを好む。この1種のみ入っている商品を販売してもよいと思うほどで、その場合、「おっとっと エンドウマメの マメなこと」、「おっとっと いかにもイカは いかものぞ」といった洒落の副題をつけてほしい。今ネット検索で知ったが、『おっとっと』にはエンドウマメを使った袋入り商品があるらしい。菓子の型は「いつもの仲間」を使い、それらをふっくらと膨らますことなく、堅焼きにして二次元になっている。その箱入りがあれば買うのだが、筆者は袋入りまでは手を出さないことにしている。新シリーズごとに「いつもの仲間」とは違って複雑な型の動物を採用しているが、どれもその複雑さは面白いものの、名前の表示と見比べなければ何の動物を象ったかはわかりにくい。そのために完成度は高くならない。またこれら複雑な型は焼く過程で破損しやすいのではないだろうか。とはいえ小さな菓子をひとつずつ検査することは無理で、製造工程で割れないぎりぎりを狙って型の複雑さを考えているだろう。またある動物に似ていなくても、それはそれで購入者は文句をひとりごとしながら楽しめる。

次々に新型を作り、もうアイデアは枯渇したと思うが、そうなれば元に戻って「いつもの仲間たち」ばかりの商品を売ればよい。あるいは前述のように1種のみでも面白い。筆者がエンドウマメやイカを好むのはつまみやすいからだ。それを言えばどれもそうだが、特につまんだ時になぜか愉快なのが細長い形で、まあこれは筆者に限るかもしれない。今思いついたが、エンドウマメとイカを形はそのままで10倍ほど大きくしたものを作ればどうか。バリバリと噛み応えがあり、おかきファンには喜ばれるのではないか。おかきやあられ、カステラやどら焼きなどは形の面白さを追求せず、味が勝負だ。形の面白さを狙った菓子は『おっとっと』より古くからあるが、筆者の世代ではあまり馴染みのないグミはさまざまなものを象って視覚の楽しさを追求出来る。焼き菓子は「ゆるキャラ」と同じく全体が丸味を帯び、それが子ども向きの印象を与えやすい。『コアラのマーチ』もそうなっている。そこでは外形はすべて同じで、表面に印刷されるイラストで新シリーズが作られている。同商品が売られ始めた80年代の終わり頃、筆者はその新シリーズを追っていたが、あまりに多くなっていつの間にか興味を失った。その頃のそうした「収集癖」が数年前に『おっとっと』を見かけた時に蘇った。ただし、これもいつまで関心があるかはわからない。『おっとっと』の菓子が好みであれば新シリーズでなくても買うが、筆者は種類を調べた後は菓子にほとんど興味がない。家内は塩味のおかきやせんべい、ポテトチップを好むが、筆者は甘い菓子が好きで、『おっとっと』に砂糖をまぶしたものがあればと思う。その点筆者が小学生の低学年の頃、動物ビスケットは表側にパステルカラーで甘味をコーティングしていた。以前に何度か書いたように、一袋に含まれる全種を調べ、それらを並べて眺める楽しみを筆者は動物ビスケットによって10歳頃に知った。網羅の仕方にも奧深さがある。何を選んで何を除外するかは『おっとっと』でも行なわれている。そこでメンデレーエフが異なる元素を並べ、その表で空白になっている箇所に必ず未発見の元素があると考えた時、すべてを洩れなく網羅出来ることに神の秘密をついに知ったと思って狂喜したのではないだろうか。リンネが植物を網羅し、分類したことは現在も活用されているが、植物の世界は複雑で、ある分類に必ず当てはまるとは限らない。メンデレーエフに強く感化されたロジェ・カイヨワの遊びの分類にもそうしたところがあるだろう。それはともかく、男は集めて分類することが女性以上に好むと見え、女は男にありがちな収集癖を子どもじみていると思うだろう。女は男性経験の記憶を上書きし、男は女性経験を並べて記憶すると言われるが、言い変えれば女は前向き、男は後ろ向きの癖が強いことになる。それが正しいかどうかを研究対象にするのは、網羅分析が好きな男だろう。

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