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2008年02月01日●第 105 話
クリスマス頃に咲くクリスマス・ローズという花があります。マニマンの家にも1鉢もらったのが毎年今頃花を咲かせますが、さっぱり薔薇らしくなく、マニマンは美しいと思ったことがありません。薔薇はやっぱり本物の薔薇でなくてはならないのです。そして、春に咲く薔薇もいいですが、冬の今頃、でっぷり太った雀のような大きな蕾が開花するのを、毎日楽しみながら待つことはもっといいものです。花の乏しい季節の中、真っ白やローズ色の薔薇がひとつだけぽつんと咲こうとしているのは、何とも言えない詩情を感じます。ポール・マッカートニーの「ウィンター・ローズ」という曲のメロディを即座に思い出し、それを内心口ずさみながらマニマンはその横を通り過ぎるのです。きっとその薔薇はマニマンの後ろ姿をじっと見ているはずです。『マニマンさん、もうすぐわたしはしっかりと咲きますよ。まだまだ寒い日が続きますが、わたしはこんな季節に孤独に咲くのが好きなのです。忘れずに見ていてくださいよ。わたしにはマニマンさんが見えていますからね。もちろんそのことをマニマンさんは知っていますが。』
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