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2007年08月10日●第 190 話
用事でマニマンは出かけました。電車に乗った後、徒歩30分ほどです。今年一番の猛暑日ですが、散歩出来ると考えれば楽しいものです。午後4時過ぎでも太陽の傾きはそれほどでもなく、ギラギラと陽射しが照りつけます。マニマンは建物の影を求めながら、大通り道の西側を北上しました。ところどころに家の途切れがありますから、その時はまともに左半身に光が当たります。マニマンは考えました。左半分だけ膨張して格好悪い幽霊みたいになるかもしれず、帰りは同じ道を通って今度は右半身に光を浴びようと。そして帰りはそうしましたが、下り坂なので、駅まではかなり早く着きましたから、結局バランスは取れなかったはずです。その帰り道、マニマンは道沿いに浜木綿(はまゆう)の大きな花がひとつだけ咲いているのを見かけました。海辺でよく見られる花です。本当は水分と風が必要なのでしょうが、大通りの汚れた空気にも強いようです。縮れた白い花弁は幽霊の頭のようです。マニマンもあまりの暑さで幽霊みたいにふらふらと歩いていたところですから、仲間に出会った気分になりました。
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