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2007年07月07日●第 156 話
今日は七夕ですが、どんよりした雲に覆われ、星はひとつも見えません。せっかくの1年に一度の日なのに、マニマンは物足りない思いです。雲がうす赤く染まって見えるのは、街の灯火が反射しているのでしょう。でも、雲の上に無数に散らばる赤い星の輝きによると想像してみます。真っ黒な空間にルビーのような赤い星が点滅しているのです。マニマンは一瞬赤信号だと思って、じっと立ち尽くします。何かが前を通りかかるようです。長い列車です。『銀河鉄道777号だ! はははは、ラッキー・七夕号だな。』 列車が通り過ぎる時、誰も乗っていないと思っていたのに、こちらを向いているマニマンが見えました。マニマンは自分がなぜそこに乗っているのかわからず、向こうのマニマンも同じように不思議そうな顔をしていました。やがて列車は左手を遠くへと去り、赤い星はみるみるうちに少なくなって、真っ暗闇になりました。マニマンは自分の姿が光っていることに気づき、夜明け直前のまだ誰もが眠っているような暗い中をひとりで散歩しているのでした。もう、七夕は過ぎてしまったのです。
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