今朝はこんな夢を見た。
数人のグループが2組あり、それぞれが別の蒸気機関車内部の清掃を上司に相当するような厳格な人から命じられている。1時間か数十分以内といった短い時間制限があって、それが来るとすぐに天皇陛下が乗車するので、徹底して素早く丁寧にやらなければならないと命令されている。それでまず機関車を間近で眺めるが、全体は黒、ところどころに銀色のラインが見えて色合いはとても格好よい。先頭は丸みを帯びていて、日本のものではない。よくアメリカの映画で見るような列車に似ている。その機関車は車庫のような薄暗い内部に静かに停っている。別のグループの人々は存在だけがわかっているが姿が見えず、また機関車もどこにあるのかわからない。つまり、自分たちは自分たちだけで精いっぱいであるので、すぐにでも作業に取りかかろうと筆者はあせっている。にもかかわらず、ある年長者は不機嫌な素振りで、こんな仕事はやらなくてもかまわない、充分に内部は清掃が行き届いていると主張する。それでいつの間にか客室内部にいるのだが、しっかりとした皮張りの、くすんだ緑系水色の座席とそれを縁取る飴色に光った木製部分の連結部分をよく見ると、うっすらと灰色の細かいたばこの灰が付着している。これではやはり駄目だ。すぐに雑巾で車内全体をくまなく掃除すべきだと焦る。それなのに、次の瞬間、筆者は外に出ていて、夜の狭い通路をその機関車は勝手にゆっくりと動き始める。慌てて内部に入ろうとするがどこからも入れない。それに機関車は1台の小型のバス程度に縮んでいて、通路の幅ぎりぎりなので、筆者は壁際にぴったりと張りついて、動くバス型機関車に引っかけられないように身をすくめている。やがてそれは通り過ぎ、すぐにその後を走って追うが、人通りのない夜の街をどんどんと行き、バスとの距離は広がるばかりだった。もし時間内に掃除が完了していないことがわかったらとんでもないことになる。その責任感でおろおろしているのに、強引な先輩格風の人が勝手に機関車を目的地に走らせている。さあ困った、どうしようと不安に陥っている。
すると急に場面が変わり、親類数人と一緒に食堂のようなところでテーブルを囲んで食事しようとしている。テーブルには黄色の布が敷かれ、そのうえに白い紙が置かれて、あちこち点々と20個ほど何やら整然と等間隔に並び、くねくねと蠢くものがある。それは半分は白でもう半分は赤で、海の生物ではあることははっきりしているが、どうやら海老ではない。そしてすぐにそれは蛸の、しかも部分であることがわかる。それをそのまま食べようというのであったが、まるで縮緬ジャコのようにごくごく小さいもので、お腹がいっぱいにはならないから、もっと食べ応えのある大きなサイズのものが出ないかなあなどと話し合っている。そこで目が覚めた。
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機関車を最近見たのは、2か月ほど前、友人が帰るのを見送ったJRの嵯峨嵐山駅だ。トロッコ列車が出発する駅舎のすぐ南の敷地内にあった。数年ぶりにそこを歩いたが、以前はなかったので、その突然に出くわした威容に驚き、しばし立ち止まって眺めた。D51と刻印したプレートがはっきりとわかり、今すぐにでも動かせそうな手入れ状態に思えた。夢で見たのはこの機関車とは種類が違い、置かれていた方向も異なる。筆者の夢では機関車先頭は左に向いていて、その先頭から後方に歩みながら、つまり右の方向に歩きながらじっくりと眺めるのであった。それが夢の中の映像としては最も鮮烈なもののひとつであった。動き出した小型バス機関車は先頭が右を向いていたので、機関車は方向転換したことになるが、夢とはそんな風に辻つまが合わないものだ。それにたいてい夜の場面であって、しかも細部がはっきりと見えることが多い。