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2007年06月05日●第 124 話
先日、マニマンはママーニと一緒に電車に乗って大きな公園に行きました。曇り空で、人出は多くなく、梅雨前の暑くも寒くもない気温でした。展覧会を見た後、午後5時に館の周囲の公園内を少し歩きました。池沿いのレストランは閉まって、さびしい空気が漂っていました。ふと見ると、花壇にオレンジ色のマリーゴールドに混じってサルビアが咲いています。サルビアは紫や白色もありますが、何と言っても赤に限ります。サルビアの花は可憐で、背丈がとても低い草花ですが、そろそろ枯れ始めていました。マニマンはまだ元気のよい花を選び、しゃがみ込んで蟻の視線になって写真を撮りました。蟻は赤いサルビアを見上げて火事になったと勘違いするかもしれません。そんなサルビアの国に迷い込む蟻の生活を、マニマンは何となく楽しそうでうらやましいなと思います。違う色の花の近くに行くたびに、世界ががらりと色変わりして見えますからね。ニンゲンにはそんな幻想的な光景はないです。マニマンは蟻のように小さくなって大きなサルビアの赤い国の中にいることを想像してみるのでした。
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