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2007年05月30日●第 118 話
マニマンは近くの郵便局では用が足せないため、自転車に乗って遠くの郵便局に行きました。5月の晴れ間に自転車で走るのは気持ちがよく、思わず鼻歌が出ます。近頃よく聴いているランディ・ニューマンの曲です。 ♪オー、イエロー・マン、オー、イエロー・マン ♪あんたたちのこと、理解してるよ、わかってるよな…… マニマンは橋の上で向こうから自転車で走って来るひとりの男に気づきました。ふたりの距離はぐんぐん縮まり、それが擦れ違い様にゼロになり、そしてまた距離はぐんぐん広がりました。橋をわたったマニマンは、大きな川沿いを郵便局に急ぎました。ふと対岸の200メートルほど先を見ると、先ほど出会った自転車男が同じように下流に向かっていました。キミドリ色の蛍光色のうすいジャケットが風でふくらみ、公園の緑の中ではっきりと見え続けていました。そのさっそうとした後ろ姿を眺めながら、マニマンは鼻歌の歌詞を変えました。 ♪オー、キミドリマン、オー、キミドリマン ♪あんたのこと、見えているよ、わかってないよな……
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