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2007年05月16日●第 104 話
去年の秋、マニマンは天神さんの縁日の露店でオニグロヤ魔イモを買いました。気になりながらもそれを食べず、小さな裏庭の片隅の雨に濡れない台に置いたままでした。マニマンは眺めてはそろそろ食べようかと思い続けましたが、スーパーで安売りの長芋をよく買うため、また、形の複雑なオニグロヤ魔イモは皮を剥きやすくないので、なかなか食べる機会がありませんでした。昨夜久しぶりに見ると、いつの間にか鬼山芋の先端の細くなった部分から長い蔓が1本伸び出ていました。マニマンは芋のごつごつした部分ばかり見ていて蔓に気づかなかったのか、あるいは蔓が1日で急に伸びたのかもしれません。赤紫色をした蔓は大きな輪を描いて壁にぶつかって方向を変えていました。それを見てマニマンは、山芋が苦しくて早く土に埋めてくれと叫んでいるような気がしました。それで早速庭に穴を掘って、土の中に象のような姿を隠してやろうと思います。そうすれば地面から出た蔓は何かに巻きついて葉を生やすでしょう。そして秋に掘り返して、大きくなっているかどうか確認しようと思います。
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