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2007年05月03日●第 91 話
マニマンの小さな裏庭に長年白い沈丁花が育ち続けていましたが、葉に混じって蜂が毎年巣を作っていたため、枝をバッサリと切り落とした伐採翁マニマンは、今年はわずかな花しか見ることは出来ませんでした。そのため、葉むらの中に蜂は巣を作らず、安心してママーニが洗濯出来ると思っていたのですが、蜂は今度は洗濯場の頭上に巣を作りました。1、2日で巣は出来ますから、油断出来ません。早速マニマンは箒で巣を叩き落としましたが、巣の中に蜂は1匹もおらず、まだ卵を産んでいませんでした。小さな巣を手に取ると、うすい紙で出来ているかのように、あまりにも軽いことに驚きました。蜂は何も悪いことをしていないのに、突然六角部屋の集合住宅を壊されて大迷惑でしょう。ニンゲンに見つかりやすいところに巣を作らなければならないほど、環境が侵されているのかもしれません。蜜蜂とは違って、足長蜂や泥蜂、スズメバチはニンゲンにとって役に立たない、それどころかニンゲンを襲う嫌われ者です。ふとマニマンは、自分も役立たない存在だと思って、内心暗く、いや黒くなるのでした。
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