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2007年05月01日●第 89 話
先日読書していたマニマンは、300年前の遊女にとって口臭のひどい客が一番我慢のならなかったことを知りました。口臭は他人にはよくわかりますが、本人は自覚出来ません。本来、悪臭漂う口から最も近いのが自分の鼻ですが、鼻はきっとひどい臭いで麻痺しているのです。マニマンは歯が丈夫なので、口臭の発生する割合は少ないと思っていますが、胃腸から出る臭いの場合もありますから、油断出来ません。最近、マニマンは公衆の中に今までに最高に臭い口臭に出会いました。展覧会を見ていた時のことです。背後に中年の男女が立って話し始めました。おじさんの口臭があまりにひどく、マニマンは絵を見ずにすぐにその場を離れました。5メートル離れた位置でもまだ臭っていたので、マニマンはついに20メートルほど突っ走りました。あれだけひどい臭いでは、どれほどの人が眉をしかめていることでしょう。口臭にも道徳が必要です。ましてや絵を鑑賞している時であればなおさらで、マニマンには絵の印象よりひどい悪臭を今も思い出してしまうのでした。誰でも持っている口臭は芸術より強力です。
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