扉の隙間から春の嵐の強い風の子どもが絶えず浸入し、ゴトゴトと音を立てる。それが気になり始めると、つい何か詰め物でもしようかと思うが、邪魔くさいのでそのままにしている。
それに、それも季節のものと思えば風流だ。そんな外気の変化が全く部屋から感じられないとすれば、それこそ異常な生活だ。筆者のように近所の散歩か買い物程度しか普段出歩かない身では、そういう音はTVから知る季節の変わり目を実感させてくれる大切な要素と考えればよい。あまり出歩かない筆者だが、昨日は初対面の人と異なる場所で2回会って話を聞き、気疲れしたのか、帰りの電車の中で眠ってしまって2駅乗り過ごした。それはまだ午後2時頃のことで、昔ならそんなことはなかったのに、疲れを感じやすくなっているのだろう。週1回の長文が近頃は毎週1、2日後れて投稿する始末だが、書く内容は常に大量にあるため、なおさらそのうちのどれにするかで迷ってしまい、また忙しいこともあって頭の切り替えが難しいのが遅れる理由だ。そう言えば15日までだったか、税金の申告をしなければならないが、毎年そのために丸2日を要する。しかも今年からは申告場所が自転車では行けない遠方になって、これもやっかいだ。やるべきことはほかにもたくさんあるが、それらをどうにか順にこなしながら、季節はあっと言う間に巡る。頭の中ではメリー・ゴー・ラウンドが急速に大回転して四季のカードがパラパラと高速で変化するイメージを思い浮かべるが、人間、せいぜい数十回転すればおしまいで、そんなに猛スピードで回転することを想像すれば、1秒もかからぬうちに人生の幕が下りる。だが、人生のメリー・ゴー・ラウンドは加速度がついて、年々早くなる。最高速度に至ったところで、ブチッと音を立てて回転は止まるが、停電みたいなものか。そう言えば先日の夜8時に近所一帯が30分ほど停電になって、世界が完全な暗闇になった。ロウソクを探してそれで明かりを取ったが、それもまた乙なものだった。猛烈回転もいいが、時にはそんなドロップアウトな日もあってよい。その停電のことは早速『おにおにっ記3』に書いたものの、それをブログに載せるのは1年もっと先になるだろう。去年4月の日記を毎日こうして載せながら、それがまるで昨日のことのように思えるのは、メリー・ゴー・ラウンドが早く回転して先の回転の画像と今の回転の画像が重なって見えることに似ているからだろう。♪「メリー・ゴー・ラウンド!、メリー・ゴー・ラウンド!、ドゥドゥドゥ・ドゥッドドドゥッドド……」
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2007年04月28日●第 86 話 よく知っている場所でも、普段とは違う視線の高さから見れば、初めて知るような新鮮さがあります。今日マニマンは図書館の前にある植え込みの花の写真を撮る時、地面に顔をつけるほどにしゃがみました。面白い写真が撮れそうな気がしたからです。「キットカット」の黒いチョコをちょこっと食べながらマニマンは半年も前から気になりながら『おにおにっ記』に書かずにいたことを思い出しました。※
●マニマンの思い出しっ記 6 今とは季節が正反対の頃、マニマンは美術館の階上の大窓から、遠くの建物の景色がパノラマ的に見えることに感心し、しばらく眺めわたした後、ある箇所に目を留めました。2キロほど先にある「黒谷」と呼ばれる地域で、そこが臨めることを初めて知りました。黒谷は大きな寺で、何度か境内を散策したことがあります。マニマンは遠くにかすんで見える黒谷がなぜ黒い谷と呼ばれるのかわかりませんが、今でもどことなくひんやりとした雰囲気がありますから、きっとかつて暗くて鬱蒼とした森があったのでしょう。マニマンがその場所になぜか惹かれるのは、マニマンが「黒」の漢字から出来ているからかもしれません。