|
2007年04月17日●第 75 話
今日は寒いです。鴨と七つの子が水路を盛んに泳いでいた日、散歩中の老人たちは鴨の親子を見て、まるで孫の姿を見るような表情でした。きっと孫たちはとっくに手を離れ、老人たちは誰からも相手にされないのでしょう。75歳ほどの男性がマニマンに声をかけて来ました。「あの子どもたちはいったいどこから岸に上がるのやろう?」「いいえ、きっと岸に上がると鳥や獣に襲われるので、かえってこの狭い水路を行ったり来たりしているのが安全と違いますか?」 マニマンはそう答えてすぐ、足元に小さな白い羽がたくさん落ちていることに気づきました。その場所は直径数十センチほどで、よく見ると羽にはきれいな緑色が少し混じっています。どうやら鳩のもののようです。マニマンは答えた後、老人にその場所を指し示しました。「ああ、小鳥が烏か猫かに食べられてしもうたんやな……」 白い小さな羽は風になびき、寒々しい感じがしました。春とはいえ、まだ風は冷たく、じっと立っているとくしゃみが出そうでした。眼下の鴨の親子はそんなことを知らずに泳ぎ続け、苔を盛んに食べていました。
|