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2007年04月15日●第 73 話
堰で絨毯のように溜まった桜の花びらを見つめながらマニマンは思い出します。2日前はそこを鴨の親子が泳ぎ、楽しい光景を見せてくれましたが、今日はたくさん降った雨で絨毯は消え去り、鴨もどこかへ行ったはずです。何事も移り変わります。それが自然でいいのはわかっています。でもマニマンは頭の中にあるたくさんの記憶はどこに流れて行くのだろうと不思議に思います。毎日マニマンはたくさんのことを考えます。そのため、『おにおにっき記』にしても、書いておきたいことが書くことの何倍もあり、溜まって行く一方です。おそらくマニマンの一生を費やしても書き切れません。マニマンは、風に散る桜の花びらと同じ数だけの記憶や、書いておきたいことがある気がしますが、その一方で書いたところで、それは地面に落ちてすぐに土に同化してしまう桜の花びらと同じようにつまらないものだとも思います。でも記憶はまた新たに湧きます。無限なのです。無限は書きとどめられないのです。書かれたことはたまたま運がよく、それが他人の目にとまって読まれることはさらに別な運の作用です。
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