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2007年04月14日●第 72 話
花見散歩中にマニマンがことさら感じたのは風の音です。いつもより風が強かったと言えばそれまでですが、風の音とともに桜が盛んに散るので、なおさらマニマンは風を意識したのでしょう。そして、桜は満開の時よりも散り始めている時の方が美しいと思いました。鴨が泳いでいた水路にはひっきりなしに桜の花びらが静かに流れ、下流の堰では厚い絨毯のように溜まって行きます。それに、マニマンの歩む前方を、風に乗った桜の花びらは、まるで小さな小鳥の精が一斉に転がるように運ばれ、そしてぱたりと止まったりします。大きな桜の木の周囲の地面はうすい桜色に染まり、まるで世の中全体が花が咲いたようです。でも昨夜は強い雨が降りましたから、地面に舞い下りた花びらもはもう土の中に入り始めているでしょう。マニマンは、そんな花びらはいつどのようにしてすっかり消え去ってしまうのか、毎年とても不思議に思います。わずかな量が来年の桜の季節まで残っていてもよさそうなのに、風と雨がすべてを変えてしまいます。それが自然で、それでいいのだとマニマンは改めて思うのでした。
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