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●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その6
さんからコピーしてもらったGRAND WAZOOツアーのカセット・テープを引っ張り出して聴き直してみた。



これは120分テープのB面に「おまけ」として30分ほど入れてもらったもので、72年9月10日と、10月31日からそれぞれ2曲ずつ選んである。「低予算編成オーケストラのための作品/ドッグ・ミート」と「グレッガリー・ペカリー」、「アメリカ・ドリンクス」と「ワカ・ジャワカ」で、「グレッガリー」は先日書いたように、各楽章の演奏前にザッパが物語を語る。また各楽章は楽譜どおりに演奏され、メンバーのソロ・パートは基本的に含まない。この形でツアー当初は演奏し、そして『ZAPPA\WAZOO』収録のように、ソロを含むヴァージョンに発展した。これは『ZAPPA\WAZOO』を改めて聴くと、ザッパ自身が演奏前に「ニュー・ヴァージョン」と断わっていて、そのことからもわかる。また、イギリスのファンジン『T‘MERSHI DUWEEN』のバック・ナンバーもついでに確認したところ、72年10月から12月の大小のワズー・ツアーはほとんどの日の海賊テープが存在している。とはいえ、日によっては20分程度の断片であったりする。肝心の9月24日は、105分のテープが存在し、熱心なファンの間では当時から『ZAPPA\WAZOO』は密かに楽しまれていたことになる。ついでながら、『ZAPPA\WAZOO』では2枚のディスクの演奏時間は51′35″と44′30″で、合計96分は105分よりかなり短い。だが、収録曲はCDの方が最後に1曲多く、ひょっとすればCDは演奏の途中をある程度カットしているかもしれない。あるいは、曲間の休みや拍手部分を省略したために短くなったか。また、これはCDに明記してあるが、ステージでの演奏順どおりに2枚組にはシ収録出来ず、曲順を変えてある。それは1枚目の最後に入っている約12分の「ビッグ・スウィフティ」で、本来は「グレッガリー」の後に演奏された。つまり、「グレッガリー」を挟んで、前後したのだが、CDを聴いていてさほど違和感はない。実際、先のファンジンによれば、9月16日の演奏では「ビッグ・スウィフティ」は「グレッガリー」の前に演奏され、ザッパが本来決めていたオープニング曲「Grand Wazoo(Think It Over)」は「グレッガリー」の次に演奏されたようだ。
●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その6_d0053294_11504159.jpg


●2002年8月8日(木)夜 その4
●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その6_d0053294_11551338.jpg嵐山から北山までは地図上では近いのに、車以外には交通の便がないため、阪急や地下鉄を乗り継いで、かなり遠回りして行く必要がある。幸いにも資料館近くで知り合いの陶芸家の個展があったので、それをついでに見ることにした。彼は同じ場所で個展を毎年しており、ハガキをくれるのだが、行ったためしはない。話していて実に気持ちのよい男で、将来きっと名を挙げるだろう。作品は近年は青白磁ばかりで、当然絵つけはない。造形だけで見せるその作品は図太くかつ繊細だ。ところで、その会場に行くほんの200メートルほど手前の橋のたもと近くにエレキ・ギターなどの中古楽器やLPなどを売る店があった。山本氏との待ち合わせ時間が近いにもかかわらず、ふらりと店内に入った。するとすぐに伏見人形の有名な「饅頭食い」があった。高さ25センチほど。売り物だ。手に取って裏を見ると2900円。安い。六代目丹嘉の陰刻のハンコもある。少なくとも30年は経っている。しかし絵の具の剥落も非常に少ない。埃で顔の白いが汚れているが、これ濡れた綿棒で拭えばよい。今まで伏見人形を集めて来て、この「饅頭食い」と出会うのは初めてで、新京極の例の土産店でも1万数千円はするし、それに数センチ小さい。またつい最近、同じ六代目丹嘉のハンコがあって、しかも筆でサインもした「饅頭食い」がインターネット・オークションに出た。筆者は1万5000円程度まで入札したが、落札できなかった。そういった因縁があった後、偶然見つけた店にふらりと入ると、ただひとつこの人形だけが場違いにも売られていた。2500円にしろと言うとすぐにそうしうてくれた。うきうき気分でそれを抱えて個展会場に行き、そこで10分ほど話をすれば、待ち合わせの時間ぎりぎりとなった。慌てて北山通りを東へ走って行くと、これが思ったよりも距離がある。ぜいぜいしながら着くと、腕組みして山本氏は待ち合わせの場所に仁王立ちになっていた。数分は遅刻した。50半ばの人で、父親が洋画家であったそうだ。そんなこんな話をしながら数十個の鍵が入ったケースを携えた山本氏と収蔵庫に向かった。何度となく、重い扉を開け閉めせねばならないから、泥棒は到底進入できない。クーラーはなく、しかもあたりまえのことながら、普段は真っ暗だ。パチッと電気のスイッチを入れると、無数の人形たちが肩寄せ合ってみな笑っている。それがどこかさびしい。いつも人に見られていたいだろうに、こうして人目に触れる機会はほんのわずかだ。朏コレクションは全部スチールの棚に入っていた。日本全土のみならず、海外の玩具も多少はある。特に戦前の朝鮮や中国の玩具は、もはやここだけでしかまとまっていないだろう。伏見人形よりもっと貴重かもしれない。朝鮮の仮面劇の仮面もいくつかあった。それらは茨木にある国立民族学博物館収蔵の同じ類の新しいものより数段よい。ここで5月19日に観に行った民博での韓国から来た五広大仮面劇の話に脱線したくなるが、それは止めておこう。
 さて、朏コレクションにおける伏見人形は予想したほどには多くはなかった。それでも他府県の郷土玩具は戦前のものが中心であるので見応えがある。古賀人形のコーナーには伏寓舎のものより明らかに古いフクロウ笛がついくつもあった。他にはこう(さんずいにエに島だが、ワープロにはない)ノ巣の練り物の古いのがずらりとあったり、島根のお宮の朱塗りしていない古いものなど、興味深いものが多々あった。2時間の滞在の間、山本氏はまた来て下さいと2、3度言ったが、半日は取られてしまうだろうから、忙しい学芸員の身分にそう何度もお願いするのも気が引ける。数は多くはないが、朏コレクションの伏見人形とは別にややまとまった寄贈として吉岡観方のコレクションがある。キモノや櫛などの収集で有名だが、伏見人形の江戸期のものが20点ほどだろうか、いずれも優品が朏コレクション以前に入ったらしい。江戸期のものはさすが昭和初期の伏見人形とは貫祿が違う。ましてや土産店で今売っているものとは桁違いによい。一旦その古玩に魅せられると、それにのめり込んでしまいそうになる。筆者のそのひとりかもしれない。吉岡コレクションの伏見人形の中には、200年前に若冲が描いた伏見人形図の中に出て来る「裃姿の座り童子」と全く同じものがあった。それは丹嘉が保存する型にもないもので、おそらく骨董市でももう絶望的に出ないだろう。もし出るとすれば奇跡に近い。それを素手に取って眺めることができた。またこれも同じく今は型が残っていない「鯛抱き童子」もよかった。高さ20数センチで、童子をそのままえびすに変えたものは弘法さんの市でもよく出るし、筆者もそうしたものを買って所有している。ところがだ。実はこの吉岡コレクションのものと同じ人形を6月7日、パルスプラザでの骨董市で見つけて買った。予算を軽く越える価格で、最初から買うことは念頭になかったが、業者と話している間に急速にほしくなった。業者は法隆寺近くに住み、顔は山本氏にそっくり。素人から商売を始めたというが、好感の持てる人であった。その人形はあまりの風格と貫祿のため、誰が見ても古くてよいものだとわかる。実際、他の業者がひっきりなしに訪れては買おうとしてると話していた。それは本当だろう。「業者には売りたくない。どうせ買ってすぐに転売するのは目に見えているし、それにあんたは人形を大事にしてくれそうだし、昔自分も同じように古時計に魅せられてね。頻繁に弘法さん天神さんに通ったことを思い出すわ。おまけとしてこの天神人形と、この古い古賀人形の「阿茶さん」をおまけにつけとくから、よかったら買ってよ。それでも無理強いはしないよ」。そこで決めた。その価格を山本氏に言うと「安いなあ」であった。いや、価格云々より、そうした江戸期の状態のよい品物はめったに市場に出て来ないので、出会うこと自体が儲けものだ。その「鯛抱き童子」は御所人形の影響が濃く、目鼻の描き方は並の才能ではない。肌の白以外は鯛の朱や童子の前かけの赤のみだが、それらは全部焦げ茶に変化している。その焦げ茶っぽいさまざまな赤が、時の経過のみがもたらし得る滋味を漂わせる。その色合いを見ているだけで満足感がある。それにその形。いくら出したかは妻に内緒だが、筆者の所有する伏見人形のベスト3のひとつだ。こうして書いていて、ちらりちらりとその人形に目をやっている。

by uuuzen | 2008-01-13 11:55 | 〇嵐山だより+ザッパ新譜
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