綱わたり的な染色の仕事がようやく一段落することになった。特にここ10日ほどは突貫作業になり、1日も遅れることが出来ないという状態で、計画的に慎重に事を運んだ。
その期間中、もし何か突発的に想定外のことが起こると、3か月かかってやって来たことが全部取り返しがつかないことになり、そういったことが起こらないようにと祈りながらの作業であった。全部自分ひとりがやる仕事とはいえ、一部は外注に出す必要があり、そこで失敗される恐れがある。だがどうにか無事に済んだ。ひとつ予定していたことが実行出来なかったが、そのことについてはまた別の機会に書いてみたいが、そう思っているだけで結局書かないかもしれない。それで簡単に書いておくと、仕事をしてもらうためにある人に電話したところ、全然別のところにつながり、おかしいなと思ってもう一度かけたが、やはり同じ。事情を知ろうと、今日わざわざその人の家に出かけたが、お隣りさんに訊ねると、4、5年前に引越ししたことがわかった。もうそんなに会っていないのかとびっくりしたが、考えればやはりそうだ。遠方に越したので、もう会うことはない。仕事は別の人を探す必要があるが、何だか人生の別れというものをつくづく感じた。確実に時は過ぎており、世の中が動いている。別れがあれば出会いもあるから、そう悲観することもないが、予定していたことが出来なくなり、少し慌てた。だが、どうにかその工程はやらずとも済む。また、気安く話せて気持ちよく引き受けてくれる人が見つかればいいが、今日何か所か心当たりを電話しても、ここ数年で事情が変わって、そう簡単にその工程をやってくれる人がいないようだ。自分でも見よう見真似でどうにか出来ないことはないが、丸1日はかかるし、それにきれいに仕上がらない。ま、そんなことで、ひとつの仕事の区切りがそろそろつきそうで気が楽かと言えば、全然そんなことはない。やりかけの仕事にまた戻って毎日うんうん唸りながら根を詰める必要がある。
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2007年03月25日●第 52 話 学生だったコマニはようやく卒業しました。ママーニは本当に嬉しそうで、雨天でもぜひ式典に出かけようと随分前からマニマンに言っていました。※
●コマニの新生活記 1 <3月24日> ほんまにもう大人なんやから、両親揃って卒業式なんかに来てくれへんでもええのに。式典のホールは学校からかなり遠いし、送迎バスもそんなに本数あれへんから、まさかほんまに来る思えへんがったのに。学校で卒業証書もらって友だちと祝いの場所に行こう思って外へ出たら、すぐ目の前におふくろがいるやんか。それに10メートルほど離れて親父も立ってるやん。びっくりしてひっくり返りそうになったで。両親揃ってやって来たのはぼくとこだけやで。そもそも親が見に来るのも珍しいから、ほんま恥ずかしいわ。おふくろは友だちに声かけて来るし、親父は写真撮りたい言うてカメラ2台も持って来てたし。ま、雨の中やのにやって来て1時間も立って待ったんやから、姿見つけて嬉しいのはわかるけど。両親の良心を見せたいつもりやったんやろな。親父も仕事がものすごい忙しいはずやのに、もう学校の中へ入ることもないからと思ったんやな。