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2007年03月21日●第 48 話
大人になっても長い間、マニマンは土筆を新聞に載る写真でしか知らず、習字用の太い筆ほどの大きさがあると思い込んでいました。本物の土筆を見たのは15年ほど前で、その時佃煮にして食べられることも知りましたが、土筆が売られる様子は見たことがなく、食べたこともありません。佃煮に出来るのはまだ小さな土筆で、マニマンが採って来たものは成長し過ぎて食べられませんが、きっとマルメロ風味が混じっていることでしょう。土筆を撮影した後、すぐに捨てるのが残酷な気がして、テーブルの上に置いていましたが、数時間経ってふと見ると、1本の頭部から濃い緑色の粉がたくさんこぼれていました。抹茶の粉を鮮やかにしたような色です。その毒々しい色にマニマンはどきりとしました。紙で拭き取りましたが、まだまだ出て来ますし、拭き取ったところもなかなか緑色は消えません。「ブルー・パウダー」というブルースのギター・ソロ曲を思い浮かべながらマニマンは想像しました。『この胞子の緑色の粉を庭に蒔けば、来年は土筆だらけになるかな。それで「つくつくっし記」を書こうかなマニ。』
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