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2007年03月18日●第 45 話
マニマンの地元にはお地蔵さんはたくさんいます。8月の下旬にはお地蔵さんを囲んで町内の子どもたちを集め、地蔵盆のお祭りをして子どもたちを守ってくれるようにとみんなでお祈りします。そんなお地蔵さんは、仏師が鑿で彫った立派なものであることはなく、ほとんどどこにでも転がっているような自然石の塊です。マニマンが買い物に行く途中で見かけたお地蔵さんも赤い布を纏っていますが、ごくありふれた石です。それを、汚れを落として清潔な状態にしてあるのを見ることは気持ちがいいです。きちんと世話する人があることの証で、そういう町内には子どもたちを見守る大人の目があります。ですから、実際に子どもたちを守るのはお地蔵さんではなく、お地蔵さんを世話する大人たちと言ってよいのです。それはそうと、マニマンが自転車を停めたのは、祠の扉が少し開いていたことよりも、その奥に見えるお地蔵さんの微笑みを感じたからです。お地蔵さんの顔をハクモクレンのように真っ白に塗ることは珍しくないのですが、実に微笑ましい静かな笑顔が描かれていました。きっと心温かい人が描いたことでしょう。
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