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2007年03月14日●第 41 話
マニマンの家からほど近いところに小さなよろず屋がありました。夜は自動販売機や店の看板の明かりによって、通りを行く人々は安心出来るのでした。マニマンは1か月ほど前から、その店の夜の姿を写真を撮っておこうと考えるようになりました。暗がりの中、いかにもオアシスのような雰囲気があったからです。ところが、2週間ほど前、その店は急に移転し、2日後にはすっかり整地され、空き地になりました。マニマンは思った時に撮っておくべきだったと悔やみました。30年近くも見続けた店は、今ではマニマンの記憶の中にしかありません。マニマンは自分に霊感があるとは思っていませんが、それでも1か月ほど前、なぜ無性に写真を撮っておこうと思ったのか不思議です。きっと店の魂がもう最期であることをマニマンに伝えていたのでしょう。やがてまた家が建つでしょうが、もう自動販売機や看板の明かりを見ることはありません。空き地の前に立って、マニマンは何事も永遠ではないことをつくづく思いました。消えるものがあれば生まれて来るものがあります。世界はこの繰り返しです。
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