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2007年02月24日●第 23 話
マニマンはデカマニの写真を撮った後、それから先の境内には進まず、戻ることにしました。境内の奥には山があって、道は果てしなく続くからです。それで、鳥居を出たばかりの場所でふと左手を見ると、空き地がありました。そこはほとんど誰も足を踏み入れないのですが、高さ1.5メートルほどの台座に乗った大きな石像が見えたので、マニマンはふらふらと誘い込まれました。マニマンはまた思いました。『これはきっと宝珠が呼び寄せたのだマニ。』 石像の前に行くと、どうも奇妙な形をしています。マニマンは狐につままれた気がしてしばらく理解出来ませんでした。全体は左右対称形で、2匹の狐が向かい合っているのはわかるのですが、顔があまりに小さくて、穴の空いた顔を共有した2匹の狐にしか見えないのです。赤いよだれかけをしているのは、お地蔵さんのように思って誰かが着せたのでしょう。しばらく見ていてようやくマニマンは悟りました。2匹の狐は大きな穴状の、つまり「無」の宝珠を掲げているのです。マニマンはその穴からデカマニ石が飛び出したように思いました。
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