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2007年02月17日●第 16 話
マニマンが小さな頃、家に獅子舞いがやって来たことがあります。マミー・ママンは舞い人に少しお金をわたし、マニマンの頭をカパッと噛んでやってほしいと笑顔で言いました。それでマニマンはマミー・ママンに抱かれながら、大きな獅子の口に頭をカパッと噛んでもらいました。50年ほど前のことですが、マニマンはとてもよく覚えています。普通は古いことは忘れるものなのに、古いニンゲンになると古いことをよけいに思い出します。獅子頭を脱いだふたりのお兄さんは、ぺこりとマミー・ママンに会釈して出て行きました。マニマンはそれ以来獅子舞いを町中でほとんど見かけたことがありません。そのため、コマニの頭をパカッと獅子に噛んでもらったことがないのです。これはまずいなとマニマンは思い、次に自分がコマニの頭をパカッと噛んでいる派手な親子喧嘩の姿を想像して苦笑しました。そしてパソコン画面の前に置いてあるミニ獅子にまた気づきました。でもあまりにちんまい鬼子舞いは、古米の一粒を噛むのがやっとですから、コマニの指でつまはじきされて遠くへ飛んで獅子舞います。
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