慌ただしく感じ始めた師走。今日から『おにおにっ記』のファイル8が始る。今後のこのブログの予定を書いておくと、元旦をはさむ年末年始の1週間は『おにおにっ記』は中休みして、長文を綴る予定でいる。
忙しいさなか、それこそ誰も読まないのがよくわかっているが、今年の後半以降、週1回の長文では今まで書き足りなかった分を穴埋めしたい思いがある。で、『おにおにっ記』は自分で言うのも何だが、今回からいよいよ佳境に入って来てそれなりに波乱がある。毎日の「事実」の出来事を綴っているので、佳境というのも変な話だが、生活にも思っていることにも山と谷のリズムがあるから、それがいちおう期限を区切ったこうした物語風日記の中でどのようにうまく当てはめて物語の山場を作り得るか、実際のところ日々それなりに考えてもいて、その思考が佳境的出来事を招き寄せるのだと思う。

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2006年10月15日 ●第 120 話
マニマンはついにひどい発熱をもよおし、20時間ぶっ続けで眠りました。目覚めても39度近い熱で、フラフラのフラフープ状態です。次のような夢を見ました。マニマンは近所を散歩しています。四つ辻で左へ折れました。そこにはいつもの風景がありません。夕暮れ時で、遠い空にはオニオニッビがひとつ浮かんでいます。前には真っ直ぐな道が続き、左は森、右手には無数の石燈籠が等間隔でずっと奥まで立っています。マニマンはおかしいなと思って振り返ると、見慣れた景色です。前方へ100メートルほど行くと、左手の森の道路際にひとりの老人が立っています。「バイサオーだ!」「ふふ、ようやく来たね。マニマン。君はかなり疲れておるようじゃのう。ま、お茶でも一服飲みなされ」「あの、ぼくお金を持っていません」「ふふ、いいんじゃよ。マニマンがお金持ちになるようなことがあれば、その時にいただくことにして、今日はここでゆっくりすればいい」「バイサオーさん、どうもありがとう」 そう言ってマニマンはポロポロ涙を流しました。バイサオーは気づかぬ振りをして煎茶を茶碗に注いでいます。