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2006年09月18日 ●第 93 話
マニマンはオニビシの花を見たことがありません。図鑑によれば8月に白い小さな花を葉のロゼッタの中心にひとつつけます。結局マニマンの庭のバス・タブのオニビシは花を咲かせずに枯れました。もちろんヒメビシも花を咲かせ、その後はどんどん水中で実が育ち始めます。大きくて目立つ花であれば、ヒシはもっと有名になっていたはずですが、ヒシの魅力は葉や実の形にあります。マニマンはカダヤシのような小さな魚になった気分でヒシ池の中を思い浮かべてみます。すると心が落ち着きます。暗く冷たい水の中はまるで森です。底の土から水面へと茎が林立し、無数の毛根が横に張り出しています。そして水温が下がり始める頃、角がついた鬼の首のような実があちこちの茎の柱から大きくなってぶら下がり始めます。緑色や赤い色をしていて、それがまた鬼のように見えます。水上で咲く花は、咲いてはすぐにしぼむため、とても可憐な感じがします。マニマンにはそれが無口で奥床しい田舎娘に思えます。鬼が笑うかもしれませんが、来年はどこかでヒシの花を見て俳句でも作ってみたいと思うのでした。
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