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2006年07月05日 ●第 20 話
ニンゲンが繊維を編むことを見出したのは、月にロケットで行くのと同じほどの大発明です。マニマンは昔夏休みに蚊帳の中で寝たことをよく思い出します。ニンゲンが狭いところに寝て、虫がその外側全部の世界を支配している様子は、虫にかなわないニンゲンの無力を伝えて面白くもありますが、蚊帳の網の目からモスキートは入って来れないと知ったニンゲンにはたいした知恵がありました。それが網戸に発展し、モスキートたちはその外で家の中のおいしい血をたっぷりと持ったニンゲンを見つめて舞うほかありません。ところで前から気になっているのですが、トイレに座るとブーンとモスキートの羽音がひっきりなしに聞こえます。じっと耳を澄まして音の出所を確認すると、天井の片隅の換気扇の蓋の向こうから鳴り響いていました。そして、隙間の向こうの暗闇に何匹ものモスキートが飛んでいるのがはっきりと見えました。でも換気扇の蓋が網戸の役割を考えたデザインになっているのですり抜けることが出来ません。もしそうでなかったら、トイレに座ったままマニマンは柏手ダンスをする羽目になりました。
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