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2006年06月29日 ●第 14 話
マニマンはお玉ですくったボウフラを、バス・タブ脇のコンクリートにこんこんと軽く叩いて落とします。草むらに向けて水を切ると柄が抜けそうになるからです。コンクリート上のボウフラは、わずかな水溜りの中で必死のダンスをしますが、30匹ほどが一斉に踊る様子を見ると、残酷なような面白いような、マニマンとしては強制収容所を監督するナチになった気がします。比較的水の多いところに移動するものがいるかと思えば、反対に水の少ない方に移動し、やがて息絶えるものもいます。どういう理由なのかわかりませんが、まさか自殺したがっているのではないはずです。きっともっと深い水中にいる時と同じように、時々水面に上がって息をする必要があるため、水気のない方向への匍匐前進は、水面浮上と同じ意味なのでしょう。ところが、水深が3、4ミリでは一旦浅瀬に行ってしまうと逆戻り出来ません。水がほとんどなくて泳げないからです。マニマンは15分ほど費やすボウフラすくいを終えた後、地面の水溜りのボウフラ・ダンスをしばし眺め、そしておもむろに箒で全部庭の土に向かって掃いてしまいます。
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