「
職訊かれ サラリーマンと 答えるは 波風立てず 距離を置きたし」、「このままで 終わらぬ吾と 見栄を切り そのまま萎む 還暦過ぎて」、「つながりを 持ちたし人と 距離を置く 稀に見るのが 楽しみゆえに」、「気兼ねなく 話せる人を 指折りて 吾を交えて 十六あるか」

まずは昨日の投稿の続きを書く。税務申告後、午後から家内と病院に行った。担当医から診断を受けた後、1階の会計に行き、支払い額がわかる順序を待っていると筆者に声をかける人があった。近所のSさんで、30年ほどひとり暮らしをしていて筆者より10歳年長だ。筆者は帽子を被り、マスク姿で下を向いて文庫本を読んでいたので、声をかけられてびっくりした。Sさんが筆者とわかった理由はわからないが、まあ全体の雰囲気だろう。Sさんはかなり個性が強く、筆者はめったに話をする機会がないが、去年12月にSさんから相談の電話があって、動きがかなり不自由になって来ているので自治会を脱退したいと言われた。ほかの用事があって数日後にSさん宅で2時間近く話した。ところで、わが自治連合会はコロナ以降毎年数十人ずつ自治会を辞めて行き、3000世帯のうち加入世帯は4割強に低下している。それでは連合会の活動に支障を来すので、なるべく自治会に留まって毎年の会費を支払ってもらわねばならない。それで筆者は早速自治会長に会い、70ないし75歳以上であれば自治会費を半額にするか、組長を担当した翌年は少年補導や体育振興のための補助員になる仕組みから免れる規約に改正してほしいと提案した。すぐに自治会長は動いてくれて筆者の望みどおりになったのはいいが、そのことを当然回覧板で知っているSさんはつい先日、自治会長に自治会を抜ける旨を電話で伝えたと言う。せっかく2時間ほど話したことが功を奏さなかった。Sさんは車を運転して買い物に行くなど、まだ元気なようだが、85まで生きるとは思わなかったと言い、高齢が身に沁みる口調であった。昔Sさんはとても威勢がよく、どんどん仕事して元の大きな家を買い戻すといったことを何度か聞かされたが、結局そうはならずに細々と自営の仕事を続けて生きて来た。Sさんと似た人物に筆者の上の妹の旦那の姉の夫のMがいる。いたと過去形で述べるべきで、Mが最近死んだことを先月妹から聞いた。6,7年前、妹の三男の結婚式でたぶん数年ぶりにMと会って話した。Mは相変わらずのワン・マンぶりで、奧さんが顔を出して話に割り込むと、Mは「お前にはわからん話をしているからあっちへ行け」と激しい口調で言った。筆者のことをかなり一目置いての話で悪い気はしなかったが、それだけMは自分とは別の世界があることを知ったのだろう。筆者はMが30年ほど前に筆者の妹の旦那に、「○○ちゃん、俺はな、今のままでは終わらん男やで。今に見ててや」と筆者の眼前で言ったことを鮮明に覚えている。結局Mは望む大物すなわち金儲けが出来なかった。

筆者のように75になればさまざまな人間を見て来て、どういう人物を見ても値踏み出来ると言いたいところだが、出会う人物は本人の中身に応じてで、興味、関心がなければ傑出した人物と出会ってもそれを幸運とも思わない。しかし凡庸な人でも優れた何かを持っている人に対面すると、あるいは遠目に見るだけでも、そのことを悟る能力がある。それは子どもでも持っている。思い出したので書いておく。先月「風風の湯」で2歳くらいの女の子を連れた若い父親が入湯して来た。髪を長く伸ばしたその子は父にべったりして、しなを作ることをもう知っていて、筆者は男女は生まれながらにして違うことを実感した。筆者が風呂から上がって脱衣場に入った途端、その女子は素っ裸で父にもたれながら筆者に流し目をした。その様子が成人女性のしかも夜の女のようで、筆者は一瞬背筋が冷たくなる気がしてその後は彼女を見ようとしなかった。何が言いたいかと言えば、SさんやMさんの性格は3歳頃に定まり、そのまま老齢を迎えたことだ。Sさん宅で話をした最後にSさんは「日本の国会はアホらしくて見ていられまへんな」と言った。筆者は「自治会レベルです」と応えると、Sさんは『そのとおり』といった表情で大笑いをした。国家を代表する人たちのやり取りが自治会レベル、あるいは3歳児レベルであってもそれは仕方がない。そのことを達観すれば自分はどう生きるかという思い、目的が定まる。結局のところ、何に価値観を置き、日々充実した気分で生きるかだが、誰しもいくつもの組織に属し、その内部での付き合いをまっとうしなければならず、あまりつながりたくない人とも話さねばならない場合はよくある。独立独歩の筆者はひとりでも充分楽しく過ごせるが、話したくない人でも機会があれば相手に入り込もうという気持ちはある。さて、今日の写真について説明しておく。阪急嵐山駅前のコンビニにコピーをとりに行った時、駅前広場で催しの賑わいに気づいた。その時に入手したチラシの画像を最初に掲げておく。広場の南西隅にわが自治連合会の名前が印刷されることを、チラシを家に持ち帰って知った。広場内を2,3分巡っただけだが、連合会の会長の姿があって、その近くで500円でカレーが売られていた。その利益を連合会の収入の足しにするのだろうが、さてどれほど売れたか。コピーが終わってコンビニを出た途端、地元の市会議員が植え込みの石に座って何かを頬張っている姿が見えた。それはカレーだろう。この催しについて筆者は事前に知らされておらず、手伝いをしなかったが、嵐山を訪れる観光客相手に何かを売って収入を得ようとするほどに連合会会長は新たな策を巡らしている。それほどに自治会加入世帯の減少によって連合会の運営が厳しくなっている。それで85歳のSさんに自治会に留まってほしかったが、85になれば筆者も用済みと思い、よけいな出費を控えるかもしれない。

