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●気がかりの解消―古い友禅屏風を修理する
っぱに なった古家を 覚えずと 妻と語るや いつか吾らも」、「縁起よき 物を捨てぬも 病得て 神仏なしと 言いし謝る」、「捨てし物 宝と思い 拾う人 捨てて捨てられ 拾い拾われ」、「縁ありて 一時身近に あることの 連なりこそを 人生と知り」
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気がかりをひとつなくせばふたつ増える。気がかりをなくせば人生に用はなし。しかし増え続ける気がかりにやがて頭が耐えられず、それで認知症となって気が休まるのではないか。還暦までの10数年間、大学に勤務していた家内から聞いた話で、以前にも書いたことがあるが、退職した教授がある日、大学にやって来て「わたしの受け持つ授業がどの教室ですか」と受付に訊ねる場面に出会ったそうだ。事情を知る総務の人がそっとやって来て教授を門の外まで連れて行ったとのことだが、同様のことは珍しくないらしい。学生を前に教えることを長年やって来た人が年齢を理由に仕事を辞めさせられると、自宅ですることがない。それで認知症になって懐かしの大学に出かけるのだが、教授が研究を生き甲斐としているならば、退職しても自宅で読書したり、論文を書いたりと忙しいと筆者は思うのだが、教室で学生に教えることで給料を得ていた先生は、定年後に年金暮らしで好きな研究に没頭することには必ずしもならないようだ。それで本物の研究者と言えるのかどうか。大学の教授という肩書があっても死ぬまで研究に勤しみたい人は少ないのかもしれない。筆者の学生時代、英語の先生は肉体労働者は頭脳労働者より早く力が尽きるという話をしたことがある。力士はだいたい早死にで、スポーツで名を挙げる人はみな20代がピークだ。その後の長い人生を若き日の栄光に浸って過ごすかと言えば、当人たちに訊いてみなければわからない。TVでは現役時代に優秀な成績を残した人はだいたい解説者になっている。それは狭き門で、体育大学の先生として再就職するのも同様だろう。そうした枠からこぼれ落ちた人は専門分野から外れて職を変えるしかないが、もちろん成功するとは限らない。その点、知性を武器に生きて行く人は一生頭が使えると英語の先生は思って意見したのだが、頭も肉体で、老化は訪れ、若い日の熱心さを持続させることが可能とは限らない。そのことを家内の勤務していた大学の先生が身をもって証明している。今年75になる筆者は自分の先が見えているとはほとんど思わず、相変わらず気がかりを増やし続けて暇つぶしに勤しんでいる。それは給料がもらえる、肩書があるといったこととは無縁であるからと思う。これは他者からの評価を期待しないことでもある。『気まぐれ美術館』の著者の洲之内徹がある女性評論家から、「自分が第一の人」と評されたことと筆者は同様ではないかとまま思うことがあるが、「自分の名誉にかけて」という思いがない分、筆者は洲之内とは質が違うだろう。
●気がかりの解消―古い友禅屏風を修理する_d0053294_02154404.jpg 「自分が第一」という表現は少し違ったかもしれないが、その評論家は洲之内を「自己愛に満ちた人である」と批判的に思ったとして、そのことは洲之内の文章の端々から何となく筆者もわかる。その女性評論家がそういうことを書いたのは、洲之内の女性遍歴を思ってのことだ。女性によくもてた洲之内で、洲之内の奧さんが洲之内のことをどう思っていたかは『気まぐれ美術館』に一切出て来ず、その隠し通したところに洲之内の身勝手さを見たのだろう。現実は洲之内の奧さんは彼を自由にさせていただけで、洲之内はそのことに甘えていたと言える。筆者にも似たところがあり、筆者が好き勝手出来ているのはひたすら家内が耐えているからにほかならないが、家内はそのことを他者から同情気味に言われることをひどく嫌う。傍目に耐えているように見え、またそれがかなり真実であっても、自分が好きで、あるいは仕方なくの面がかなり混じってはいるが、自分が選んだ人生であるから、最期まで行くしかないとの思いだ。それは洲之内の奧さんも同じであったはずで、そういう健気な奧さんを見て女性評論家は洲之内を「自分が第一の人」と評した。そこには女と男の間の深い溝がある。女にすれば夫が「自分第一」で生きてもらっては困り、「もっと自分の方を向いてよ」ということなのだろう。筆者はそのことを家内に対してそれなりにしているつもりだが、総じて「自分第一」主義者に見えているだろう。その理由は金にならないのに毎日こうした文章を書き、絶えず何かを考えているような眼差しをしているからで、家内にすれば筆者に立ち入れない部分がきわめて多い。しかしそれはどの夫婦でも似たようなものだろう。前述の大学教授は奧さんを先に亡くしたのかどうか知らないが、奧さんは夫の仕事のどこまでを知っていたろう。研究論文を読み、夫と意見を交わせるほどであったかとなれば、ほとんどの大学の先生の配偶者は相手の研究内容を詳しく知らないのではないか。さて、今日は珍しく早朝に置き、朝8時台に家を出て大和郡山に家内と出かけた。その理由はいくつかあるが、家内には桜を見に行くとだけ伝えた。午前中に郡山城址を見学し、その後JR奈良駅まで歩いた。距離は約10キロで、その初めての道のりを家内に言わなかった。なぜ歩きたかったかはこのブログに二三度書いたことがあり、長年の夢であった。その気がかりをついに実行した。1日で思い立って実行出来るのに、10年近くぐずぐずする。郡山城から奈良駅までの距離以外に数キロは歩いたから、家内は大変な目に遭ったというのが実際のところだろうが、案外そうではなく、困難な道のりも楽しめたと思っている様子も伝わる。歩きたかった理由を家内に言っていない。言っても感心しないはずだが、知らない道を10キロも歩いて奈良駅に着いたという達成感が安堵をもたらしたようだ。
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 その10キロの徒歩は筆者と家内の人生の縮図と言える。家内はそう思っているはずで、確かに筆者は「自分第一」を押し付けながら強引に納得させる身勝手さに家内は呆れながらも、着実に「気がかり」をひとつずつ解消して行く甲斐性に簡単に感嘆している。さて、今日の投稿の題名に関する要約をようやく書く。8,9年前、今日の写真の屏風をネット・オークションで入手した。黒い桟を除いて縦118センチ、横68.5センチで、左右の扇は外れ、屏風の裏はほぼなく、内部もひどい状態であった。どうにか鑑賞出来る状態にしたいと思いながらその気にならなかった。去年秋、まず屏風の裏を修復した。それほど大げさなものではないことは最初の写真からわかる。障子の中張り紙で内部を隠しただけで、蝶番の箇所には別の和紙を三四重に貼っておいた。そのままでは屏風は広げられず、蝶番を仕込む必要がある。それに使える厚い和紙のあまりを思い出した。12年前に伏見人形の飾り馬を自作した際の紙箱に使ったあまりで、ちょうど蝶番を作り得る分があった。蝶番を屏風裏面から交互に貼りつけた状態が最初の写真の右側だ。糊の乾燥を待って蝶番の和紙の半分を屏風のつなぎ目部分から表側に取り出す。その際、去年頑丈に貼りつけた和紙をカッター・ナイフで切り、左右の扇を一旦ばらす。そして表側に引っ張り出した蝶番の、屏風の厚み部分があるので3分の1ほどの幅だが、それを屏風の本紙をナイフでわずかに外した下にくぐらせて糊で密着させる。この行為は本紙を傷める可能性が大で、最も気を遣い、失敗しやすい。本来は本紙を全部外した状態で蝶番を貼るが、屏風の表装の経験のない筆者はそういう大がかりな作業は出来ない。ともかく蝶番の全部を本紙の左右の下部に交互に挿入して糊づけし、屏風を閉じた状態で1日置いた。翌日屏風をゆっくり広げると、筆者なりの完璧な状態で蝶番は仕上がっていたが、次の問題は開く箇所に劣化箇所が目立つことだ。これは同じ色合いの染料を調合して筆で修復するが、その作業は専門なのでいつでも出来る。また屏風の裏は全体を和紙か布地で覆う必要があるが、それには桟を外さねばならず、また先の気がかりとなった。たぶん二三年、あるいはもっと長年そのままになる気がしている。この屏風を買ったのはとても安価で会ったからだ。筆者が落札せねばゴミになっていた。さして好きな絵柄でもないが、友禅屏風なので買った。おそらく江戸末期のもので、元は女性の黒留の下半分だ。京友禅らしく刺繍が併用され、松竹梅に椿、そして鯉の滝昇りだ。「昇鯉」は「勝利」に通じ、縁起のよい絵模様だ。糸目は繊細で、当時かなり高額で誂えたもののはず、屏風に仕立てたのはキモノを手放したくなかったからだろう。友禅染が絵画と関係が深いことがこの屏風からわかるし、絵柄は幸野楳嶺をどこか思わせ、現在の京都市立芸術大学の源流に位置する。

by uuuzen | 2026-03-29 23:59 | ●新・嵐山だより
●「桜咲く さくさくと咲く 咲... >> << ●立体シールの「ぷよぷよ桃尻」

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