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●大阪難波ベアーズにて、『チャップマン・スティック4台の饗演』森元暢之紙芝居一座
出来と 言われて凹む 自尊心 吾実力は 凡人知らぬ」、「どこへでも 呼ばれやります 紙芝居 シュールシュルシュル 出前一丁」、「スティックの 音色刺さるや 語りの間 神の芝居を 紙芝居模す」、「森厳な 調子の中に 笑いあり 真の幻聴 獅子恣意移置坐」
 ●大阪難波ベアーズにて、『チャップマン・スティック4台の饗演』森元暢之紙芝居一座_d0053294_17284490.jpg
先月18日、難波のベアーズでのライヴで二番目に出演したのは、意外なことに紙芝居であった。その語り手の脇にもうひとりの男性が立ってチャップマン・スティックで伴奏した。ふたりの息はよく合い、これまで何度も共演していることがわかった。金森幹夫さんから紙芝居の演者を紹介してもらったが、筆者は客席、相手は舞台にいて、互いに笑顔を交わすだけで話さず、そのため筆者は彼の名前を記憶しなかった。金森さんにメールすれば詳しい情報が得られるが、今日はライヴで感じたことを書く。チラシには「森元暢之紙芝居一座」とある。紙芝居の演者の名前が「森元暢之(もりもと のぶゆき)」か「森元暢(もり もとのぶ)」なのか、どちらかわからない。前者は音読みすると「しんげんちょうし(森厳調子)」となり、後者は「しんげんちょう(真幻聴)」となる。それで今日の冒頭短歌の四首目を作ったが、「之紙芝居一座」の音読みを「獅子恣意移置坐」に置き換えた。それはともかく「森元暢之紙芝居一座」における「之」が「の」なのか、名前の「ゆき」なのかがわからないゆえ、「英国“濁点”紳士」さんの場合と同じく名前の音読み遊びをしてみた。たぶん「森元」さんと思うが、それならば「森本」が普通で、「もりもと」さんと呼ぶのが正しいかどうか自信がなく、ここではMさんとしておく。一方、スティック奏者の名前もわからないが、Sさんとしよう。彼の演奏はMさんの話し言葉を邪魔しないような音量で、絶妙な間を捉えてしかるべき効果音を奏でた。F.H.C.のかさいさんのスティックとは違ってディストーションを効かせたスペイシーな音色で、こういう音も出せるのかと意外に感じた。同じような音色はスティール・ギターが得意とするが、胸に抱きかかえて奏でる楽器ゆえに運搬は手軽で、演奏場所を取らないのでよい。紙芝居は絵の裏側に語るべき言葉を記し、それを読めば間違わないので、絵と文章の双方の才能があれば誰でも演者になれる。しかしどのように抑揚をつけて観客を物語に引き込むか。これは物語の起承転結はもちろんのこと、話ぶりや身振り、どの箇所を強調するかなど、いわば朗読を超えた俳優並みの技術を必要とする。さらには聴き手が物語の世界に入りやすいような声の質が最も重要と言ってもよい。語りは声の質が命で、これはアナウンサーと言う職業でも常識だ。その点、Mさんの声はとても艶があり、それは天性のものゆえに誰も真似が出来ない。つまり自作自演の最も観客を魅する能力をMは持っている。彼の経歴はわからないが、後述するようにお好み焼きの物語があるところ、大阪出身か。
 Mさんは3編の紙芝居を披露した。一編辺り数十枚の束で、分厚い紙であるからかなり嵩張る。どの紙芝居もこれまで各地で上演して来たらしく、紙の周囲は使い古した丸みを帯びていた。長編気味と比較的短編が混じり、またMさんの好みもあって頻繁に上演する物語とそうではないものがあるだろうが、Sさんと完全に息が合うほどに場数を踏んでいるはずだ。Sさんはどの場面でどの音を奏でるかを記憶しているはずで、Sさんの即興的持ち味はMさんのその日の気分の声の出し方に応じるだろう。Mさんは紙の裏側に書かれた言葉を読むとはいえ、言葉を足したり逆に引くこともあろうし、早めに読んだりゆっくり読んだりすることもあろうから、Sさんはそれに合わせる即興演奏のスリルを常に予感しているだろう。その絶妙の「間」が紙芝居全体を緊張感のあるものに仕立て上げている。つまりフレキシブル性が持ち味だ。その点では同じ曲を同じように演奏するF.H.C.やレザニモヲとは違ったゆるやかさがある。ただしそのゆるやかは弛緩したという欠点的な意味ではない。Mさんの物語と話しぶりは聴き手に次の展開を期待させ、その意味では音楽と同じで、音楽と物語が近いジャンルであることを気づかせつつ、音楽は言葉を用いることで初めて意味を持つことを再認識させる。昨日はF.H.C.の曲は映像音楽のようだと書いた。彼らの音楽が歌詞を伴なえば新たな視野が広がるかどうかだが、どのような歌詞がふさわしいか筆者には想像出来ない。半ば意味不明の歌詞を持てば却って彼らの音楽は幅を狭めて台無しになる気がするからだ。とすればMさんとSさんは朗読と伴奏でどのような世界を表現したいのかという問いの答えを見出さねばならない。当夜の最初の紙芝居の演目が終わった後だったか、金森さんが「ベアーズ向きや」と笑いながら野次った。それを説明すれば、「アングラ紙芝居」が妥当だろう。筆者はMさんの絵を見ながら語りを聞いていると、昭和の漫画雑誌の『ガロ』を思い出した。Mさんの絵は決して上手ではない。むしろ子どもが描いたような下手さで、もう少しましな絵を描いてほしいが、さりとてイラストの勉強を本格的にしていないであろうことが、どのイラストレーターや漫画家にも画風が似ておらず、それが持ち味になっていると言える。そのように好意的に思うしかないが、どの絵も下手さ加減が笑いに通じていて、実際笑いはよく起こった。深刻ぶらない語りがMさんの紙芝居の持ち味で、漫画のコマ絵を用いた落語に近い。逆に言えば新作落語に漫画の要素を加えたもので、そう考えると楽器の伴奏を自ら行ないながら新作落語を提供した文珍を連想させる。Mさんがどういう経緯で紙芝居をやるようになったかはわからないが、童話作家、朗読家、漫談家、落語家などの境界に位置した紙芝居家を思えばよい。それを受容するライヴ・ハウスがあることは大阪の懐の深さか。
 先に『ガロ』を持ち出したが、その雑誌を近所の兄さんたちから2,3冊見せられただけで、掲載される漫画に感心したことはない。小中学生が読む漫画とは明らかに違って、絵も言葉も都会の片隅の空虚さを誇張したように思え、筆者より上の世代の孤独感が伝わった。それは現実感と言い変えてよい。青年になればそうした寄る辺ない空気を肌で感ずるようになるのかと思ったものだが、筆者は『ガロ』の読者にはならず、古典の小説を読むようになった。MさんもSさんもたぶん金森さんと同世代で、筆者より一回りよりもっと年下と思うが、『ガロ』で表現された昭和日本の「アングラ」ムードは絶滅せず、今も都会を棲家とする一部の表現者には引き継がれているはずだ。金森さん曰く、その代表例の表現者が地下の穴倉のようなライヴ・ハウスのベアーズに集い、同類の会場が全国に点在しているだろう。さて、Mさんの演目はどれも完全に語りが聴き取れず、また題名もわからないが、以下に簡単に記す。最初のものは少年とその父か叔父の対話で、公園の奧か、ふたりで森に行く。そこに湖があって少年が石を投げて遊び、孤独でも楽しいという思いで物語が締めくくられた。二つ目の演目では大阪らしく、お好み屋での物語だ。この演目が3つのうちで最も長く、また笑いをよく誘った。青年がひとりで豚玉を注文して自分で焼いていると、きれいな女性がやって来て一緒に焼いて食べないかと誘う。そして青年の分と合わせてふたりで一緒に大きなハート型を作って焼くが、女性が持つ「コテ」の先端はフォークのような歯となっている。最後はどういう理由かは忘れたが、女性はお好み屋から消え、ひとり残された青年の失恋物語となる。三つ目はアルバイト帰りの青年が夕焼け空の下、道端で見知らぬ小動物を拾ってアパートに帰ると、その生き物は青年にキスをして役目を果たしたとばかりに夕焼け空に鳩とともに去る。その謎めいたペット動物は何万光年の彼方からやって来て、キスの相手を人間に見つけることだけが目的であったことを青年は知る。どの物語も超現実主義志向で、愛情を求めながらも孤独に充足するしかない現代社会の若者の姿を描いている。その点で『ガロ』を想起させたのだが、Mさんの紙芝居が仮にTVで取り上げられ、全国的な人気を博して暮らしが多忙きわまりないもの、すなわちメジャーな存在になるとして、Mさんの描く絵と紡ぐ物語が変質するだろうか。それは誰にもわからないが、メジャーなアイドルに万単位の数で群がるファンは、Mさんの物語に登場する青年と区別がつかないのではないか。孤独ゆえに大多数の観客のひとりとなって夢心地に浸りたい。あるいは誰とも群れずにベアーズのようなライヴ・ハウスに足を運ぶ。表現者はどうかと言えば、わずかでも客がいれば上演のし甲斐はあろうし、そのわずかな客の中にたとえば筆者のように感じたことをネットに載せる者もいる。

by uuuzen | 2024-06-08 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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