「
万年も 生きてまんねん かめへんで 亀とすっぽん ちゃいまんねんで」、「シルバーの 上の世代は ゴールドか 金髪染めの 中年痛し」、「醜きや ミニのクッキー 不評かな 思い返せば いつでも不況」、「新しき スタンプ・カード 2枚手に 妻と帰るや 満月の道」

「風風の湯」のフロントはいつも3人はいるが、新しい人が入って来たと思ってそのうち顔馴染みになって訊ねると、ホテル花伝抄から臨時で派遣されたということをよく聞く。しかしそのうち「風風の湯」での勤務が専門になる人がある。2,3か月前にフロントによくいるようになった50歳くらいの女性は愛想がよく、先日家内より先に上がって脱衣箱の鍵を下足箱の鍵と交換してもらう際、筆者の聞き間違いか、彼女は小声で「大山さん、素敵」と半ば感心した口調で言った。湯から上がったばかりでさっぱりしていたからだろう。帰宅してそのことを家内に言うと大笑いした。それはさておき、以前少し触れた嵯峨美大の女性をその後7月5日のMIHO MUSEUMの内覧会に誘ったが、前回と違って反応は鈍かった。彼女とふたりで行こうというのではなく、家内も一緒で、また食事は奢るので、美術を学んでいる学生にはいい機会と思うのだが、日時のつごうがつかないのだろう。あるいは高齢者の誘いを迷惑がっているかもしれない。そう思うのがまともということを自覚しているが、彼女と個人的に親しくしたいという考えは毛頭ない。そういう魅力を持つにはあまりに若過ぎるうえ、まだ知識らしいものを彼女は何も持っておらず、美術に関して話は出来そうにない。先日嵯峨のスーパーに家内と買い物に行った時、筆者が外で待っていると彼女が偶然やって来た。学校からの帰りに食材を買うためだ。出入口の前で数分立ち話をしたが、お互い話の切り上げの機会がつかめず、筆者は彼女が背負っているリュックの下端にぶら下がっているマスコットの小さな縫いぐるみに気づいて触れた。彼女は横を向いたまま筆者のさせるがままにし、また嬉し恥ずかしいといった表情をし続けた。大人になればそういう目立つ飾りはつけないが、20歳になるかならない彼女はまだそうではないのだ。以前「風風の湯」のフロントで筆者が彼女と話している時に85Mさんの奥さんが上がって来て、こう言った。「彼女、すっかり大人っぽくなったと思わない?」確かにそうなのだろう。しかし筆者はそういう目では見ない。彼女の絵に対する関心と表現力に興味があるだけだ。専攻を訊くと、油彩と銅版画とのことだ。それならいくらでも話すことがあるが、彼女にすれば大学で学んでいるからには筆者に関心はない。それに男子学生が輝かしく見える年齢だ。先日は彼女と松山から訪れた母親が湯舟に浸かっているところを家内が目撃した。夏休みでもあるせいか、彼女をあまり見かけなくなっている。大学で卒業制作展があれば嵯峨のスーパーへの買い物ついでに出かけたいと思っている。
