「
遠い場所 向かって歩み もう間近 通り過ぎれば 新たに遠き」、「酒の席 話弾めば 楽しくも 無言で座る 達磨も混じり」、「食よりも 会話味わう 直会は 人柄晒す 場所と自覚し」、「思惑が 外れて苦き 酒の味 次の手想い 熱燗ごくり」学区50周年記念が無事終わったことに対して、編集委員たちをねぎらう懇親会が5日前の夜、松尾の桂川を1.5キロほど下った土手沿いの店で開かれた。同店は体育振興委員会が毎年小学校で行なわれる学区民体育祭の打ち上げに使っている。筆者は昔自治会長をしていた頃に参加したことがある。その頃は自治連合会会長が市会議員数人を目立つように中央の席に座らせていた。出席者は3000円程度を会費として支払っていたが、その後連合会の会長や体育振興委員長が変わり、議員を呼ばず、参加は無料となった。今回出席の可否を伝える文書が届いた時、「参加無料」と断ってあったので手ぶらで出かけたが、毎年の学区民体育祭では平安講社の代表は5000円の金一封を当日の連合会のテントに持参するのが習わしであることを筆者は前任の代表から聞いていた。「風風の湯」で今年よく話すようになった太秦のMさんにそのことを先日話題にすると、彼は京都ではそうした会合では無料と記されていても5000円程度は包むのが常識で、会費が明記されていればその倍の額は持参するのがよいと言われた。平安講社の前の代表は、「大山さんの思うようにしたらいい」と、金一封を必ず届ける必要のないことを言ってくれたが、さてどちらの考えにしたがうべきかと悩んだ。体育振興委員は連合会の他の下部団体の中では少年補導委員と並んで活動内容が多く、連合会からはどちらも毎年数十万円の予算をもらい、しかも前者は後者の倍ほどの金額だ。それで学区で最も勢力を持っているのは、連合会の会長ではあるが、実質的には体育振興委員長といってよいところがある。それで50周年記念事業でもそうなった。編集委員として校長や教頭、PTA会長以外に他の各種団体長が参加はしても、平安講社のように3名しかおらず、しかも実質の活動は筆者ひとりで行なっているのでは存在感は薄い。それが理由でもないが、体育振興委員が中心となる行事に出席する際には金一封のお祝い金を持参するのが暗黙の礼儀となっている。あるいはなって来た。事業のひとまずの打ち上げに料理屋で飲食するのであるから、その参加費と思えば5000円は当然で、またMさんが言うようにお祝いを表明するにはその倍の金額を包むのが大人というものだろう。しかし今回は体育祭の打ち上げではなく、50周年記念事業に携わった人たちが対象の懇親会だ。不参加でもよいかと思っていたが、各種団体の長の大半を筆者は知っていて、緊張する場ではない。それに学区では目立った人物の多くが集まる会で、来年の時代祭のために早速動く必要があるので行くことに決めた。家からは筆者の早足で30分かかる。
結局金一封は包まなかった。
「その3」に書いたように、ボランティアとして毎月動き、また記念誌のために時間を取られている最中で、祝い金を差し出す必要はないと考えた。早い目に料理屋に着いたが、誰も金一封の包みを連合会会長や体育振興委員長に差し出している者はいなかった。後で陰口を叩かれるかもしれないが、その時はその時だ。「風風の湯」のサウナ室で嵯峨のFさんに相談すると、「無料と書いてあるのに持って行く必要はあらへんがな」との明快な意見だ。京都生まれの人がそう言うからにはそれにしたがう。さて、川魚料理屋として昔から有名な店だが、すきやきを出す。今回はひとつの鍋に5,6人が囲み、鍋の数は6つあった。誰がどこに座るかは決められていなかったが、連合会の会長や校長、体育振興委員長といった中心人物は中央に陣取り、筆者は端に座った。乾杯の音頭は筆者と同じ年齢の少年補導委員長がとった。筆者の鍋席の他の4人のうち、よく知るのは高齢女性ひとりで、3人は名前を知らない。40歳くらいの女性が隣りに座り、顔に見覚えがあると思っていると、彼女は驚いた顔をして筆者にこう言った。「4,5年前にこの店でお会いしましたが、全然変わりませんね!」年齢の割りに若く見えることで、素直に喜んでいいだろう。彼女は警官で、体育振興委員と少年補導委員のどちらにも所属している。確かに体育会系の雰囲気は強く、学区のさまざまな行事に顔出ししていることは見上げたものだが、50周年記念事業の会議では見かけなかった。それが不思議だが、それを言えば同じ鍋席の名前の知らない男性ふたりもそうだ。彼らは筆者の目の前で婦人警官と話が弾み、スマホのLINEでやり取りするなど、筆者はほとんど黙って食べて飲んだ。酒を注ぎに回ることは昔から嫌いで、今回もしなかった。ただし、来年の時代祭に裃姿で歩いてもらいたい人がいて、その席に行って話をすると、「わたしは大山さんのように優雅な暮らしをしていませんからなあ。働かなあきまへんねん」と皮肉を言われ、言葉を返さなかった。筆者はわずかな年金で暮らしているが、優雅に見えるとすればそれは褒め言葉と思っておこう。2時間の宴会の最後に体育振興委員長は予算が少々あまったので、3名に2000円ずつをじゃんけんで配ると言った。筆者は最後まで勝ち抜き、2000円をもらった。本来なら若い世代に譲ってじゃんけんに参加すべきではないのだろうが、まあ懇親のお遊びの一貫だ。あまった予算は連合会からの毎年の体育振興委員に提供されるもので、50周年記念事業のそれではない。それにしてもその事業の決算報告は本年度内に行なわれるのだろうか。50周年記念事業は今年限りの特別の事業で、誰が責任者かよくわからないところがある。今夜の会もそうだが、同じ料理屋での学区民体育祭の打ち上げ会は100人以上が集まると聞く。