「
神様を 祀る社は 文化なり 人は誰でも 神になり得り」、「百年や 二百年では 誇られず 千年超える 京都にいては」、「新しき 血を交えれば 硬化せず 人は心の 門を開けおき」、「仮装して 時代まつりの 行列は ハロウィーンより 一足早く」
今日時代祭りが無事終わった。今日は朝7時に筆者宅で裃の着付けが終わった直後に撮った写真をまず載せる。コロナの心配はまだあり、ふたりともマスクをしている。顔がよくわからないのでブログに載せてもいいだろう。2枚目は同じふたりが京都御苑に着いた8時過ぎのもので、今度は比較的小さく写るのでこれもいいと判断する。背後に同じ姿の人が床几に座っているが、裃隊は西京区全体で40名ほどだ。わが自治連合会は裃着用者はずっとひとりであったが、今春に一着新調し、二名が参加することになって、他の自治連合会並みとなった。西京区は第十一社で、右京区から分かれて15年ほどした経っていない。その詳しい話を筆者はほとんど知らない。わが自治連合会で平安講社の代表を最初に務めたのはAさんで、子どもがおらず老夫婦のふたり住まいであった。筆者が自治会長をしている時にAさん宅に毎年平安神宮の節分会で燃やす焚き木とその代金を持参したので、Aさん夫婦とは顔馴染であった。筆者が会長を辞めた後、たまに自転車に乗ったAさんと出会い、Aさんは何か言いたそうな顔をいつもしたのが印象的であった。奥さんとどちらが先に亡くなったのか知らないが、滋賀に住む甥が後始末をしたと聞く。今にして思えばAさんは若手では筆者に目が行き、いずれ平安講社の代表になってほしかったのではないか。勝手な想像に過ぎないが、何となくAさんとは心が通じていたように思う。それでAさんが亡くなって何年も経って筆者に話が来たが、Aさんを思い出して引き受けることにした。しかし話はそう単純ではない。それはともかく、第十一社の古くからの代表格のひとりのKさんが昨日の夕方に電話をかけて来た。今すぐに今年の担当学区の小学校の講堂に来いと言う。しかも剣幕だ。筆者は意味がわからぬまま、桂川右岸の土手を灯りを点けて自転車を最大の速度で走らせ、15分後に講堂に着いた。Kさんは講堂で待っていて、「明日はここで裃のふたりが着替えをしてください」と奇妙なことを言う。筆者は「以前、自前で着付けしてくださいと言われましたので、ネットの映像をみながら何度も練習し、明日はわが家でぼくが着付けをします。それからふたりを直接御所に連れて行きます。」自前で着付けしてほしいことを数か月前にKさんから言われたのであるから、筆者は時代祭りの前日に担当学区の小学校講堂に行く必要はなかった。Kさんは第十一社全体を管轄していて、どの学区が裃の着付けに自前でやるか、あるいは専門家の手助けが必要なのかは明確に覚えていなかったのだろう。Kさんは思い出したようで、筆者はすぐにまた土手を走って家に戻った。
腹立たしかったのは言うまでもないが、まあ誰しも覚え間違いはある。しかし去年筆者が担当学区の講堂で専門家に着付けをしてもらったことが今年も可能であれば、なぜKさんはそのことを渋ったのであろう。お盆以降、筆者は家内をモデルにして何度か裃の着付けの稽古をした。それはそれで楽しかったので文句はないし、また第十一社の半分の自治連合会は自前で着付けして直接御所に行っているので、他人の世話にならずに自分で出来るのが一番よい。去年筆者が担当学区の小学校講堂に入ったのは早朝6時少し過ぎで、一番乗りであった。そして着付けしてもらうのに2時間近く手持ち無沙汰で待った。車で小学校まで送り届けてもらったからいいものの、今年からは車の運転が出来ない筆者が代表で、どの方法で講堂に行くかの問題もあった。しかし幸いなことに今日の最初の写真では左のF2さんのお嫁さんの母親に、気安く車での送迎を承諾していただいた。ついでながら紫色の旗を広げるのが自治会長のF1さんで、彼は運転出来ない。送迎にタクシーを使えばいいようなものだが、朝にそれを手配するのはかなり面倒で、またタクシー代を自治連合会の会長に催促するのが気が引けるし、筆者の負担ではアホらしい。このように細々とした問題があって、結局は人に頭を下げて快い返事をもらうしかない。担当学区まで着付けしてもらいに行かないこと利点は、着付け開始が朝7時でも充分間に合うことだ。ひとり15分あれば充分に出来るし、御所に9時に着いてもまだ早い。出発は正午であるからだ。専門家とはいえ、去年筆者の裃の着付けをしてくれた女性はかなりの高齢で、出発前の裃隊の横並びの記念写真を見ると、袴の帯の正面中央の十字文が全員かなり崩れて無様になっている。美意識の強い筆者は今朝のふたりに完璧な十字形を作った。しかも3時間の歩きの後、車でわが家に帰って来た時、ふたりとも全く着崩れしていなかった。にわかにYouTubeを見ながら手探りで練習したのに、専門家以上にきれいに着付けが出来た。F1さんは小柄で、予め身長を聞き、それに合わせて袴の裾を10センチ近く裾上げをしたが、その程度の縫物は何でもない。それに来年また新品同様に使えるように着た後の汚れを除去し、虫干しもした後、きれいに畳んでたとう紙に収め、箱に入れて保管する。こうしたことが誰でも出来るとは限らない。10数年前は裃を平安神宮で脱いだままにして帰宅し、行方不明になったことがあると聞く。そして10数万円を誰が弁償したのか、新調したそうだ。筆者がいずれ代表を辞めた後、同じように着付けしたり、きれいな状態で保管したりすることの出来る人がいるだろうか。いなければまた担当学区の講堂に当日の早朝行き、専門家に着付けてもらわねばならない。そっちのほうが楽と考える人もいるだろう。それはそれでその時になって考えればよい。
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