「
フランスに 行って目に入る セーヌ川 近場の川の 流れに目を落とし」、「新築の 庭は蘇鉄と ゴロ石で 手入れ要らずに 見栄えはお洒落」、「八方に 伸びる蘇鉄の 半ば刈り 二次元となる 大扇かな」、「撮り鉄の 轍を踏まえて 撮る蘇鉄 飛び出す場所を 知らぬが楽し」
今日の蘇鉄の写真は最初の2枚は今月19日に撮った。家内の誕生日だが、どこか立派なレストランに食事に出かけることはない。いつもと同様、ふたりで歩いて三条通り沿いのスーパーに買い物に行ったついでに近くにある立派な構えのケーキ店で500円ほどのケーキを2個買った。食料品の買い物は5,6年前は南の四条通り沿いのスーパーに行っていたのが、其の後はもっぱら北の三条通りに行くようになった。距離は変わらないが三条通りは交通量が圧倒的に少ない。車の往来は少ないほうが安心だ。三条通りは四条通りに比べて道幅が狭いので車に対する恐怖心は前者のほうが大きいようだが、狭い道であれば却って車は注意深く運転するはずで、嵯峨や太秦の三条通りで車の大きな事故があった話は聞かない。よく行く三条通り沿いのスーパーは、梅津その他に昔はチェーン展開していた京都の企業が運営していたのに、今月19日に店頭に張り紙が出た。突如の廃業だ。それを見ながら見知らぬ高齢の女性が、「ああ、困るなあ」と嘆いていた。高齢になれば家のすぐ近くにスーパーがあるのが一番ありがたいだろう。筆者らはまだ歩けるが、10年後はその後期高齢者となって買い物が出来なくなる。廃業する店はその時が近づくと何となく店内の雰囲気からわかる。やる気がないと言えばいいか、商品の量がものによっては少なくなり、そうなれば客は減り、悪循環となる。何でも常に競争で、廃業後に別のスーパーが入ればいいが、たぶん無理だろう。さりとてどういう商売がいいかとなれば、高齢者用の施設が大流行りで、老人ホームが手っ取り早い。あるいは付近に倣ってマンションだ。それはともかく、三条通り沿いの嵯峨にスーパーがなくなったので、以前から利用しているまだ北方の丸太町通り沿いまで足を延ばすしかないが、三条通りと丸太町通りの間の東西の道にスーパーが2軒あって、そこで買い物を済ませることが多い。つまり三条通り沿いの大きなスーパーが廃業してもほかに4軒あるので、死活問題とはならない。さて、今日の最初の2枚は10日ほど前に気づき、19日に撮った。三条通りと交差する有栖川の右岸をわずかに北に入ったところに新築マンションが完成し、その川沿いに蘇鉄がいくつか植えられた。蘇鉄はゆっくり大きくなり、落葉しないので植えっ放しでよく、また見栄えもいいのでこういう場所では好まれるだろう。蘇鉄の株の間に、渡月橋のすぐ下流に毎年敷かれる針金枠に大きな石が詰め込まれた蛇篭とそっくりな直方体の石詰めの塊が置かれ、これが何の役割を果たすのか不思議だが、使うべき石がたくさんあまったのだろうか。
この新たな蘇鉄のすぐ北側の道路沿いに白い文字で「美味しいコーヒー」云々と記す小さな黒い看板が出るようになった。新しい喫茶店だ。しかし看板に記される矢印の方向を見ると店の玄関は見えない。また営業日は週の半分程度で、道を踏み込んで店の前に立っていないのでわからないが、民家の1階を使っているのだろう。店名によればガレージを改装したのかもしれない。こううした町中の通りすがりに気づく隠れ家的喫茶店は、よほどの特別の興味深いものがない限り、あるいは知り合いでもない限り、入る気にはなれない。しかしある特定の客を寄せようとして趣味に凝ると、仲間うちだけに知られて経営が成り立たないだろうが、今はSNSをうまく使って京都観光客についでに立ち寄ってもらえる可能性は少なくないかもしれない。喫茶店は誰でも資金と場所があればやってみたいだろうが、長年経営を続けるのは大変だ。嵯峨のFさんによれば喫茶店のコーヒーの原価は高くても数十円で、それを知る人はスーパーで挽いた豆を買い、自分で淹れて飲むと言う。Fさんは毎日5杯飲むとのことだが、筆者は一杯で充分で紅茶派だ。自宅では喫茶店のムードは全くないが、好きな音楽や本をゆっくりと楽しむには却ってよい。こう書くと夢のない話ばかりする高齢者特有の正体を晒すようだが、確かに強い印象をもたらすコーヒーを出す店はあり、結局客にどういう強い印象を残せるかどうかだ。もっと言えば支払う代金に見合う何かが得られるかどうかで、客は再訪の判断を下す。さて、3枚目の写真は昨日西天満で撮った。ホテルの玄関前だと思う。今日の短歌の三つ目はその蘇鉄の見栄えを詠む。このように蘇鉄がスライスされるのかかわいそうだが、何しろ蘇鉄は真上から見れば円形で、直径2メートル程度には普通に育つ。そうなっては通行人の邪魔になり、葉の先が刺さってチクチクする。それでケーキのようにスライスされた。この狭い植え込みではこれがどうにか許せる蘇鉄の占有状態だ。昨日はまず難波の高島屋史料館で企画展を見た。その後メトロで淀屋橋駅まで行き、そこから地上を歩いて中之島、西天満を縦断し、アメリカ文化センターのある辺りの三叉路の交差点北に立っていた若い警官に道を尋ねた。答えを得るのと筆者が気づくのが同時で、丸尾丸子さんが出演するアコーディン奏者たち数組の演奏会があるタワー・ビルに向かった。時計を持たないので時間がわからなかったが、開演は始まっているはずだ。かなり焦って目当ての「ニッセイ同和損保ビル」に着き、1階のフロントにいたふたりの中年女性のひとりに訊ねてその返事をほとんど聞かずに地下への出入口に向かい、長い階段を降りて「アサヒスーパードライ梅田店」の開け放たれた扉の前に立った。演奏会は始まっていて、中はほとんど満席であった。演奏の様子は後日書く。
●スマホやタブレットでは見えない各年度や各カテゴリーの投稿目次画面を表示→→