「
大の字を 含む車輪の 自転車の 印融けるや 路面の暑さ」、「電動の 自転車無視し ペダル漕ぐ 年季入るは 我が身と同じ」、「夏場には 歩いて行けぬ スーパーに 老夫婦乗る 中古自転車」、「先のこと 思わず今は 元気なり 人生ゲーム 上がり無視して」
今日の最初の写真は京都中京の三条商店街で撮った。去年から気づいていながら撮影が今頃になった。この商店街は時間帯によっては車も走る。自転車の通行は多く、歩行者の間を縫って衝突せずに背後から追い抜いて行く。写真の自転車マークはここを走れという意味だが、道幅が広い割りに人通りが少なく、おそらくほとんど誰もこの標識を気にしていない。しかし路面にこのシートを貼りつけた人は、標識上を自転車が走り、左手つまり店側を歩行者、右手つまり商店街の中央部を車と分けているつもりだろう。自転車走行用の道路表示は京都市内には5,6年前に急速に増えた。自転車に乗っている人からはまとも見えように、すなわち歩行者には縦に引き伸ばされた自転車記号で、京都府警独自のデザインかと思う。今日の写真のものが三条商店街独自かと言えば、これの設置を商売にしている会社の独自デザインかもしれず、その点は「飛び出しボーヤ」の看板に似た位置にありそうだ。三条商店街を歩いていて面白いのは、この路面シートが地面の熱によって白い記号の「大」を含むふたつの車輪がぐにゃぐにゃになっていることだ。そうなると、「ここはボロ自転車の専用です」を意味しそうで、筆者ならそれに該当するので苦笑する。これは
以前に書いたが、数年前に家内が梅津の郵便局に自転車で立ち寄った時、自転車置き場で隣り合った地元の若い母親が家内の自転車を見て笑いながら言った。「えらい年季が入ってますね。」彼女はそれなりに整った外出着姿であった家内には不釣り合いなボロ自転車に驚き、即座に率直な感想を漏らしたのだ。「年季が入っている」という言葉はそうすぐに出るものではなく、家内はとても快活な楽しい女性でまた会いたいとたまに思い出して笑う。その自転車は10数年前に梅津の自転車屋で3000円で買った。店主は「ペンキは剥げてるけど、ものはいいので長持ちするで」と言った。確かにそうで走行具合がいい。自転車くらい最新のものを買えばいいと言われそうだが、筆者は新もん食いではない。10年ほど前か、その自転車に乗っているところを警官に呼び止められ、パトカーまで出動した。筆者は梅津の自転車の主に電話してもらって中古で買ったことをようやく認めてもらい、開放された。タイヤがつるつるに減り、乗らなくなって今は自転車置き場で夏の雑草の蔓が絡まっているが、優しかった自転車店の主を思い出せば、タイヤを交換し、塗装し直し、また乗ってやろうかという気になる。修理してもボロさは隠しようがないが、汗の出ない季節になればその自転車で三条商店街の崩れた自転車マークの上を走ってやろうか。
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