「
前を見て 生きることのみ 正しきか たまには首を くるり後ろに」、「首くくる 覚悟を常に ネクタイを 明日も彩る 胸元誇り」、「退屈を 噛みしめあくび 収まらず 隣りの猫も 主人見習い」、「見習いを 育てる気なし 大会社 金貯め込みの 競争社会」
4日前の6日、「風風の湯」の木製の手すりが銀色のステンレス製に交換されたことに気づいた。露天の岩風呂以外の大湯舟、細かい泡が湯を白く見せているシルキー湯、そしてサウナ室のすぐ隣りの水風呂の計3か所に同じ形の手すりがある。言葉では説明しにくいが、エスカレーターのような傾きで湯舟の端にあって、床面から湯舟に入る際にその手すりの最頂部の水平になった長さ30センチほどの部分を強く下方に押す人がいて、早い段階で斜めになった長い部分とその箇所の接続部が外れかけ、接着し直されてもまた隙間が出来ていた。その最頂分がポキリと折れて外れることはない構造に見えたが、100キロを超える体重の人がそこを支えに力任せに湯舟に入ろうとすれば、壊れることもあったかもしれない。そういう故意ではない客の行為による危険性を予期して修理修繕を怠らなければ、事故が起こって怪我人が出た場合、裁判で負ける可能性が大きい。もちろんそのことを思って手すりが交換されたはずだが、面白いのは木製と全く同じ形で材質だけが変わったことで、しかも全体が溶接されてもう折れる心配はない。誰もがその手すりをつかんで湯に入ることはないので、常連でも気づかない人がいた。同じサイズで材質だけが変わった理由は、手すりを設置する縦方向の金属性の支え棒が転用されたからで、同じ形にしなければならない理由があった。しかしこの材質だけの交換は旧いものの面影を残すという好ましい考えで、リフォーム流行りの今、大改造せずにこういう最低限の変更はもっとあっていい。それはさておき、「風風の湯」では当初は浴場では木桶に木製の小さな椅子が用意され、温泉の風情があってよかったが、手すりのように木製は傷みやすく、汚れも落ちにくい。それで2年前に桶も椅子もプラスティック製に交換され、町中の銭湯のように安っぽくなった。オープンして10年経つとあちこち劣化が目につくのは仕方がない。その修繕費を捻出するには利用客の増加がなくてはならないが、ホテル「花伝抄」の宿泊客の外湯として建てられたものであるから、赤字ギリギリでもまあどうにかなっているのだろう。とはいえ主任はいて、少しでも売り上げを増す方法を考えているはずで、5月の100円値上げはその一例であった。ありがたいことに10枚綴りの回数券は8000円のまま据え置かれ、これが値上げされれば利用回数を減らすことを考えるかもしれない。それなりに裕福な暮らしをしていて車でやって来る常連でも、毎週金曜日の半額の日しかやって来ないことがままあって、あたりまえのことながら、何を重視するかは人によって考えが違う。
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