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●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その43
うほど 身は清くなる 埃なら 誇りも金も 潔く捨て」、「広々と 育つ蘇鉄の 頼もしさ 我が鉢植えに ごめんねと言い」、「長身を 好む女子の 常識も 3メートルの 男論外」、「ほどほどを 知らぬ蘇鉄の 元気さに ならって求む 財は罪かと」
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一昨日の21日、家内と大阪長居の自然史博物館に『毒』展を見に行った。その後は長居公園を抜けて駒川商店街を訪れた。駒川は高麗川の意で、渡来人が住み着いた地域とされる。駒川商店街は長年気になっていた。最寄り駅が近鉄の針中野で、その近くに友人のMが昔住んでいたことがあって、一度訪れたいと考えていた。それに関西のTV番組ではしばしばこの商店街が紹介される。それはさておき、一昨日は天気がよく、たくさん歩いた。その疲れからか、今日は午後にスーパーに出かけた後、急に悪寒を感じ始めた。それで今日は疲れを消し去りたい思いもあってか、一昨日の長居公園内で見かけた蘇鉄の写真を紹介する。大阪自然史博物館は筆者は今回初めて訪れたと思っていたのに、地下鉄の長居駅で降りて同館に向かって公園の南端沿いの歩道を長らく歩いている途中にそのことを家内に話すと、昔ふたりで一度訪れたことがあると言う。今もそれが信じられない。筆者は展覧会については記憶が鮮明であるからだが、半世紀ほど前となればそうも断言出来ない。家内にどういう内容の展示を見に行ったのかと訊くと、忘れたと言う。まさか家内が別の男性と訪れたことはあり得ない。家内は高校生の時にそれなりにもてたようで、学生服姿で眼鏡をかけた男性と一緒に写っている写真がある。無理にデートに誘われたとか何とかで、実を言えば好感を持てなかったと言う。それは嘘ではないだろう。筆者は家内にたまに嘘をつく、あるいは言わないほうがいいことは黙っているが、家内はそれはあり得ないからだ。それで今頃になってたまに何かの拍子で筆者の口車に乗せられたと言う。どこまで本心かわからないが、まあ半分以上はそうだろう。しかし何もかも満足という夫婦生活はなかなかないだろう。家内は筆者と一緒になって貧乏くじを引いたと思っているところがあるが、欲を言えば切りがないことをもちろん知っている。経済的貧しさを何とも思わずに毎日好きなことを脇目もふらずに続けている筆者を横目で見ながら、家内も筆者の幸福感のおこぼれに浴しているだろう。長年夫婦であれば話すことはもうほとんどなく、夫はお互い顔を合わさないようにと遠慮して用事がないのに外出するという話をたまに耳にするが、筆者と家内は今でも一緒の布団に眠っていて、話す事柄に不自由したことはない。それで家内が還暦で仕事を辞めてからは展覧会もほとんど家内と一緒に出かける。なぜこういう話になったかだが、『毒』展に入館するまで、長い列のすぐ前が名古屋から来た親子3人のその40代半ばの父親が家族サービスに努め、とても夫婦仲がいいように見えたからだ。
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 『毒』展の感想を投稿する時にその家族連れの話をもっと詳しく書くつもりでいる。同展を見た後、公園の東北にある駒川商店街に向かった。長居公園は広大で、その全部を知らない。ネットで印刷した地図は、公園の東北角を紙の左下隅に置いたもので、公園内部がどうなっているのかわからない。方向音痴の筆者で、途中で若い女性に公園の東北角の方角を訊ねた。いかにも大阪の20代で、それが具体的にどうかと言われると困るが、元気がよく、また親切であることだ。もちろん大阪にもそうでない若い女性は大勢いるが、概して大阪の「ねーちゃん」は独特の雰囲気がある。そのねーちゃんから「ええ、この道を真っすぐに行けばいいですよ」と笑顔で言われて間もなく、トランペットの音色が聞こえ始めた。中年の男性が練習中で、そのくつろいだ様子にスーラの名画「グランド・ジャット島の日曜日の午後」を思い出した。少し北に歩むと今日の写真の蘇鉄がある場所に来た。角度を変えて4枚撮った。蘇鉄の群れがいくつか点在し、群れの合間に小型のテントが張られて、天気のよい日曜日を満喫している。蘇鉄のすぐそばでは南国の雰囲気に浸れるだろう。長居公園は夜間も利用出来るのかどうか知らないが、天王寺公園から貧しい人たちのテントがかつて一斉に撤去されたからには、テントを張ったまま数日過ごすことは許可されていないだろう。写真に見えるテントは一瞬で開くタイプのようで、狭い空間で非日常を楽しむためのものだ。同様のテントを家の中で使っている人を知っているが、閉所が安心出来るのは胎内回帰願望が残っているからかもしれない。筆者は閉所が苦手だ。ごくたまに長い円管の中を這って通り抜ける夢を見るが、いつも出口辺りで管が狭まって外に出られず、そのあまりの苦しさに目覚める。筆者は母の最初の子で、きっと難産であったのだろう。その時の記憶が長い管を通り抜けようとする夢の原因となっている気がするが、それはあまりに直接的で詩から縁遠いが、隠喩にはそういうわかりやすい例もままある。長居公園は大阪南部にあってよくぞこれほど広大な公園が確保されたと感心する。地下鉄の長居駅から公園の東端まで1キロはあって、南北は600か700メートルほどはある。ただしその北部はスタジアムで、公園のみではどうか。自然史博物館の北に大きな池があるが、その周辺は歩いたことがない。市立美術館のある天王寺公園は慶沢園があり、それはそれで趣があっていいが、市民が憩う場、すなわち「グランド・ジャッド島…」の雰囲気となれば、断然長居公園に軍配が上がる。大阪市内北部の靭公園は東西に細長く、面積は長居公園は4、5倍は大きい。それにたぶん蘇鉄はないはずで、あってもテントを張る人はいないだろう。「蘇鉄見て テント張りたる 目覚めかな」最近蘇鉄の投稿が多いのは、やはり活力を潜在的に求めてのことかと納得する。
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by uuuzen | 2023-05-23 23:59 | ●新・嵐山だより(シリーズ編)
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