「昂揚を 隠せぬ涙 隠したき 男子とぼけて 目に煙沁む」、「午後６時 瓶を傾け 酒注ぎ 喉を潤し 心麗し」、「気まぐれに 見聞しては 忘れ行く まぐれあたりの 生の連続」、「教養の 森に迷いて 謎に酔う 酒を飲みつつ 知った気になり」 座右ではなく、座左に本やＤＶＤ、ＣＤを置くようになったのは５，６年前からと思うが、２，３年前からはそれに酒瓶が加わった。毎晩６時になるとコップ一杯を飲むからで、座っている場所から手を伸ばせば届くところに本も瓶も置いている。日本酒とビール以外のアルコール度数の高い世界各地の酒がもっぱらで、ウォトカが最も多いが、ウィスキーやブランデー、テキーラやジン、ラム酒に焼酎など何でも来いで、飲み干した瓶は裏庭に次々に出し、新たな酒を隣家から適当に持って来る。隣家は１階が酒置き場、２階は衣服やガラクタ、３階は書庫にしている。どれも量が増える一方で、酒は５、６０本ほどのワイン以外にたぶん２００本はある。死ぬまでに全部飲むつもりでいるが、本はそうならないだろう。最近死んだ有名男優は断捨離をし続けて最後に本が残り、若い頃に読んだ本を再読して新たな発見をしたとのことだ。そして開高健の本を絶賛していたが、筆者はもう死ぬまで開高の本を再読することはない。人それぞれに評価したいものは違う。そのことで意見を交わしても楽しくない。それはさておき、家内は今日の２枚の写真の座左の本と酒をすべて片付けろとうるさい。筆者は普段腰を据える場所の近くに目下気がかりで読んでいる最中の本をまとめ置く癖がある。おおまかに言ってそれは１階と３階のパソコンのある場所だ。夏場は３階は耐えられない暑さなので１階に座るが、日々その時間が長く、座布団を除けるとその下のカーペットに尻の形で黒カビが生えていることを最近家内が発見した。それで読書はなるべく別の場所でと思うようになり、駅前や嵐山公園に行く気になるが、面倒臭いのでたいていは家に籠る。これは悪い癖かどうか、筆者は並行して読んでいる本が常に数冊から１０冊程度ある。１冊を全部読了してから別の本に移ればいいのに、酒と同じだ。酒はある１本を飲み終えずに次々に別の瓶を開封する。酒はいいとして、本は半ば読み終えて長らく放置していることは当然気がかりで、読書は気がかりを増やす最大の原因となっている。また本以外に考え事は多々あり、ブログの投稿は滞りがちとなる。考えても埒が明かないことのほうが多く、最近はそれを酒のせいかと思わないでもないが、酒に関しては至って冷静だ。飲んで酔っても３０分ほど眠るとその後は頭が冴える。そう言えば富士正晴も開高健も、それに目下あれこれ読書中のロジェ・カイヨワも酒が寿命を縮めた。筆者はその二の舞にならない覚悟を持ってはいるが、本は読むほどに楽しい一方、わからないことが増え、酒に似ていると感じるこの頃だ。そこに音楽や女を想うと、さらに頭は混沌として来る。

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