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●京都河原町三条下る LIVE HOUSE 「DEWEY」にて、『ザッパニモヲ 母の日ライヴ』筆者のトーク
●京都河原町三条下る LIVE HOUSE 「DEWEY」にて、『ザッパニモヲ 母の日ライヴ』筆者のトーク_b0419387_14120721.jpg天に 気を漲らせ 皆切ると 能天気爺 殺陣を横目に」、「練習と 本番重ね 慣れを知り 工夫怠り なれの果てへと」、「這う子でも はてなの心 持つことを 老いは忘れて 驚きもせず」、「感動に 同感のたび いいね増え 言い値で買うて 口笛吹かれ」1月21日にレザニモヲのさあやさんからメールがあった。いつもの「夜想」とは違って、5月11日に同じ京都市内ながら、BAⅬビル北側のライヴハウスでのザッパニモヲ単独ライヴ開催が決まったとのことで、筆者は演奏前に30分のトークを依頼された。それで来場者へのお土産を手製で用意することにし、不要のカレンダーやポスターなどの厚紙で袋をまず作り、その表面にいつものように鶏頭の花をいつもと同じ絵具で描くことにした。去年咲いた鶏頭の花から得た数百粒の種子はシャーレに保存し、今春蒔くつもりが、2月に誤ってアスファルトの地面に全部こぼしてしまった。鶏頭の種子は仁丹の粒よりもかなり細かく、ざらざらしたアスファルトではどこに散らばったか皆目わからず、一粒も拾えない。土の地面であれば放っておいても芽が出て来るのに、去年の花の二代目は期待出来ないことになった。タキイ種苗では去年販売されていた珍しい品種の鶏冠鶏頭系はどれもなく、仕方なしに久留米鶏頭系の赤花の種子を買った。袋裏面の説明によれば、充分暖かくなる4月下旬に植えるべきとある。それではライヴ当日は発芽していないはずで、桜が咲き終わった12日に蒔いた。今日の最初の写真はライヴ当日の昼に実物大で描いた鶏頭の発芽だ。番外の1部以外に22部作り、早い者勝ちで入場時に配布した。絵の意味はトークで話さなかった。説明しない限り誰にも意味がわからないので、次に書く。点在する幼葉7つのみでは画面上部の余白が大きくなる。それで「雲」の象形文字である一筆書きの「渦巻状のはてなマーク」を横向きにし、赤い絵具で鶏冠鶏頭の花頂部の襞曲線によって同じく一筆描きでなぞった。これは鶏頭の双葉が夢想する成長した花形を示すと同時に、そのように成長させる雨をもたらす入道雲を意味している。この客へのお土産はそれなりにこだわり、手間をかけて毎回用意しているが、次のザッパニモヲのライヴの11月2日は、この絵の双葉が成長し切り、枯れかけの花を描くことになる。それは双葉を描くよりかなり手間取るので、今回同様20部少々に留める。来客全員に配りたい気持ちがあるが、その数が把握出来ない。また去年のように40部はしんどいし、それでも足りないかもしれない。市販のCDケースを使い、ジャケット絵は1枚だけ描いてコピーすれば、仕上がりは数十倍も早くて済むのに、自宅で自分が育てる鶏頭の花を画題とし、1枚ずつ手製手描きにこだわる。そんなことは損なことで、また誰も期待もしていないとしても、誰しも好きでやることは人生で最優先させる。それはザッパニモヲの活動も同じではないか。
●京都河原町三条下る LIVE HOUSE 「DEWEY」にて、『ザッパニモヲ 母の日ライヴ』筆者のトーク_b0419387_14123562.jpg 筆者のトーク内容についてはここには書かない。当夜の演奏はライヴ配信されるとの触れ込みで、そのことについてトーク前にさあやさんにいくつか質問したが、トークもその配信に含まれるのかどうかを訊くことを忘れた。今もそれがどうであったのか知らないが、トークを含んでのライヴであったので、午後6時から配信されたのだろう。筆者はトークの配信はないほうがよいと思ったが、それはザッパニモヲの演奏と違って何をどういう順序で話すか決めていなかった無責任な「即興」であるからだ。このブログもほとんどそうだが、思っている「もやもや」を口から発することと文字にすることの間にあまり大差はないと言ってよく、その考えに立てばほとんど20年続けているこのブログで筆者は言いたいことを次々に吐き出すことに慣れていて、人前で話すことはその延長と思えば気は楽だ。今回は演奏前の30分が割り当てられ、筆者は話している間のBGMとしてザッパの最新盤から選曲して30分にまとめたCD-Rを持参した。その収録曲について話せば30分はすぐに終わるかと思いつつ、実際は曲の説明に終始しなかった。市バスで河原町に向かう間、話したい内容の項目をひとつずつ思い起こして箇条書きにした。その紙を手にトークに臨み、結果は順序も出鱈目で思いつくままの即興となった。これは前に書いたことがあるが、即興が多いザッパ/マザーズの演奏はどこからどこまでが完全な即興であるかという興味深い命題がある。どの曲をどういう順序で演奏するかは、たとえばビートルズのライヴがそうであったように、アンコールを含めてザッパは決めていてそこに即興はなかった。しかし2時間に及ぶライヴが常で、各メンバーにソロの出番が与えられ、そこでドラムスとベースを背景にメンバーは自由に演奏してよかった。その各自のソロにおける完全な即興度合は演奏技術の巧拙によって差があって、もちろんザッパが認めた才能であるから全員が平均以上のプロとしての即興の才能はあったが、それでもザッパから見てあまり感心しない場合はあった。そういう演奏はレコード化で省かれたし、やがてメンバーから外されもした。ザッパでなくても毎回同じようなメロディを奏でるソロは即興とは思えないから、メンバーは与えられたソロの時間をどれほど新鮮味のある、つまり迫力のあるものにするかは大きな課題であったはずだ。またザッパの求めに応じるには、頭にたたき込んだザッパが書いた主題を一瞬の閃きの連続としてどのように華やかに展開出来るかを思考と練習の往復で習得するしかなかった。ザッパ以外のメンバーはステージで割り振られるソロの時間はザッパのギターのそれよりも少ないので、即興の深化ないし進化の機会に限度があったし、実際彼らのソロはほとんど話題にならないが、ザッパのギターは前人未到の境地に達していた。筆者が語りたい、あるいは考えたいことはそれだ。
 こう書きながら一方で筆者はバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を思い浮かべている。同曲でバッハは最初に提示したアリアをその後自在に変奏してLP1枚にちょうど収まるほどの長さの作品としたのだが、そこには詩情から作った基本の小さな花というべき小品を大規模な花束に再構築する学論的論理が裏打ちされている。それをバッハはおそらく唸りながら楽譜に音符を少しずつ書き進めたのではなく、大半の変奏曲は即興で思い浮かび、それが可能なほどに日々の演奏と研究を欠かさなかったと想像する。そこに楽譜どおりに演奏するだけの演奏家と作曲家の違いがあり、作曲家を誇って自称したザッパは、絶えず新しい発想による音楽を生まずにはおれなかった。そのことをギター・ソロが証明している。それらのソロを集めたアルバムはザッパ生前に2種、没後に一作が発売されたが、どの曲も主題を欠き、ザッパの音楽の初心者にはどの曲のソロかはわからない。あるいはかなりのザッパ・ファンでもそういう場合がある。これは最初に決めた主題はそのままに、その後の演奏の展開が極度に自在化していたからであって、「ゴルトベルク変奏曲」とは違ってもはや主題の片鱗すら見出せない場合が多々ある。つまり主題から出発しながら、全く別の曲を導き出した。それは大半は脳裏の「もやもや」をそのままの形で提示し、その詩情を探る指の動きがそのまま詩と化したものと言ってよい。ザッパのそうしたギター・ソロの味わいは、即興行為のあらゆる面を考えさせる点においても筆者には興味深く、たとえばこうした即興的文章と比較もしたくなる。それは作品としての質という意味ではなく、また他者に何か伝えようとする時にその手段は別として、「即興とは何か」を考えておいた方が面白いものが出来るのではないかとの感覚だ。たとえば誰でもそうだが、天候や人との対話、TVやネットの情報などから、日々新たな何かを感じて気分は常に揺れている。またこれは誰もがそうではないと思うが、筆者の場合は特に気がかりなことは長ければ半世紀、短い場合はここ数日保ち、それらがこうして書く文章のどこに影響しているかを大半は自覚しているが、当然そうでない無意識も左右しているはずで、自分の文章の即興具合が楽しい。話が最初に戻るが、そのことはライヴ当日にお土産用に描いた鶏頭の幼葉の発芽にも言える。最初の1枚は4個の大小の鉢から妥当なものを選んで裏庭で背に直射日光を受けながら描き、残りの22枚も必ず現物の発芽を前に最初の気分を持続してそうした。ところが意識したのではないのに、最初の1枚と最後のそれとは明らかな変化がある。そのことを分析すると、緊張して描いた最初のものがいいのか、逆に最後の手馴れたものがいいのかという面白い話になるのだが、今日の最初の写真のみしか撮っておらず、その23枚における実際の変化の様子は誰も知らない。
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by uuuzen | 2024-05-13 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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