「
黍団子 吉備の国では 機微があり 桃太郎には 家来集まり」、「老夫婦 赤青白の 春の色フランス国旗の 自由を謳歌」、「サツキ花 今年ようやく 五つ咲き 牡丹の白に 並んで眩し」、「沼の底 見えぬ怖さを 知りつ賭け ずぶずぶ嵌まる ずぶの素人」
「風風の湯」に阪急電鉄の情報誌『TOKK』が置いてあって、家内は帰りがけに新しい号を見つけると一部もらって帰る。筆者は読まないが、家内は先日その中に新しい一日乗車券が販売されることを筆者に伝えた。3月23日に新しく延長された北大阪急行線を記念してのもので、大阪モノレール全線と阪急の神戸線を除く全線に使えるもので、1200円だ。阪急阪神一日乗り放題チケットが今年4月から1200円から一気に1600円に値上げされ、夫婦でそれを使うと800円のよけいな出費となって神戸方面に出かける気が失せるが、あらゆる物価が上昇中では仕方ない。それにしても1200円の乗り放題は京都市内のバス地下鉄1日乗車券の1100円に比べて割安感が大きく、早速そのチケットを使うことにした。その最大の目的は西国街道歩きだ。そのことを家内に言えば絶対に拒否するので、万博公園内の民族学博物館で企画展を見た後、北大阪急行線の新駅に行って食事することを提案した。そして先月28日の好天に出かけた。筆者は阪急茨木市駅からバスで万博公園に行こうと思っていると、電車の中で家内は南茨木駅からモノレールに乗ればいいと言う。なるほど、そうすればバス代の節約になり、時間も短縮出来る。今年のゴールデン・ウィークは10日か11日か知らないが、勤め人にとってはかなりの長期だが、円安のために遠出を考えない人が多い。筆者は毎日休日状態で、人出の多いゴールデン・ウィークにわざわざ出かけなくてもいいが、家内は旅行気分を味わうためにみんなが出かけている時に便乗したい。筆者は半世紀前からもっぱら展覧会巡りが中心で観光旅行にはほとんど関心がなく、美術館に足を運んだ後に時間が残っていれば観光という考えだ。今回の1日乗車券もまずは展覧会、そして西国街道歩き、次に北大阪急行の新駅見物で、前述のように二番目の西国街道歩きは家内に伏せていた。結果を言えば、「みんぱく」で展覧会を見た後、モノレールに乗って豊川駅に至り、そこから去年印刷していた地図を見ながら西進して3キロほど先の北大阪急行の「箕面萱野」まで歩いた。その時の様子は別の投稿で述べるつもりだが、去年11月23日に家内と「みんぱく」で企画展を見た後、豊川駅かた東進した西国街道について未投稿で、西国街道歩きについて書くとなれば、その半年前のこととまとめての一気投稿になる。あるいはさらに新たに西国街道を歩くかもしれず、そうなれば大量の写真がたまって投稿は億劫になるかもしれない。ともかく今日は西国街道歩きの投稿をする機会ではなく、その序的なことを書く。
茨木市から箕面市に至る西国街道歩きは電車の不便があって、以前からどうしたものかと思っていたところ、半世紀の予定を経て北大阪急行の延伸開通が今春にあり、しかもそれを記念して格安の1日乗車券が販売されることを家内が情報誌によって知り、その幸運を喜んですぐに動く気になった。ただしこの1日乗車券は6月16日までの販売で、そこがけち臭いが、評判がよければ再発の可能性はある。しかし1200円で販売されている間に箕面萱野駅から西の未踏の西国街道歩きは実行しようと思う。話は変わる。先月23日、平安講社のちょっとした会合がわが家から近い喫茶店であって、それが終わった直後、久しぶりに同じ自治会内のFさん宅を訪れて2時間ほど話をした。その中でたまたま筆者は同じ自治会住民で同年齢のWさんの名前を出した。Wさんは高槻城跡近くの出身で、長年横浜で勤務した後、60の定年後に新築マンションを買って嵐山に住むようになった。その頃筆者は自治会長をしていてすぐにWさんと顔見知りになった。人柄がとてもよかったWさんはかなりの小柄で、それが理由でもないだろうが、生涯独身であった。WさんやFさんを交えて一杯飲もうと言っていたのが2年ほど前で、筆者が最後にWさんと対面したのはちょうど1年前だ。Wさんは自転車で嵯峨のスーパーによく通い、同じように買い物をする筆者らとよく擦れ違い、声をかけ合った。Fさんとの会話の中で筆者がWさんの名前を発した途端、「Wさんは死んだよ」と言われた。筆者が声を上げたのは言うまでもない。あの温和なWさんが死に、そのことがFさんから聞くまでわからなかったとは。「いつですか?」「それはわからへん」マンションで孤独死したのであれば、マンションはそのことをあまり広めたくないはずだ。Wさんには兄がふたりいて、高槻の高級住宅地にひとり住む老父が亡くなった後は、遺産を3人で山分けすると言っていたが、Wさんの遺産は兄ふたりが継いだのだろう。死は呆気ない。70代になれば死を意識させられることが多い。それでも花満開の春になれば家内がせがむようにふらりとどこかに出かけたいし、それが実行出来る筆者と家内は幸福だ。3日前の28日、出かける際の服装に家内は迷い、筆者はサツキ、ツツジ色のシャツを着るように言った。筆者は白に近いピンクのシャツに真っ青なカーディガンで、ふたり揃えばフランスの国旗の配色に近く、相変わらず全身パンク・ブランドのVIVIENNE WESTWOODで気持ちだけは若い。今日の2枚目の写真はモノレールの万博公園駅を降りてすぐ右手のサツキ前で撮り合った。多くのピンク色の花の中に白花が咲いている箇所を見つけて家内を座らせ、筆者は立ち姿で撮ってもらった。老人具合が明らかで、写真を載せることを躊躇するが、それぞれ1枚しか撮らなかった。それにしてもいつまで好きなところを好きなように歩けるのだろう。
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