「
謀反には 見られたくなし 皮肉屋は 扇動しても 責任逃れ」、「日に一度 裏庭に出て 植木見る たまに猫来て 雀逃げ飛び」、「くうくうと 鳩図々しく 古米食う 隙見て雀 おこぼれ掠め」、「吾の薔薇 白き小さき 乙女星 ひとつふたつと 咲いては枯れて」
去年の11月26日以来、裏庭でまたVIRGOが咲き始めた。3つの蕾のうち、今朝はふたつ咲いた。もうひとつは明日咲くだろう。明日まで待って3枚の写真を載せてもいいが、明日は満月で、その投稿をせねばならない。しかしどうも雨のようで、今晩撮影出来るならしておこう。この白薔薇の開花写真はいつの間にかキャプテン・ビーフハートの作詩を1曲ずつ取り上げ、その翻訳を載せるようになった。まずはアルバム『トラウト・マスク・レプリカ』をと思いながら、今日は頭にメロディが浮かんだ他のアルバム所収の「スペース・エイジ・カップル」を選ぶ。50年ほど前に初めて聴いた曲で、その歌詞の対訳をすることになるとは予想しなかった。それが人生は面白さだ。それはともかく、筆者が裏庭でVIRGOの薔薇を育てたいと思ったのは、ビーフハートにギター曲の「ワン・レッド・ローズ・ザット・アイ・ミーン」があるからであった。それならば赤い薔薇を育てるべきだが、種々の理由から白くて小ぶりの花を咲かせるVIRGOを選んだ。久坂葉子は詩「わがこいびとよ」の中で自分が死ねば胸元の絹に赤い花を載せ、赤い花のみ愛せよと書いた。筆者なら白い死装束の上に白薔薇を望む。さて、発疹で両足がひどいことになり、ここ1か月ほどはスーパーへの買い物は別として家内と外出していない。歩けば足は痛むが、歩かねば筋肉が衰えて発疹の治癒が遅れる気がする。先ほど思いついたが、去年大阪に出た時に500円で買った韓国製の透明なアロエ・クリームを両足の発疹箇所全体に塗った。するとすぐに足の熱はかなり引き、何となく効果があると感じる。なぜもっと早く使わなかったのかと悔やむが、医者に診てもらわず、薬も不要と我を張っていたので、気づくのが遅れた。今夜から頻繁に塗布することに決めた。また2週間ほど前から、「風風の湯」に行かない日は必ず、アメリカの大西さんが送ってくれたヒマラヤの岩塩を両足の膝から下がすっぽりと入る金属の容器に張った湯に溶かし、そこに両足を30分突っ込んでいる。発疹の消え具合を観察し続けて今日で7回目、効果は上がっている。20回ほど続けると今月末で、バンドエイドはほぼ不要になる気がしている。それにしても今年の花粉症はあまりのひどさで、ここ2か月は人生初の体調不良が続き、耳たぶのしもやけ跡が原因か、先月3日から数日は左頬が腫れ、中旬には左目が痛んだ。体の弱い部分に病が訪れることを再認識する。こんな話は面白くないが、体調の異変を記録しておくのはよい。
さてビーフハートの「宇宙時代のカップル」は1970年の作曲で、当時跋扈したヒッピーたちを新時代すなわち宇宙時代の若者とみなして詩に風刺を込める。その内容は自然児のビーフハートらしいが、「レイドバック」と称してヒッピーは田舎に引っ込んで生活する向きがあったから、本曲の歌詞は一部のヒッピーにも受け入れられたであろう。「your nasty jewelry」は当時のヒッピーが身につけたような手作りの安っぽい装身具で、それらをビーフハートが汚いと評したのは型にはまって見えたからだろう。ビーフハートは女物の靴を履き、変わったジャケットやコートをよく身にまとった。それは誰の真似でもない自負ゆえだ。ヒッピーは身なりや生き方を流行に倣ったところがあって、ビーフハートやザッパには彼らが没個性に見えた。本曲では彼らにいくらでも広がっている土地を耕せと言うが、彼らの「魔法の筋肉」を動かせと指示するのも、薬物で酩酊して寝転んでいるのはおかしいとの思いからだ。また彼らがあくせくしていることも揶揄するが、そこには仕事中毒のザッパが視野に入っていたかどうか気になる。ビーフハートが土地を耕したかどうかとなれば、あまりそれはなかったであろう。ただし花好きで庭に愛着があったので、土いじりはしたはずだ。「ガラスコップを空にかざし、コップの向こうを見れば空は青くない」との下りが何の比喩かと言えば、物事の本質は素のままで見るべきで、色眼鏡をかけたままでは違って見えることを言いたいのだろう。次の行の「葉の上に露はない」は、もう朝は遅く、物事をし始める時間はとっくに過ぎたとの警告を思えばよい。ビーフハートもザッパもヒッピーから離れた独自の存在で、個性を重んじる人は別にして、ごく普通の音楽好きには知られないか、知られても誤解されやすい。ヒッピーはアウトサイダーぶったが、真のアウトサイダーは似た存在がない。そのため世間からは疎外されやすく、絶賛されにくい。ビーフハートが新時代のカップルに本曲で助言したことは、肉体を使って地面に触れろということで、「地に足をつけた」生き方をすべきとの思いからだ。ビーフハートは詩人であるので土地を耕す農民ではなかったが、土地を耕すことの重要性を思っていた。それは農民を尊重するからで、その点がザッパとどう違ったか、あるいは通じる点があったかは一言しにくい。ザッパも自然派だが、一方で新しい人工的なことを音楽に使用することには大いに関心があった。またそのことに邁進する過程でビーフハートが愛するような自然からは少し遠のいた面がある。あるいはそのように見える。それはともかく、ビーフハートはどんなに時代が進んでも人間は土地を耕さねば生きていけないことを知っていた。戦前の黒人ブルース・ミュージシャンと同じく、ビーフハートも土地に根差した音楽を目指した。ただし本曲は他に似たものがない。
Space-age couple 宇宙時代のカップル
Why don’t you flex your magic muscle? なぜ魔法の筋肉を動かさない?
Space-age couple 宇宙時代のカップル
Why do you hex your magic muscle? なぜ魔法の筋肉に呪いをかける?
Space-age couple 宇宙時代のカップル
Why do you hustle ‘n bustle? なぜ頑張って急ぐ?
Why don’t you drop your cool tom-foolery なぜ馬鹿なまねを止さないんだ?
‘n shed your nasty jewelry? なぜ汚い飾りを外さない?
Cultivate the grounds 土地を耕しな
They’re the only ones around. 周りにあるのはそれだけだ
Space-age couple 宇宙時代のカップル
Why don’t you flex your magic muscle? なぜ魔法の筋肉を動かない?
Hold a drinking glass up t’ your eye after you’ve ガラスコップをかざして見ろ
Scooped up a little of the sky 空に向けてな
‘n it ain’t blue no more. それはもう青くない
What’s on the leaves ain’t dew no more. 葉の上に露はもうない
Space-age couple 宇宙時代のカップル
Why don’t you jus’ do that? なぜそうしない?
Why don’t you jus’ do that? なぜそうしない?
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