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●神社の造形―石上神宮、その1
ければ 忘れてしまえ 物や金 真に大事は 頭の中に」、「雄鶏に 見惚れる雌や 平和かな 強くて綺麗 理想の男」、「石の上 三年座り 変化なし どこに意思置く この巌をば」、「古きもの 宝になるは 価値次第 鍍金人なら 晩節汚し」
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石上神宮の「石上」は「いしがみ」「いしのかみ」などと読みそうだが、「いそのかみ」と読む。「し」を「さ行」の二番目ではなく最後の「そ」と訛って読む理由は知らないが、「いそ」であれば「磯」が思い浮かび、海辺と関係があるかもしれない。現在は奈良盆地の東端の小高い山にあって海とは無縁だが、海をわたって運ばれて来た何かを大事に守って来たとすれば、恵比須社とのつながりも思う。「石上神宮」の名前は誰でも無意識の間に何度か聞いたことがあり、銘文が象嵌される「七支刀」を耳にすれば、『ああ、そうか』と思い当たるはずだ。奈良は有名な社寺が多いが、京都と違ってまとまった地域にあるとは言えず、また車を乗らない人にとってはJRか近鉄電車くらいしか交通網がないために、各有名社寺の位置関係がよくわからず、京都から出かけるには的を絞って限定した地域に限ることになる。先日筆者は大和郡山から東大寺まで歩くことを長らく思いながらそれを実行していないことを書いた。その距離を歩くには1時間半あれば充分で、いつでもその気になれる。もちろん天気がよく、健脚の必要はあるが、つまりは奈良の社寺は最寄り駅から歩いて訪れるべきで、そのことがわかれば「山辺の道」の14,5キロも歩く気になり、少しずつ有名な場所や社寺の位置関係つまり距離関係もわかって来そうだ。『万葉集』を片手にそういう奈良への小旅行を70代に重ねることはひとつの恵まれた人生に思うが、雑然とした大阪市内に生まれ育った筆者は人の多い商店街を歩くことが好きで、ハイキングに熱中することはたぶんあり得ない。とはいえ、3月末に「山辺の道」をごくわずかに歩いて眺めた景色は、のどかでとても気持ちよく、満開の桜も手伝って人生でそう何度も味わえない時間であったとの気持ちが日々増している。ところで、奈良と言えば思い出す人物がある。学生時代に親しくなった1年先輩のMだ。Mには兄がいて、その影響からかMは筆者が知らない文学書を教えてくれるなどした。またMは短編小説を書いて筆者に読ませもしたが、筆者は侮るというのではないが、Mに対して割合冷ややかな醒めた態度で接し、酷評した。以前に書いたことがあるが、平易な文章で書かれたその小説に「誤謬」という言葉が使われ、それに違和感を覚えた筆者はなぜ「間違い」という言葉を使わないのかと言った。なるべく難しい言葉を使って格調を高めたい気持ちはわからないでもないが、「誤謬」を使うのであれば、それに類する言葉をもっと散りばめるべきではないか。Mの短編小説にはそれがなかった。
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 Mは当時大阪の針中野に住んでいた。結婚して名張に住み、その家に筆者は訪れたことが二度ある。一度は津の美術館に車で乗せて行ってもらう際、もう一度は桜井市の椿で有名な場所に連れて行ってもらった時だ。当時Mは奈良の有名な社寺にそれなりに関心があって車を利用して訪れていたようだが、大規模なゼネコンの仕事で遠方の土地に長期滞在し、奈良の観光巡りをどこまで徹底したかはわからない。ただし筆者はMの車に同乗しながら、大和三山の眺めが道路を走るにつれて大きく変化し、そのことが面白いと語ったMの言葉を覚えており、Mは筆者が無関心であった『万葉集』を幾分かはかじっていたかもしれない。話は飛ぶ。Mは名張で一男二女の子どもをもうけ、家族と順調に暮らしていたのに、50の少し手前でリストラに遭って会社を辞めた。辞めさせられたと言ったほうがいいのだろう。それからもMは筆者に会いに京都に何度か来たが、新たに入った会社は程度の低い社員ばかりで仕事が面白くなく、別の会社を探していると言った。一流企業の社員が二三流以下の企業に勤めることが精神的に耐えられないことは充分想像出来る。仕事の質は社員のそれに応じ、文学や芸術に関心も強かったMには俗物だらけの会社は耐え難かったのだろう。とはいえMは筆者のように独力で作品を作り、それで生活の資を得るという道に少しは憧れを抱きながら、育ち盛りの子ども3人を抱えてはサラリーマン以外の道はあり得なかった。離婚すれば話は別だが、子どもはどうするかという問題がある。そうしたMが嵐山に住む筆者に会いに来た時、3ナンバーの新車で、筆者はそのことを遠慮なく咎めた。「転職して収入が減ったのなら、軽自動車にすべきではないか」しかしMは長年の暮らしはそう変えられないと言った。Mはある日サラリーマンではなく、筆者のように手に職をつけて自立したいと語った。筆者はその言葉に対して「50過ぎでは今さら無理」と言い放った。それは「目を覚ませ」ということだ。Mは筆者の最低限の収入の暮らしをよく知っていたが、会えばいつも筆者は陽気で生活に満足していることが不思議で仕方がなかったようだ。「金がないのになぜそんなに明るいのか」「好きな仕事をしているから」Mは半ば嫌々仕事をしていたのだ。家族を持てば嫌でも高給が約束されている仕事を続けねばならない。ただし世の中は変わる。Mは会社から不要とみなされ、Mは新たな職場を探す必要に迫られた。よくある話だ。その転職を契機に人生を好転させる人もいるし、Mはそうすべきあった。Mはパン職人ないし植木屋になりたいとも語ったが、50からその人生が成功するだろうか。可能性はきわめて低いのではないか。ましてや筆者の弟子にしてほしいと言われた時、筆者は呆れて返す言葉がなかった。Mが職人の道に憧れたのであれば、サラリーマンになるべきではなかった。
●神社の造形―石上神宮、その1_b0419387_14371736.jpg その後Mは連絡して来なくなり、年賀状も途絶えた。長男が高卒で働きに出たことは聞いたが、ふたりの妹や美しい奧さんのその後は知らない。気になるのは名張にまだ住んでいるかどうかだ。ローンはとっくに払い終わったはずだが、車がなければ生活出来ない地域で、Mは大阪市内に転居したいと語っていた。筆者は名張に用はなく、同地が奈良のどの辺りに位置し、有名な社寺が近くにあるのかどうかも知らないが、桜井市の各地を車で紹介してもらったので、石上神宮から南に桜井まで続く「山辺の道」となればMを思い出す。Mは学生時代から筆者に一目置き、「さすがの大山やなあ」と何度も言った。どこが「さすが」であったのか知らないが、そのように周囲から思われることは自信を持つことにつながる。その自信は努力に裏づけられる。努力は10年20年続けて少しは成果が出るもので、そういう人生に向かう覚悟があるかどうかは10歳頃にはもう顔に出ている。そしてその年齢で大人も含めて周囲の人間がどういう性格でどの程度であるかを察知もしている。Mがリストラに遭ったことは学生時代の留年に現れわれていたかもしれない。当時のMのそれは兄から影響を受けた文学や芸術に対する興味が高じたためであったのだろうが、その趣味が経済的な意味でその後のMを助けることはなかった。Mは読破した小説を筆者に何度かまとめて送って来たことがあるが、当時筆者が読んでいた本には全く関心がないと言い、Mにとっての読書は暇つぶしに過ぎないものであった。何が言いたいかと言えば、Mが真剣に取り組んだことは何であったかだ。Mは自発的に小説を書くほどであったのに、それを持続させなかった。筆者はこのブログを20年近く、ほぼ毎日書き続けている。Mがこれを読んでいるとは思わないが、筆者がMに示したいことは、先に述べたように努力は長年続けて少しはましな何かが出来るようになるのであって、しかもそれが収入につながる保証は全くない。そんな馬鹿なことを続ける筆者がMから見て陽気で羨ましかったとすれば、Mは自分なりの幸福な気分になれる何かを続けるべきであった。たぶんそうしていると想像するが、そのことのひとつが「奈良散策」であれば筆者はまたMと親しく話が出来ると思う。筆者は石上神宮の参道の坂を上りながら、Mのことを思い出さなかった。ただし、今日の最初の写真のように大鳥居の前まで参拝客の車が来ている様子を見ると、Mと一緒なら車に乗って訪れていたはずで、それがいいのかどうかだ。筆者は車に頼らず、歩いて奈良を巡りたい。見えるもの、気づくものに違いがあるはずと、貧乏人の負け惜しみを言っておく。3,4枚目の写真は境内で見かけた鶏で、意表を突かれた。雄鶏の美しさは若冲画そのものであった。獣に襲われないのかと気になったが、夜間は檻に入れられるのかもしれない。またあちこち産み落とした卵は回収されてどうなるのか。
●神社の造形―石上神宮、その1_b0419387_14373107.jpg

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by uuuzen | 2023-04-17 23:59 | ●神社の造形
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