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●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その37
量の 余地を量るか AIは 遺伝子調べ みな仕方なし」、「手間いらず 勝手に育ち 枯れはせぬ やがてどしりと 見事な蘇鉄」、「菰巻きの 蘇鉄にょきりと 五六本 大事にされて 一家安泰」、「鉢植えの 達磨蘇鉄に 雪積り あらたか払い 残りは飲めと」
●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その37_b0419387_15522688.jpg
今日と明日に分けて2年前の10月19日に撮った相国寺の承天閣美術館前の蘇鉄の写真を紹介する。撮った写真をなるべく全部使いたいので2枚を1枚に加工し直すなどして全部で6枚にした。それを全部一度で投稿すると最低5段落書く必要がある。読む側にしてもそれは少し多いので、今日と明日との二回に分ける。さてこれは読者にわからないことだが、筆者はパソコン画面に近日中に投稿すべき画像のサムネイルをたくさん表示させている。新たに撮影するたびにそれは増えるが、画面いっぱいに近づくとグーグルのマイボックスに移動させる。逆にそこからダウンロードして画面にサムネイル表示させている画像もあり、また投稿用に加工を済ましてマイボックスに上げずにパソコンに保存している場合もあるが、今日と明日に使う蘇鉄の画像は加工後にマイボックスに移動させないままパソコンに保存し、サムネイルをずっと見続けて来た。すぐに投稿するつもりであったのに、やがて『いつ投稿すればいいか』という気がかりを保つこととなった。その気がかりの幾分かはパソコンが壊れるとそれらの画像が失われるためであって、『なるべく早いうちに投稿してしまおう』という意識が底流している。誰でもそうした些細な気がかりは多く抱えて生活しているはずで、一方ではその気がかりを少しでも減らしたいと思っている。それで筆者はようやく重い腰を上げ、今日と明日とで2年前の秋に撮った写真を使うことに決めた。重い腰の原因は何かと言えば、これらの蘇鉄の写真はこれまで投稿して来た街角の蘇鉄とは違って庭師によって専用の庭が造形されているためだ。蘇鉄を植える寺が少なくないことは誰でも気づいているが、筆者はTVでたまに地方のそれなりに有名な寺が紹介され、その本堂前の目立つ場所に立派な蘇鉄の群れを見かけることがよくある。そうした寺に筆者は訪れる可能性はゼロに近く、TVで数秒ほど写ったそれらの蘇鉄が強烈な印象として脳裏に刻まれているが、このブログで筆者が紹介する蘇鉄は卑近の言葉がふさわしい。したがって筆者の行動範囲や思考の狭さを象徴もし、ある意味では恥じ入る。しかし市井の人々が育てる蘇鉄の存在感はそれなりに捨て難い。そう考える筆者はこのブログを同様に捨て難い何かがあるのではないかとの密かな自負のようなものも持っている。そういう小さな自己の生活の中に突然この禅寺の美術館の蘇鉄が現われた。立派な美術館を建てるほどの寺であるので、それに付随する蘇鉄の庭程度は理想の形にどのようにも築造出来るほどの資力はあるだろう。
●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その37_b0419387_15524526.jpg 作庭は昔は同朋衆が携わった。その伝統は現在も各地で続いているだろう。川端康成がなぜ自殺したのかという理由を探る小説を読むと、それに関しての話が出て来る。晩年の康成は自宅の庭に気に入った木を移植させることを好み、そのことに協力した植木屋のある娘を秘書のひとりとしてやがて雇う。康成は彼女を大いに気に入り、恋心も抱いたようだが、女性にすれば眼光鋭い薄気味悪い痩せた老人で、いくら贔屓にしてもらってもねんごろな関係にはなりたくない。それはいいとして、その小説家は康成がその娘を気に入った理由として、彼女が植木屋すなわち被差別部落出身者であるとみなし、また康成やその妻もそういう血筋であったのではないとの、根拠が非常に薄弱な大胆なことを書き、結局その小説は康成の遺族から訴えられて発禁になった。筆者はその小説家の康成に対しての敵愾心、嫉妬心の凄まじさを目の当たりにし、ともかく下衆の勘繰りの下品さに驚いたが、京都だけではなく、日本全国的と言えばよいか、作庭に携わる商売の人たちが同朋衆すなわち現在で言う被差別部落出身者であるらしいことの知識を得、またそれが正しいのかどうか調べようのないことにもやもや感が残る。それは正しいかどうかを知りたいというのではなく、何となく世間ではそう思われて来たことのいやらしさに触れるからだ。筆者は植木屋が被差別部落出身であろうとなかろうとどうでもよい。京都では肉屋もこぞって被差別部落出身者とみなす陰の声があるが、植木屋も肉屋も今では金持ちが大部分を占めるはずで、彼らは商売替えをしたいとは思っていないだろう。先の小説に戻ると、作者は康成が被差別部落出身であればノーベル賞はふさわしくなかったと言いたかったのだろうか。同じ小説家として、被差別部落民であるかもしれない康成が世界的に有名になり、立派な生まれである自分はローカルな人気を得ているに過ぎないと恨んでいたのだとすれば、あまりにいじけて醜い。そういう人が書いたものはもちろんそういう思いを読者に伝える。それはいいとして、作庭は芸術であり、同朋衆の伝統は現在に継がれて京都では特に社寺の造園に携わっていると思っていいだろう。有名寺院となると特にそうで、その寺と同じほどの歴史のある造園業の家柄と関係を結んでいるのではないか。同じ業者が長年携わらねば庭の造形は完璧な状態では保たれないだろう。寺の庭は何百年も経っていれば「今現在」の形であるはずなのに世界遺産に指定されるものがある。昔とほとんど変わらない状態が保たれて来たからだ。絵図や写真がないのになぜそれがわかるかと言えば、代々の庭師が見守り続け、手入れを欠かして来なかったからだ。そこには全くの他人が入り込めない同朋衆のような集団の存在が前提となる。彼らは新しい庭造りにも携わるだろう。そこでは本来の造形力が発揮され、その意味でやり甲斐のあることに違いない。
●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その37_b0419387_15531199.jpg 蘇鉄だけでの庭造りは珍しいだろうか。前述のように寺に蘇鉄が大規模にあることはそう珍しくはない。だがそうした蘇鉄はある一画を占める場合が多く、民家の鉢植えの巨大化との感じがある。つまり数多い蘇鉄を点在させ、絵巻や屏風のような眺めを意図したものではない。ところが承天閣美術館前の庭では岩を用い、どの部分の蘇鉄も趣が異なり、それらが全体となって白い砂の上に変化に富む蘇鉄の眺めを形成している。これらの蘇鉄はいわば十六羅漢や五百羅漢の像のようであり、また今後の生育を視野に入れた造作が感じられる。正直な話、筆者はこの蘇鉄の庭を見て、蘇鉄を画題に蘇鉄屏風を友禅技法で染める意欲をほとんど失った。絵画ではこの立体曼荼羅的蘇鉄群には到底かなわないと思うからだ。何がかなわないかと言えば、鑑賞者が移動するたびに見え方が変わることの面白さだ。それは立体であるからには当然のようだが、前述したある一画を占めて巨大に育つ蘇鉄も鑑賞者は移動するたびにまた違う眺めを得ることとは違って、この蘇鉄の庭はその一画の集合体でありつつしかも目下のところさほど有機的に配置されているとは思えない節もあって、言い換えればその不統一さの前で戸惑うと同時に、その不統一さでしかあり様を得ず、そのことが面白さの理由になっていることを思うからだ。不統一さは捉えどころのなさと言い換えてもよい。そのことは、+筆者のカメラの性能にもよるが、どのようにそれぞれの一画をフレーム内に収めてよいか迷ったことの原因になっている。その不統一さは蘇鉄がさらに成長すれば解消されるかと言えば、それは筆者にはわからない。また巨大に育つと間引かれたり、幹が剪定されたりすることもあるだろう。そう考えると現時点でこの庭は完成しており、不統一さの中に統一さがある現状は作庭家の意図したものだ。逆に統一を集めて不統一にしたと言い変えてよいが、規律と破綻の双方が見られることは芸で言えば最上のものかもしれない。筆者が蘇鉄を題材に六曲一双屏風を染めるとして、その構図は完璧を目指したものになる。だがそれではこの庭に負ける。完全でありながら不完全さを内蔵し、不完全のようでいて完全な姿。それは人間を示してもいる。羅漢もそうと言ってよい。この蘇鉄の庭のためにどれほどの蘇鉄から立体構図にふさわしいものが選ばれたであろうか。その設計図を見たいものだ。どこにどのような形の岩と蘇鉄を配置すべきか。作庭家は蘇鉄の寿命の長さと将来の成長状態を考えてこの庭を造った。その時、参考にすべき蘇鉄の庭があったのか。蘇鉄のある有名な場所は数多く参考にされたはずで、一方ではそれらの蘇鉄のどれとも違う集合ぶりを造るという創造意欲があったろう。その才能は芸術と呼ぶべきものであり、昔の同朋衆の伝統を継ぐ。鉢植えの蘇鉄を大事にする人にも美への関心はあり、この蘇鉄の庭を見ると驚くだろう。
●撮り鉄の轍踏み蘇鉄読み耽り、その37_b0419387_15533466.jpg

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by uuuzen | 2023-04-04 23:59 | ●新・嵐山だより(シリーズ編)
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