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●今年の本気の鶏頭、その12
び咲く つもりなどなし ただ生きる どこに美を見る 誰もが自由」、「偶然を 必然と見る 浪漫人 凶を信じず 幸運紡ぎ」、「吾はここ 見たければ来い すぐに来い もうしばらくは 元気でいるが」、「ここにしか なき花見事 描きたし 一期一会の 今この時に」●今年の本気の鶏頭、その12_d0053294_18273901.jpg 今年の本気の鶏頭と題しながら、昨日に続いて今日も番外編とすべきで、わが家で育てた鶏頭の話ではない。そして今年見かけた最も驚嘆すべき鶏頭の花を紹介する。出会いは22日だ。一昨日書いたように、その日は朝6時に家を出て大枝小学校まで車で送ってもらった。行列の参加者全員の着替えが終わった後、バス2台に乗り込む直前、体育館の脇で裃隊の全員が揃った記念撮影をしてもらい、9時に学校を出発した。後方の補助席に座った筆者が目覚めたのは丸太町河原町に差しかかる頃で、荒神口で全員下車して時代祭りの行列の予行演習のような形で縦一列になって北西の御所に向かった。擦れ違う歩行者は店舗経営の人は瞠目しながらも時代祭りを思ったであろう。一行は府立文化芸術会館北側の広小路通りに入り、南側の歩道を梨木神社に向かって間もなく、シャッターが閉じたとあるビルの前の歩道際に背丈の高い変わった形の鶏頭を見かけた。今日の最初の写真がそれでドレッド・ヘアと言えばいいか、もじゃもじゃ頭だ。このようなヘア・スタイルの男性はいる。鶏頭の花のことを2,3年前にニエリエビタさんに話すと、彼女は鶏頭をパンクだと言った。その言葉が意外であったが、そう言われると確かに花の中では最もパンクのイメージに近い。色も形もとても目立って奇妙であるからだ。しかし彼女の念頭にある鶏頭の花の代表的な形がどういうものかは知らない。筆者のそれは幼ない頃に見かけて母に名前を教えてもらった鶏冠鶏頭だ。したがって筆者が鶏頭にこだわるのは鶏冠鶏頭だが、鶏頭の花はさまざまな形があり、また葉鶏頭の美しさも今年は知ったので、現在の筆者の脳裏には多様な鶏頭の花のイメージが蓄積されている。筆者の行動範囲はごく狭く、見かける鶏頭の花もそれに応じるが、22日の朝に広小路通りの南側で見かけた鶏頭のいくつかの品種の列は、2,3秒の通り過ぎる際に目撃しただけであるにもかかわらず、即座にきわめて珍しく、ぜひとも写生すべきと決めた。一瞬の一瞥でも花は盛りが過ぎていることは明らかで、描くのは早いほどいい。それで時代祭りの翌日の昼前、恋人に会いに出かける気分で市バスを乗り継いで駆けつけた。時代祭りの行列に加わることがなければそれらの鶏頭に出会えなかった。そこに運命を思うほど筆者はロマンティストではないが、こんな市中に植物園でも見かけない鶏頭の群れがあるとは。しかもきわめて過酷な場所に咲いている。ビル前の敷地とコンクリートの歩道とのわずかな隙間で、土はほとんどない。それに直射日光は当たらない場所だ。あるのは雨水とわずかに覗く土、それに吹きすさぶ風だ。
●今年の本気の鶏頭、その12_d0053294_18280294.jpg 広小路には思い出がある。蛇足ながら書いておく。筆者が京都に出て友禅師の弟子になったその年か翌年、府立文化芸術会館で染織作家のグループ展があった。それを師匠と見に行った帰り、河原町通りのバス停から梅津に戻ろうとすると、師匠は西の梨木神社方面の遠くにそのグループ展の出品作家のうち、山科在住のM先生の姿を認めた。そして遠くから先生の名を呼び、筆者にかわまずにそっちに向かって走り去った。広小路の東と西の端であるので距離は百メートルほどだ。それほど離れていれば仮に知り合いの姿を認めても大声で呼びかけて挨拶に出向くことを筆者ならしないが、師匠は違った。筆者、師匠、M先生はそれぞれ20歳ほどの年齢の開きがある。筆者は師匠の後を追った。息を切らせた師匠は先生をつかまえ、挨拶をした。M先生は友禅ではなくローケツ染め専門であったと思うが、画題は薔薇がもっぱらで、その花を長方形に押し込んだ抽象文様をもっぱらとしていた。筆者は師匠の後方で無言で立ち、M先生はしきりに筆者を意識して何度も見つめた。その眼差しは興味深さというより、優しく、また敬意のようなものも含んでいた。京都の染色界に入って来る若手はもう当時は少なくなっていたが、M先生の筆者に対する無言の笑顔には将来を託すとでもいったような雰囲気があった。そういうことは実際に口に出さずとも感じる。人間はものを言わねばわからないという意見があるが、言わなくてもわかることはある。むしろ言わずに全身から発散する相手への思いは伝わる。言葉はその添え物に過ぎない。広小路通りと言えば今も筆者はその時のMさんのことを思い出す。言葉を交わしたことはなく、記憶にあるのはM先生の濃い臙脂と茶色の混じった色合いのジャケットくらいなもので、師匠とM先生は本当に挨拶だけで別れた。筆者はその時のM先生の年齢を超えているが、気分は若い頃のままで、今年は鶏頭の花をあちこちで写生している。家内はそのことを今さらじたばたしてといったように冷やかすが、筆者が嬉しそうに写生に出かけて夕方になるまで帰って来ないことがひとり取り残されたようで気分が悪いのだろう。話を戻す。折り畳み椅子に座って描いていると、背後に10分にひとりの割合で人が通るが、幸い筆者に無関心で、気はほとんど散らない。困ったのは風による寒さだ。1時間に一度尿意を催した。西に歩いて1,2分のところ、御所に入ってすぐに大きなトイレがあることを22日の朝に知っていた。大枝小学校を出発した時代祭りの隊列は御所に入ってすぐに引率者がそのトイレで用を足したい人は利用しておくようにとの言葉を発した。5,6人がそこに駆け込み、筆者は利用しなかったが、そこにトイレがあることを記憶した。それで翌日は写生の間、それが終わった帰る際の3回、そのトイレに行った。
●今年の本気の鶏頭、その12_d0053294_18285536.jpg 風が冷たいのは我慢出来るが、強いのは困る。花や葉が揺れ、スケッチブックもページがめくれるからだ。そうなれば鉛筆の動きはしばし止まる。しかし過酷な場所で咲いている花を描くのであれば同じ過酷さを体験するがよい。それによって花の身の上も少しはわかる。最も気になる花から描き始め、6枚描いた。とうてい1日では終わらないのでまた日を改めればよい。帰り支度をして花の写真を撮っていると河原町通りから親子とおぼしき男性ふたりが接近して来た。電気工事か大工か、作業服姿であったので仕事帰りだろう。父親らしき男性は60代で、とても陽気で話好きであった。その鶏頭の花が咲く後方のビルであるマンションの住民で、ビル前の木の囲いで覆った4,5個の大きなプランターを設置し、花の世話をしていると言う。鶏頭は何年か前から育てているが、不思議なことに土がたっぷりのそれらのプランターではさっぱり成長せず、勝手に種子が地面にこぼれてコンクリートのごくわずかな隙間に勢いよく花が咲くとのことで、筆者と10分ほど鶏頭談義になった。筆者は珍しい花の形なので来週も描きに来たいと言うと、その男性は1週間やそこらではまだ同じ形で咲いているはずと返事し、とても嬉しそうであった。帰宅してそのビル前をグーグルのストリート・ヴューで確認すると、鶏頭の花が写っている年度の画像はない。そのため何年前から咲き始めたかわからないが、毎年同じように咲くとは限らない。というのはそのビルの1階は薬局で、土日以外は頻繁に人の出入りがあり、また鶏頭のすぐ際に車がしばしば停められるからだ。23日もそうであったが、写生中の筆者がいるので車は遠慮して一時駐車場所をわずかにずらした。また先の男性によれば、花はいつの間にか歩行者がへし折って姿を消すとのことで、花もその恐れを感じているだろう。何しろ歩道際に何もない広小路通りで、その薬局前のみに歩行者にすれ違うほどの位置に花が並んでいるからだ。筆者は路傍に枯れた雑草があれば、たまにその1本を折り切る。思惑があってのことではない。目に入った時に何となくそうして、しばらくもてあそびながら歩き、別の雑草のある場所にそれを捨てる。それと同じで、目につきやすい鶏頭の花であれば、そしてもう枯れかかっているのであれば、折ろうと思う人がいても不思議でない。今日の写真は咲いているすべての花ではない。全部を気の済むまで写生するには4,5日は必要だが、薬局が休みの日となれば土日しかなく、また雨天は駄目だ。しかもどんどん枯れが進むので、来週の土曜日も無事かどうか。それにしても何とも鮮やかで美しいことか。パンクと言えば本当にそうだが、これだけ色合いが豊かで形も突飛な花は鶏頭以外にない。捉えどころのない謎めきが魅力だが、明らかに誰が見ても鶏頭とわかる特質もある。
●今年の本気の鶏頭、その12_d0053294_18292363.jpg

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by uuuzen | 2022-10-25 23:59 | ●新・嵐山だより
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