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●京都市京セラ美術館の内部、その3
服の 咳止め酒で 晩酌す 朝晩寒し 夏物のまま」、「小春さん 日和らず和み 飽きられず インディアンさま 知恵を与えし」、「適当に 敵を作って 金儲け ネット社会の 民主主義なり」、「長生きし 尾諸内蔵(おもろないぞう) 顔語る IQ自慢 EQゼロや」
●京都市京セラ美術館の内部、その3_d0053294_16044993.jpg
昨日投稿した展覧会の展示室は、京セラが命名権を買う以前のままで、その点はほっとした。新品同様に改装しようと思えばそれなりに出来たのだろうが、その費用はもったいない。それがあればほかに使えばよく、また展示室は老朽化が顕著ということもない。昨日書いたように、前半と後半の展示室をつなぐ廊下兼ちょっとした休憩所及びトイレのある部分は、そのトイレの向い側にごく小さな展示室がふたつ出来ていた。筆者が記憶するこの美術館ではその扉が開けられたことはなかった。したがって掃除用具などを収納する倉庫であった可能性が大きいと思う。そこを展示室にするアイデアは、大部屋ばかりが続くこの美術館では変化があって面白い。美術品は百号級の大画面ばかりとは限らず、ごく小さなものもある。そういうものをまとめて展示するにはこの部屋は最適だ。ただし企画展によってはそういう小さな作品がない場合もある。そういう時は扉を閉じるか、ソファを置いて休憩室にすればいい。改装後初めて訪れた筆者が最も意外であったのは、その小部屋前のトイレの左手に新たな透明なガラス扉が出来ていて、トイレの向こう側の中庭に出られたことだ。これも改装による解放で、筆者は初めてその中庭の存在を知った。早速グーグルのマップで確認すると、その中庭は上空から確認出来る。そこを長年閉鎖していたのはなぜか。展示場として使えないのであれば見せないでおこうと考えられたに違いない。筆者は尿意が固いこともあって、そのトイレに入った記憶はほとんどなく、したがってトイレの窓から外の中庭が眺められるのかどうか知らないが、今日の2枚目の写真からは窓があることがわかるので、擦りガラスであっても外光はわかる。写真では右手の窓の最上部から換気用の筒が建物のてっぺんまで2本立っている。これは改装による設置なのかどうかわからないが、取って付けたようないかにも改装した雰囲気が強い。建物のデザインのシンメトリを無視しての設置で、美術館が出来た当初はなかったものだろう。ただし臭気を逃がす仕組みは必要であるから、もっと短い管によって臭気を中庭に出していたと想像する。金属製のそうした筒の先端に風で回転する換気扇と円錐形の傘を被した煙突状のもので、水洗トイレになる以前はそういうものがよくあった。水洗になっても臭いは出るから換気の必要はある。今回の改装で中庭に出られるようにしたので、トイレの臭気は屋上まで引導する必要があった。その筒を白く塗ったのはチケット・ゲートをくぐったホールの壁面の色合いと合わせたのだろう。
●京都市京セラ美術館の内部、その3_d0053294_16050671.jpg 中庭に出られる構造で思い出すのは茨木の国立民族学博物館の本館だ。そこでは建物の壁に囲まれたいくつもの矩形の中庭があって、大きな展示物が置かれ、またその中庭に出られる場合もある。京都市京セラ美術館はなるべく無駄を省く、すなわち利用しない空間をなくす考えで改装がなされたのだろう。この中庭は写真からわかるように閉塞感がある。緑がないからでもあるが、悪く言えば監獄や精神病院の建物の中庭のようで、あまり利用価値がなさそうだが、自動のガラス扉を開けて外に出ると、右手突き当りの奧に最初の写真のように赤い金属製の彫刻が見える。これは改装による設置のはずで、清水九兵衛の作品であることは美術ファンなら即座にわかる。筆者は「ああ、またか」と思ったが、それほどに九兵衛のこの類の作品は京都市内に多く、この美術館の大通りの西向こうにある「みやこメッセ」前にはもっと大きくて複雑な作品が設置されている。どれも赤に着され、平安神宮の大鳥居を思わせてよい。その大鳥居は岡崎の文化ゾーンでは中心のシンボルとなる巨大彫刻と言うべき存在で、それに比べると九兵衛のどの作品も迫力では全く見劣りがする。九兵衛はそのことを気づいていたはずで、それで大きな金属製の彫刻に進み、赤色にしたのかもしれない。それはともかく、先月15日はその九兵衛の展覧会が大鳥居脇の京都国立近代美術館で開催中であった。話を戻して、灰色の石ばかりの閉鎖空間に九兵衛の彫刻の紅一点の赤があるのはいいアイデアだ。九兵衛が亡くなったのは京セラが命名権を得る以前の2006年で、九兵衛は自作がこの中庭に設置されることは知らなかったであろう。あるいはいずれ改装するので、その際に中庭を解放し、九兵衛の作品を置くことで潤いをもたらす考えが九兵衛に伝えられていたかもしれない。九兵衛のこうした彫刻は小さな模型と設計図を九兵衛が創り、後は工場に製造させるから、九兵衛がいなくても同じものは量産可能だ。この中庭に九兵衛のどの作品がふさわしいかとなれば、それは九兵衛が現地確認して決めるべきことで、そう考えると九兵衛の生存中にどの作品をどこに置くかは決まっていたかもしれない。あるいは九兵衛の没後に関係者が決めたかだが、そっちの可能性が大きいだろう。というのはこの横長の彫刻はあまり自己主張していないからだ。存命中の九兵衛であればもっと大きく目立つものを望んだのではないか。3枚目の写真からわかるように、中庭の壁からあまり突き出ていないので邪魔にならない。また自動扉を出てすぐには作品の半分しか見えず、全体を見るには2枚目の写真の裏側にトイレのある半円形の壁を越えて向こう側まで歩く必要がある。それは作品鑑賞の方法としてはよく考えられている。この中庭は巨大な立体作品の展示に使えるので、そのことを考慮して整備したうえで解放されたのだろう。
●京都市京セラ美術館の内部、その3_d0053294_16053119.jpg この中庭はひどい雨天は閉鎖されるだろう。晴れの日は陽当たりのある場所が出来るので、薄暗い展示室から出てわずかに置かれるベンチに座って外気を吸うのは気分転換になってよい。目を楽しませるのは九兵衛の彫刻以外にないので植生がほしいところだが、世話するにも人材の経費を要する。4枚目の写真では出入口のガラス扉が左下部に見える。改装前にそこは右側と同じような壁面であったとすれば中庭にはほとんど出られない構造になっていたことになるが、それでは雑草が生え、塵も積もるから、たまの清掃のためのひとりが出入り出来るほどの扉はあったのだろう。九兵衛の作品の設置は大型クレーンで吊り下げて下ろしたことも考えられえるが、どうせ中庭に出入り出来るように壁の一部を壊すのであれば、ガラス扉を設置した段階かその直前に展示室を通って作品を運び入れたのだろう。となれば今後中庭で大きな彫刻を数点展示するとして、それらはこのガラス扉をくぐれる大きさに規定される。まあそんな想像はどうでもいいが、チケット・ゲートの奧の吹き抜けホールと同様、小規模の人の集まりには使えるので、それにふさわしい催しが企画されればよい。この中庭は改装による三大変化のひとつとしてよい。他のふたつは「その1」で紹介した吹き抜けホール、そして「その2」で言及した館の東にあった庭の一部を壊しての新館で、古くてどことなく黴臭い印象が強かった京都市美術館は明るくて解放的な感じが一気に増した。河原町丸太町にホールもある展示場として府立文化芸術会館がある。これは市内のほぼ中心にあって筆者は便利と思うが、利用者からすれば岡崎の文化ゾーンと同じく、「陸の孤島」のイメージがあると聞く。高倉三条の府立文化博物館は開館以降、予想外の利用者の多さで、繁華街に近いことが人気の理由になっている。ただし緑とは無縁で、それがいささかさびしい。改装改名された京都市京セラ美術館は雰囲気がよくなったが、欲を言えば大阪の中之島公園に倣って美術館の近くのどこかに薔薇園でも設けることだ。財政が厳しい京都市は古いものを活かしながら改変するしかなく、そのことが却って新旧の文化のほどよい混在となって安心感がもたらされる。歴史が古くて頑丈なものをなるべくそのままの形で遺して行くことは西洋では常識ではないか。そのような考えで京都府立図書館も外観はほぼそのまま残して改装された。勧業館(みやこメッセの前身)や京都国立近代美術館はすっかり新しく建て替わったが、利用可能な面積を増やすためにはそれは仕方がなかった。国立競技場の建て替えもその理由だったかもしれない。去年開催の東京オリンピックまでは、64年のオリンピックに際して聖火台を造った関東の鋳物工場がTVでよく紹介されたのに、その聖火台は再使用されず、現在はどこにあるのだろう。使えるものは使う。使えない老いた政治家は退場していただく。
●京都市京セラ美術館の内部、その3_d0053294_16055238.jpg

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by uuuzen | 2022-10-02 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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