「
縛られて しらばくれれば 時雨かな 柴の束ねも しばし濡れ染む」、「曇天に 雨はどないと どんと訊き 照っても傘は 役に立つじゃろ」、「夕暮れに 花に水やり 一仕事 夜に雷 降雨百粍」、「分かれ道 右を選ぶは 正しきや 行き止まりでも 乗り越えて行け」
今日の3枚の写真は一昨日の最初に掲げた地図のBからCの手前までで撮った。西宮成田山を過ぎてすぐ、Y字路に至った。家内はどこに連れて行かれるのかわからず、怒り度は五段階の四ほどになっていた。それで先ほどスーパーでわずかに腹ごしらえをしたのだが、Y字路が目前に迫ると、「どっちへ行くの」と低い声で訊ねる。筆者もわからないが、平気な顔をして右に進んだ。西宮神社の南東角や南門に行くのは初めてで、また今回は出かける間際に西宮神社から香櫨園駅まで歩くことに決めたので、ネットで西国街道の地図を印刷しなかった。方向感覚がわからずに左右どちらの道を行くべきかとなれば、筆者の場合、右利きでもあって本能的に右を選ぶようだ。それに今回は右の道は阪神高速から遠ざかり、生活道路に入る。つまり西国街道らしい。その思いは当たっていた。今日の最初の写真はY字路の右を進んで大きな道路に至る直前に撮った。道路をわたるのに信号はない。70代半ばのいかにも昭和の感じが漂う優しそうな太った女性が筆者の右手にいて、彼女が消えかかった横断歩道をわたろうとすると、山手と浜側からの2台の車が停まった。筆者と家内は彼女の後にしたがって道路を横断し、彼女は山手に向かい、筆者らは西国街道と思い込んでいる、そしてそれは実際正しい道を進んだ。横断した道は今地図を見ると、「建石筋」とあり、浜辺に近い建石町に至る。北に進むとJRの夙川駅に至り、それを越えてさらに北に延びる。JRの夙川駅は「さくら夙川」という名称で、「さくら」は東に南北に延びるオアシスロードを指してのことだろう。この駅は名称からして新しく出来たものだろう。早速調べると起工は2001年だ。京都の山陰線も同じで、太秦駅や西大路駅は民営化後に出来た。「さくら夙川」は桜の季節以外は違和感があってあまりいい名称ではないが、新設が決まった当初に挙がった西宮神社に因む「戎前」もよくない。さりとて「西宮西」では味気なく、「夙川」では阪急の駅と紛らわしく、上品に「さくら」をつけたということか。さて、今日の2枚目の写真を撮ったのは、Y字路の右に進んだことが正しいことがわかったからだ。写真の奧にひときわ高く「US」の大きな白い文字のある直方体の広告塔がある。給水塔の覆いと思うが、それはラヴ・ホテルのもので、筆者は半世紀前から知っている。半世紀前からその塔があるかどうかは定かではないが、ラヴ・ホテルがあるのは確かだ。その西際を南に下がり、最初の東西の道を西に進むと大谷記念美術館がある。
付近に他にラヴ・ホテルがあるのかどうか知らないが、香櫨園という駅名は古いラヴ・ホテルに似合うような雰囲気がある。今ではそんなホテルよりかはマンションのほうが儲かる気がするが、この「ホテルUS」が長年営業していることは他にラヴ・ホテルがあまりないからかもしれない。ラヴ・ホテルは小中学校から何百メートル以上は離れていなければならない条例が都市によってはあるはずだが、大谷記念美術館のほぼ西隣りが小学校で、「ホテルUS」とは200メートルほどしか離れていない。5月27,8日に茨木市内を歩いた時、ラヴ・ホテルが並ぶ道を歩いた。そこは通学路になっていて、子どもたちは変わったデザインの建物を見慣れるかたわら、大人にはいろいろと事情があることを悟る。2枚目の写真の右奥に蔦で覆われた建物がある。3枚目の写真はその正面に立って撮った。空き家になって何年か建つだろう。この写真をほぼ1年ぶりにシリーズの「緑のタペストリーと絨毯」として投稿しようと思ったが、道路沿いの塀の向こうにカンナが何本か咲いていて、やはりほとんど1年ぶりになる「あ、カンナ」の題名でもよく、結局「西国街道」に吸収するのがよいと決めた。カンナは放っておいても毎年開花する。この建物のカンナは2本が塀のこちら側に折れている。その様子がいかにも空き家らしく、近隣住民は「あかんな」と思って眉をしかめているかもしれない。さほど古くない家のようで、また香櫨園駅から近い西国街道沿いでもあって、人が住まないのはもったいないが、大人の世界はいろいろと事情がある。そう言えば今年はカンナの花をほとんど見かけない。スーパーの往復以外で歩くことがほとんどないからだが、一方で思うのは生育にそれなりの大きな場所を必要とするので、街中の家では好まれないことだ。その意味でこの蔦で覆われる家は屋根の色からしてスペイン風でもあって、カンナのオレンジ色の花は似合うと考えられたのだろう。高さ3メートル近いので、そこまで大きくなるのかと疑問で、塀の向こうには大きな植木鉢が台の上に並べられているかもしれない。あるいはカンナが陽当たりを求めるあまり、茎を塀の高さよりうんと背伸びするようになったか。蔦はわが家の裏庭のブロック塀にも生えているが、葉は幅2センチほどだ。そういう品種なのか、あるいは生育条件の悪さが影響しているのか、筆者はなるべく見つけると除去する。夏の暑さを和らげるのに蔦は効果があるはずだが、繁茂しやすい。それでニガウリを日除け代わりに育てる家をちょくちょく見かける。それなら夏が終われば撤去しやすく、実も出来る。物価値上げの昨今、プランターでトマトや茄子などの野菜を育てる人は増えている。花もいいが、実が色づきながら育つのを見るのも楽しいだろう。嵯峨のスーパーの近くに前庭で茄子を鉢植えで育てる家があって、先日とても大きな実がひとつ出来ていた。
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