「
佳境には 無縁のままの 黄昏に 厚き雲から 夕陽覗き」、「顔しかめ 誰も寄るなと 孤立爺 幼なき児見て 菓子を与えし」、「先生と 呼ばれて嬉し 議員さん 言葉の義の意 知らぬが長に」、「大型の 掃除機ほしや 世直しに 塵芥吸い 塩撒き清め」
昨日の続き。阪神の西宮駅で降りたのは西国街道を歩くためだ。本当はひとつ西の香櫨園駅が西宮市大谷記念美術館の最寄り駅だが、昔から同駅の西1キロほどに西宮神社があることは知っている。また境内の南端が西国街道であることも数年前に調べ、西宮駅から香櫨園の間を歩きたいと思い続けていた。家内にその道を歩くとは言わずに西宮駅で降り、まず駅南の大型スーパーに入った。今日の最初の地図ではAの辺りだ。そこは以前にも入ったことがある。内部はかなり古びているので改装は近いのではないか。飲物と甘いものを買い、昼食前の力づけに狭いイート・インで食べ始めた。すると、すぐ背後の受付カウンターで60代の女性店員相手に70代前半の半袖の薄いチェック柄のシャツを着た長身男性が、会員カードの申請を始め、住所氏名と電話番号が大声で聞こえていた。どちらも眼鏡をかけ、上品そうな感じで、西宮らしいと思った。筆者らがスーパーを出ると同時にその男性も外に出て、目が一瞬合った。駅周辺に住んでいるのだろう。筆者らはスーパーの西横の道を南下した。そうして最初に撮ったのが昨日の3枚目の路上写真だ。その5分ほど後に今日の2枚目を撮った。今回歩いた西国街道の距離はわずかで、西宮駅から香櫨園を経て次の打出駅までだ。歩いた道のりを今日の最初の地図で青線で記す。右端と左端のつながる赤線は西国街道で、左端のジグザグの赤線は帰宅して地図で調べて西国街道かと思うだけで、正しいかどうかわからない。前回西宮神社に訪れたのは4,5年前の正月で夜であった。今回は人がほとんど歩いておらず、真昼でもあるので境内を再訪してもよかったが、展示を見るべき施設は三か所あり、先を急ぐ必要があった。そして地図に記すように境内の南東角のBから西に向かった。2枚目の写真は右手奧に「西宮神社」の大きな立て看板が見える。左は頭上に阪神高速が走り、高架下の大通りを南にわたる気が失せる。ついで書いておくと、「西宮神社」の看板前辺りから道路を南にわたったところに巨大な「餃子の王将」の店舗があった。車で行く客がほとんどと思うが、西宮市の人口の多さを当てにしてもいるはずで、何となく意外な気がした。それでも阪神沿線では不思議でないか。さらに西の芦屋には同じ阪神高速高架下の道路沿いに「王将」はないだろう。神戸となれば南京町があるので、「王将」はあっても地下街の目立たないところで営業しているのではないか。そんなことを考えると、西宮市は上品な街とされながらも尼崎に近く、浜に近い阪神沿線地域は大阪に近い雰囲気が強いように想像する。
「王将」は筆者が京都に出て来た頃と違って、全国にチェーン展開してからは安くて量が多いイメージから脱却し、筆者が好きな天津飯と餃子2人前では千円以上するはずで、神戸元町の南京町で食べたほうが安価だ。話を戻して、筆者は阪神高速が頭上に走る圧迫感は大嫌いで、日本の大都市の眺めは高度成長期以降、とんでもなく醜悪になったと思う。数百年後にトラックに頼らない物流方法の大革命が起これば、真っ先にこうした高速道路を撤去すべきで、その時代が来ることを昔から夢想している。今日の3枚目の写真は上が、前述の「西宮神社」の大きな柱型の立て看板の前辺りから北を向いて撮った。神社の南門で、筆者はこの門を利用したことはない。なかなか立派で、西国街道沿いでもあってこの門が正式の雰囲気もあるが、今日の地図で言えば右端の赤線の西国街道が西宮神社境内に突き当たったところにある赤い門がそうだ。今回筆者は西国街道の道筋をうろ覚えであったため、その赤線のひとつ北の道を西に向かった。ということは次の機会はその赤門から東に向かい、すぐに北上して阪急の門戸厄神駅前まで歩くのがいい。たぶん5、6キロはあるはずで、涼しい頃の好天、しかも何かついでのことがあっての話だ。西国街道を順に歩くのではなしに、細切れにあちこち歩くのは当初からのことで、そのほうが面白い。言い換えるとあまり目ぼしい何かがない区間は後回しになる。ただし歩くと必ず目に留まるものがある。それを調べると意外なことがわかって面白い。そういうことは自分の足で歩いて得られることで、たとえば筆者のこのブログを読んだ人は同じ道を歩いても全然違うものに目を引かれるだろう。あたりまえの話だ。結局のところ筆者のこうした文章は筆者を表現しているのであって、西国街道のことは二の次と言ってよい。3枚目の写真の下は、南門から100メートル西にある西宮成田山円満寺だ。筆者の撮影位置の右手に「ここは西宮神社ではありません」という看板があった。2枚目の写真の奧に、「西宮神社」と同じ体裁で同じほどの大きさの「西宮成田山」の立て看板が道路際にあるので、間違う人はいないと思うが、それほど西宮神社は参拝客が多く、またそのためにトイレは必要だ。グーグル・マップでは神社境内の南西に「西宮市公衆便所」と「西宮えびす神社参拝者専用トイレ」が隣り合っている。言うまでもないが、「西宮えびす神社」は「西宮神社」のことだ。成田山は交通安全祈願で有名で、この西宮成田山もそうだろう。それで写真からわかるように建物の前が広い駐車場のような空き地になっているのではないか。新車を買った人がお祓いに訪れるには広い場所が必要だ。そうなれば阪神高速の高架下前は合理的な立地と言える。車の免許のない筆者には無縁の寺だが、西国街道沿いにあるのは旅の安全を祈願してもご利益があるからかもしれない。
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