「
涸れ土に にわか雨降り もどかしき 今日の庭木は 水が足りるか」、「葉が垂れて 水がほしいと 夏の花 遠雷聞きつ 今か今かと」、「鶏頭の 花の赤さや 吾知らず どの絵具混ぜ 似た色出るか」、「狂おしく もだえる思い 象りて 鶏頭の花 地より出るや」
今日の写真は6月28日の撮影。
「その2」に書いたように、裏庭で終日陽当たりがよい場所は隣家との境のブロック塀の上しかない。そこに植木鉢を並べるとして、台が必要だ。隣家に置いている木材から長さ90センチ、幅25センチ、厚さ1センチの1枚を選んだ。ブロック塀から落ちないように裏側にブロック塀の幅を開けて角材を2本打ちつけ、防水用にホームセンターで見つけたアルミの板を表面に張り、あまった分を四方に折り曲げた。地植えが理想だが、一昨年と去年、太秦の三条通り沿いの庭で冷凍保存用の発泡スチロールの箱を植木鉢にして久留米鶏頭が育てられ、土の深さが30センチほどでも人の背丈ほどの鶏頭が育つことを知り、植木鉢で充分と思い直した。そして苗の移植作業をしたのが「その2」の写真を撮った6月15日だ。今日の写真はそれから2週間ほど経った状態で、これを書く現在、花は日増しに大きくなり、そろそろ鉛筆で写生する時期になっているが、どこまで花が大きくなるのか様子を見ている状態でもある。またあまりの猛暑で、植木鉢を地面に下ろして写生する気になれないでいるのは、花の時期は長いのでそう焦ることもないかと考えているからでもある。鉢を部屋に持ち込んで描く手もあるが、それでは自然光の中で鶏頭を見ることにならず、写生に嘘が混じる気がする。写生帖は未使用の1冊を用意した。同じ表紙デザインのクロッキー帖を写生用に長年使っていて、1冊100ページある。表紙に何冊目かがわかる番号を大きく記しているが、ここ20年はほとんど写生をせず、「39」で止まっている。つまり3900枚描いた。1枚描くのに15分から20分は要する。また何冊目に何を描いたかの目次を30冊描き終えた頃に作り、そのノートを先日ようやく探し当てた。鶏頭はたぶん10枚ほどは描いたことがあるが、自分で植え育てて描いたことはない。鉛筆ではなく、ぶっつけ本番で鶏頭を水彩絵具で描くことをここ2,3年行なったが、別の緊張感と面白さがある。その要領で大きな画用紙に描くことを続けるとそのままで作品になる気がしているが、その行為は友禅とは関係がなくなる。それはそれでいいのだが、画用紙ではなく画仙紙に顔料で描くとよりいいのではないかとぼんやり思っている。富士正晴ではないが、最晩年に絵でも描いて過ごすにはそれが最適だ。5月上旬までの3か月間、韓国ドラマ『輝け! きらびやかなボクヒの人生』を見たが、その中で鶏頭の絵が何度か映り、韓国でも好まれている花であることがわかる。そう言えば祇園祭の鉾でも「大鶏頭花」の古典文様を用いた染織品が使われている。
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