「
斧に琴 菊を加えた 模様見て よきこときくと 耳をそばだて」、「襟糺し 真剣に聴く 新盤の 音奏でるは Tシャツ男」、「新時代 信じたいけど 心辞退 未知を恐がり 辛さ避けたき」、「心技体 真擬態とは 馴染むなり 深く思えば 何事も成り」
昨日アメリカの大西さんからのメールで、6月末日にザッパ・ファミリーがザッパの全録音をここ10年、新譜の配給会社であったユニヴァーサル・ミュージックと売却契約したことを知った。
ザッパ・ファミリーのホームページで詳細な記事が載り、
YouTubeでも発表されている。『ZAPPA/ERIE』は「ヴォールト・マイスター」(ザッパが遺した収蔵庫の管理者)のジョー・トラヴァース個人の思い出に基づいたアルバムであったので、以前から内部では話が進んでいたに違いない。つまりジョーにすれば同アルバムはザッパ・ファミリーとの最後の仕事で、彼がユニヴァーサルに雇われるかどうかはわからない。代わってマイク・ケネリーが「ヴォールト・マイスター」になる話があったようだが、すぐに撤回された。ザッパの子ども4人が承諾した新たな契約で、売却価格は2500万から3000万ドルとされ、日本円で40億円ほどだ。最近話題になったバスキアの絵画1点に及ばないことを考えるときわめて安いと思うが、ザッパの人気、またCDが売れなくなっていることからすれば妥当かもしれない。また社長である次男のアーメットも新譜制作と販売に疲れて来たのかもしれない。子どもひとり10億円の臨時収入があれば、散財しない限り今後の人生は金に困らず、いい判断でもあろう。気になることはいくつかある。まずザッパ・ファミリーのホームページは閉鎖されるかどうかだ。Tシャツなどのザッパ・グッズの販売もファミリーは手がけているが、ザッパの肖像権も含めて売却したので、ファミリーはもう父親の財産では商売は出来ないだろう。このところがよくわからない。『ZAPPA/ERIE』までの122番までの全アルバムの販売権をファミリーが依然として所有し続けるかどうかだが、未発表の音源や映像の販売権は持たない。ユニヴァーサルは長い目でザッパを新世代に売り込む考えで、たぶんCDよりもダウンロードで音楽を販売するだろう。ザッパ生前のアルバムをまた新たな装いで発売することもあり得るが、何度も同じ内容のアルバムが発売されて来たので、たとえばひとまず100作の紙ジャケのボックス・セットという企画があるかもしれない。大手のレコード会社と訴訟して独立の自由を保って来たザッパであるのに、ついに大手に飲み込まれて新時代のファンの獲得が目論まれることになった。その宣伝がどうなるのか楽しみではある。また日本で新たなザッパ・ファンが急増するかどうかだが、ユニヴァーサルは日本以外の国での売り込みを画策しているだろう。真の意味でザッパの音楽がユニヴァーサルな存在になれば古いファンとしても嬉しい。
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