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●京都堀川丸太町「大粒の泪」にて、「CV-GATE 京都」2o2、森田雅章、加納佐和子(三者共演)
逃の 方法思い ビルに入る ライヴ見ながら ライフ燃えるや」、「客の有無 有無を言わせず 無に近し 仲間集まる サロンのライヴ」、「グーの音も 出ぬほどパーに 包まれて チョキが飛び出て グー助けグー」、「遇される 愚ばかりか 仮寓の世 亀は蝸牛に 奇遇で語り」



●京都堀川丸太町「大粒の泪」にて、「CV-GATE 京都」2o2、森田雅章、加納佐和子(三者共演)_d0053294_16404552.jpg4月30日に金森幹夫さんからメールでライヴ情報があった。今月11日の夜、小雨が降る中、市バスを乗り継いで丸太街堀川北西近くにあるビルの地下の会場に出かけた。金森さんによれば、ライヴ会場の「大粒の泪」は新しくオープンし、主は大宮高辻の「夜想」近くでカレー店を営み、ロック・バンドの「ウンラヌ」に参加したとのことだ。この主は森田雅章さんと思う。カレー店については以前金森さんから聞いたころがあるが、場所は知らない。「大粒の泪」という新しい店舗を借りるのは、コロナ禍が下火になって京都のライヴ・シーンはまた活性化するはずで、それなりに借り手がある見込みからか。筆者は開場20分ほど前に着いた。バス停前のビルの地下に廊下があって5部屋ほどの扉があって、真っ先に目に入った店の立て看板には別のライヴ企画が書かれていた。それで廊下の突き当りに行くと左手の扉の奧からカラオケで歌う声が響いていたが、筆者の姿を認めた男性つまり森田さんが「大粒の泪」の小さな看板を指しながら、ここのライヴに来たのかと訊ねた。そうだと言うと、今はリハーサル中とのことで、地上に出た筆者は以前から気になっていた目的のために千本丸太街の交差点付近まで往復することにした。会場に戻ると開場が始まっていた。部屋はとても狭く、客は10人ほどいっぱいで、全員立ち見だ。出入口付近に椅子がふたつあって、他の人の邪魔になるので筆者はその後方に座り、前方には録画する男性が陣取り続けた。すぐに金森さんはやって来て、彼から3,4人紹介されたが、マスク姿でもあって以前の出会いを言われなければわからない。当夜は4組が演奏し、今日から順に感想を書く。今回の企画は「CV-GATE 京都」と名づけられ、演奏の前に森田さんは京都の有名な祭りを意識した命名と説明したが、それ以上は聞き取れなかった。彼は陽気で、京都を中心にその存在はよく知られているのだろう。ライヴハウスを拠点にする人脈が筆者には皆目わからない。京都にそれがいくつあるのか、また他府県とはどうつながっているのかだが、「夜想」では飛び入り客の出演日があって、そこで演奏して他のミュージシャンとつながる場合はあるはずで、絶えず変化し続けているのは当然として、森田さんのように演奏し、経営する人は中心的存在を担っているだろう。当夜の出演者は森田さんの意向が反映した人選と想像するが、明日取り上げる丸尾さんのように関東からの出演となれば、ライヴのギャラでは交通費や宿泊費は賄えない。大勢のミュージシャンがその立場にあるはずで、なぜそこまでしてと一般人は思うだろう。
 当夜の客はみなミュージシャンの顔見知りであったと思う。仲間内での演奏は昔の西洋のサロンと同じで、それなりに意義はある。客の多寡にかかわらず演奏者は人前で演奏して技術を磨く。画家の個展と同じだ。無名の画家は銀座の画廊で個展を開いてもまず客は入らない。それでも個展をした経歴は得られ、それが励みになる。筆者はライヴハウス経営者がネット上に出演者をライヴの写真つきで感想を綴るのがいいと思っている。現代画廊を経営した洲之内徹がそのような仕事をし、そのことで記憶される画家は少なくない。筆者は狭い京都ですらそこを拠点にするミュージシャンのごく一部しか知らず、ライヴを見れば好き勝手なことを書いているが、ライヴハウスの経営者ならば見取り図のようなミュージシャンつながり地図が描けるはずだ。そういう人材が積極的に動かない限り、ライヴハウスで活動するミュージシャンの存在は一般には知られにくい。音楽をもっぱらレコードで楽しむ筆者はライヴを見ても限られた知見からしか感想が書けず、ライヴハウス・ファンを増やす効果を担っていないと自覚するが、ライヴをするミュージシャンはCDを作っている場合が多く、その点でレコード本位の音楽ファンの関心や批評の対象になり得る。そのためことさらライヴを限定的に見ることはないが、仲間内本位のライヴで満足することはゴルフや麻雀の趣味と同じで、それ以上は望んでいないとミュージシャンが思っているのであれば、現状に変化がなくても何らかまわず、またそのことに満足出来ない者は別の方法を考える。ただしそうしてたとえば有名になるミュージシャンと、相変らず無名同然にライヴハウスでわずかな客の前でごくたまに演奏する人につながりがないとは言えない。その意味で有名どころの音楽性と比較して無名どころを云々する方法は間違いとは言えず、またたいていの批評はそれしか方法がない。さて以下本論。「2O2」はライヴを見たことがあるが、当夜はスライド・ギターを奏でた。加納佐和子さんは算盤の玉状のスティール・ドラムを奏で、筆者はこの楽器を初めて見た。スティール・ドラムは凹状ばかりと思っていたが、持ち運びしやすい凸状のものが製造されるようになったのだろう。この楽器は金属製の面白い響きをするうえ、音階もある程度奏でられ、当夜の3人の共演でも終始音は際立っていた。演奏は左端に森田さんが立ったままたまにトランペットを吹き、そして何と呼ぶのか知らないが大きなアンプ状の機器のダイヤルやつまみを適宜回しながら、プリ録音されたノイズ系の音を発した。20分ほどの1曲のみで即興で、長過ぎずによかった。3人の共演はお互い気心がある程度通じ合っていなければ全体の運びはうまく行かないだろう。序盤は2O2と加納さんが短調のメロディを演奏し、やがて森田さんが加わって主導し、他のふたりはそれに合わせている感があった。
●京都堀川丸太町「大粒の泪」にて、「CV-GATE 京都」2o2、森田雅章、加納佐和子(三者共演)_d0053294_16411282.jpg
 聴き始めて最初に思ったのはアルヴィン・カランの74年の作『SONGS AND VIEWS OF THE MAGNETIC GARDEN』(磁場庭園の歌と眺望)だ。カランの音楽は多彩で、アルバム1枚ではとても全体像はつかめないが、一言すればミニマル手法に特徴がある。『磁場庭園』は6曲がつながった50分ほどの組曲で、カランひとりがシンセサイザーその他の楽器を駆使して演奏し、即興ゆえに演奏のたびに各曲の長さは変わったようだ。半世紀前の同曲が日本の音楽家に影響を及ぼしたかどうかについて筆者は全く知らないが、当夜の三者による共演は音色の独特さと起承転結の明確さによって『磁場庭園』とは間接的にしろ、影響を受けている気にさせた。半世紀も経てば『磁場庭園』の手法が一般化することは当然で、また機材の発展によって同傾向の音楽はより簡単に演奏出来るようになった。それはヴィルトォーソをことさら必要としない音楽で、その意味ではミニマルに接近し、筆者の見る限りはライヴハウスで活動するミュージシャンに一群のカランの孫世代がいるように思える。ただしカランは楽譜を書き、さまざまな楽器を奏で、機器のダイヤルを回して音を発することを専門にはしない。当夜の三者の演奏は各人とも妙技を聴かせるソロ・パートはなく、通奏されるスティール・ドラムとスライド・ギターのうえに順次変化しながら被さるノイズ、そしてたまに吹かれるトランペットの朗々としたメロディで構成され、『SONGS』の片鱗と、『磁場庭園』ほどには鮮やかで直接的ではないが、明らかに意識された『VIEWS』はあって、『磁場庭園』にはない特質と面白さがあった。それは映像性の表現を意図しない音楽そのものの楽しみだ。そのことをよく表わしていたのは、曲後半で森田さんが機器を操作してリズムを出現させ始めたことだ。それは『磁場庭園』にはないダンス音楽の要素だ。森田さんはそのリズムに合わせて盛んに体を揺らして踊った。とすれば、そのダンス音楽的な部分が同曲のクライマックスで、森田さんがウンラヌに時に参加することがうなづける。狭い部屋なので彼ひとりしか踊れないが、もう少し広ければ馴染みの客は一緒に踊ったであろう。彼の陽気さは曲の最後でベルトを床に一度だけ強く叩きつけて演奏の終了を告げたことに最もよく表われていた。彼の演奏ではその儀式のような行為が必ず行なわれるのだろう。その場面で筆者はザッパを思い出した。観客をステージに上げて奇妙なダンスを踊らせ、時にはSM行為を連想させる鞭打ちもあった。音だけ聴けば森田さんの動きはわからず、ザッパとはどこも共通点がないように思われる。三者の共演はバンド名がないところ、当夜だけの試みであったか。他の知己が入ればまた違った楽しさが出るはずで、今後森田さんはそれを企画するだろう。当夜は録画されたので、YouTubeではもう投稿されているかもしれない。
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by uuuzen | 2022-06-22 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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