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●京都大宮高辻 Live&Salon「夜想」にて、武田理沙 with レザニモヲ
約を ケチと謗り ホームレス 今はケチケチ 爪に火ともす」、「丈だけで 利には差ありと 自惚れし 長身ホスト 調子よく生き」、「銚子には 濡れ煎餅の 土産あり 発想変えて 目立ちを競い」、「奇想には 寄贈の思い 寄り添いて 作と作者の 世界豊かに」



●京都大宮高辻 Live&Salon「夜想」にて、武田理沙 with レザニモヲ_d0053294_02054690.jpg
今月4日の夜のライヴは武田理沙さんの3枚目のアルバムのプロモートを兼ねてのものだ。筆者は彼女の2枚組のデビュー・アルバムとセカンド・アルバムの予告編のような3曲入りしか所有しておらず、またその2枚をじっくり聴き込む時間が持てないでいる。新作アルバムについてはライヴの最後の方で帰宅した松本さんからライヴ開始前に簡単な感想を聞いた。シンフォニックな仕上がりでヴォーカル曲を含まないとのことだ。ならばデビュー・アルバムの路線の延長かと想像するが、今回の2回に分けての彼女の計1時間のソロが、3枚目のアルバムのおおよその内容を示すものかどうかとなれば、彼女ひとりでシンフォニックな響きを再現することは無理で、彼女の音楽はアルバムとライヴとではそうとうな違いがあると考えたほうがいい。前回彼女のライヴについて書いた時、筆者は彼女が何か深刻な問題で悩んでいるのではないかと、まあ勝手な想像をした。話は飛躍するが、筆者は女性の表現者に関心があって、その理想形について筆者なりに思うことがある。ユルスナールのような同性愛者でない限り、若い女性が思いを寄せる男性との関係で悩み、それが作品に反映することは仕方がない。またそのことで作品に独自の魅力が付与されるとも思っている。久坂葉子が20歳で自殺したのは男性問題が理由であった。女性の表現者が男次第で作品が左右されると見ることは今では差別と取られかねないが、若い女性が男に関心があるのは自然なことだ。そのことで作品や人生が左右されることもそうだ。では2、30代の独身女性が芸術行為を目指すことは男以上に大変かと言えば、男も女に振り回されるので条件は変わらない。と言いたいところだが、女性は妊娠出産子育てがあって男とは違う大きなハンディを抱える。音楽家であれば同じ音楽を目指す相手と同棲や結婚している場合は珍しくなく、ライヴで見かける男女のデュオはたいていそういう関係と見てよい。武田さんに生活をともにする男性がいるかいないかは重要な問題ではないと本人は主張するかもしれないが、結婚すれば、また妊娠出産を経れば人生に対する考えが大きく変わることはあり得るし、ヴァージニア・ウルフのように精神を病まない限りは作家活動にひたすら邁進出来やすい。とはいえ今の若者は結婚願望が乏しく、また結婚しても離婚が多く、独身のままの女性芸術家が多くなっているかもしれない。同棲や結婚をしていなくても、心を許せる相手があれば同じという理由もあるだろう。しかし、よほどの経済力がない限り、そういう境遇で大成することは困難だ。
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 武田さんのCDをあまり聴いていないことにはひとつの理由がある。2枚組の1枚目はシンフォニックな響きで彼女の宇宙観をよく表していると思うが、パソコンの打ち込みによる電子音はフェイク感が露わで、聴き続けると疲れる。それは彼女のスタイルが楽音と騒音のさまざまな音色を一体化させつつ、音楽的に多弁、すなわち短い音の連打が凝縮しているからだ。同じ音楽を多人数の実演でやればどう聴こえるかと筆者は想像してみるが、そうなったところでクリシェに満ちるのではないだろうか。「クリシェ」はどこかで聞いたことのある音楽、つまり思いがするとの意味だ。彼女がドビュッシーを好み、西洋の絵画を好み、おそらく筆者があまり関心のないアニメにも魅せられていて、それらを貪欲に吸収して来ていることの消化段階に留まっていると言えば、30を過ぎている彼女の才能を過小評価することになるが、彼女の音楽から伝わる宇宙はどこか月並みな映画にふさわしい音楽を連想させる。そのチープさが露わであることを彼女が気づいていながら意識的にいわば攻撃的に一方で音楽を破壊しようとしているのかと、今回のライヴでも顕著であったノイズ中心の曲からは思う。また彼女のデビュー・アルバムの楽曲はどれも半分の長さ以下に縮めればもっと聴きやすく、同じことは今回のライヴでも思った。確かに彼女はどのような音階でも音色でも、何でも来いの天才性を持っているだろうが、先に書いた「クリシェ」の言葉を筆者は思い浮かべてしまう。膨大な種類と数の作品に接する一方で独自のものを表現することは、大なり小なりどのような表現者でも行なっている。そうして得た「クリシェ」をどう応用するか、あるいはそこから新たな表現方法をどう考え出すかで新しい芸術が生まれ続けて来ている。武田さんの音楽はさまざまな音楽の吸収の努力の痕跡が見えるが、筆者は音楽そのものを楽しむよりも、何か全然違う彼女の置かれている苦悩のようなものを常に感じる。そこで前述したように、男性問題で悩みがあるのかと以前は想像した。そうであるとして、そのことが彼女の才能の発揮とどう関係があるのかと言えば、繰り返すと筆者は大ありと見る。妊娠不可能な年齢に達せば、達観して純粋に音楽により邁進出来ると思うが、そう簡単な問題でもないかもしれない。それゆえ筆者は女性の表現者に関心があるのだが、そういう女性に個人的に接近したいとの意味ではない。女性が他者を感動させる表現を行なうとして、その奧にどういう生き方があるのかという謎を知りたいのだ。当然そこには簡単な言葉で言えば「愛」がある。「感謝」と言い替えてもいいかもしれない。それは人生を肯定的に捉えていることにゆえに保たれる精神で、それは「諦念」とはいささか違う。老若男女にかかわらず「苦悩」を経験するが、その裏に張りついているのが「愛」や「感謝」でなければ、作家は真に人を感動させ得ない。
 武田さんの音楽は映像を感じさせる。今回のライヴの最初の曲は天国から地上に降り立つような音の運びであった。映画音楽の作曲家に向いている気がするが、アニメがいいかもしれない。デビュー・アルバムの2枚目は題名が全部日本語で、1枚目と違って交響的響きよりもノイズを多用して短い映像詩を念頭に置いていると言っていい。とはいえYouTubeで音楽を発表する場合、その映像は彼女が自作すべきだろう。そうでなければイメージは彼女の望むものにはならない。だが彼女に明確なイメージがあるかとなれば、おそらくそれはない。そのことが彼女のノイズ音楽の源泉になっているのではないか。では心の中のもやもやを、とにかく最初の音を発し、その後はその音に関連させながら矢継ぎ早に奏でて行くことで解消すれば、即興演奏一丁上がりとなるが、今回のライヴではそのように演奏しているのではないかと思わせられた曲があった。そのことはたとえばチェーホフの若い頃の、題目が与えられればいかようにも短編を即座に書き上げた職人的才能と同じと言ってよいが、武田さんのノイズの即興に独自の言語があるかと言えば、つまり聴き手を唸らせるだけの個性があるかと言えば、楽音と同じ説得力を持つほどではないと感じる。奇妙で凝った、演奏困難な曲であることはわかるが、そういう音楽を求める彼女がよって立つところの思いが筆者にはわからない。彼女がどこかで発言したように彼女に「怒り」があるとして、それが何に由来し、どのように吐き出されるべきかとなると、ノイズの即興演奏が70年代のパンク音楽のように受容され得るだろうか。それがもし「怒り」に由来するのであれば、その音楽にはやはり安易ないし月並みな発想しか感じられないと筆者は思う。「怒り」の感情は制御しつつなおその奧で燃えたぎらせるものであるべきで、当然そのことを武田さんはよく知っているだろう。ところで、2作目のアルバムで彼女は歌詞を書いて歌った。表現の幅を広げる貪欲さは彼女の持ち味だ。歌詞を書いたことで絵画的なイメージは一定方向に収斂することになったが、一方で彼女の世界がより混沌としたと感じる。今回のライヴで彼女は口元にマイクをつけてハミングした。わずかに音程が外れたように聞こえる部分があって、その不安定さに彼女の位置を見る気がした。結局彼女はジャズのピアニストないしキーボード奏者として生きて行くとして、今は全くスイングのジャズの時代ではなく、また彼女の出発点は70年代のフュージョン辺りにあって、聴きやすいBGMにもなるような音楽が向いているのかもしれないが、そのように見定まったことに対する反逆ゆえに耳障りなノイズを一方で多用するのかもしれない。その意味ではパンクの洗礼も受けている。まだ30代だ。ジャズ畑で生きて行くにはアメリカに行くべきではないか。あるいは積極的に音源を海外のレコード会社に売り込むか。
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by uuuzen | 2022-06-16 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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