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●『第5回 野外彫刻展』
子舞を 家に呼び入れ 母頼む 吾の頭を 噛んであげてと」、「獅子舞の 人形飾り 吾想う 頭噛ませし 母の願いを」、「雨の中 地蔵黙して 笑むばかり 傘差す吾は 語らず笑まず」、「裏庭の 狭きに応ず 石仏を 欲しながらも 片隅を空け」



●『第5回 野外彫刻展』_d0053294_02481701.jpg
昨日書いた風呂敷展を見た後、美術館の敷地西側にある丘の庭園で開催中の野外彫刻展を見た。その前に雑談を書く。先月25日、天神さんの一巡した後、4月6日の時とは逆に北野天満宮から平野神社の境内に入った。花見の幔幕は撤去され、有料であった区域は筆者ら以外に誰もおらず、4月6日とは反対方向に歩いて西大路通り沿いの大きな朱塗りの鳥居をくぐって外に出た。そこから徒歩で堂本印象美術館に向かう途中、思っていた場所で昼を食べることにした。町家を改造したパンとケーキを製造販売する店で、商品陳列ケースのある出入口際から奧に2名用のミシン台を使った小さなテーブルが4つ並べる土間の部屋があり、わが家の裏庭と同じ面積ほどの光の差し込む庭に面している。2階はもっと広く、一度だけ利用したことがある。この店については10数年前にこのブログで紹介した。ランチは千円少々で、ワン・プレートの料理にパン食べ放題、牛乳、コーヒー、ジュースが飲み放題だ。斜め向かいが回転寿司店で、そこでは食べる気はせず、また200メートル西の立命館大学近くの中華料理店は大いに気に入っていたのにコロナ前に閉店した。つまり、他に入る店がないので半ば仕方なしに利用するのだが、雰囲気はよい。幸いテーブルはひとつ空いていて、他は女性のふたり連れが陣取り、また2階は女性たちのあまりに大きな笑い声が終始階下に響きわたっていた。彼女らはたぶん2、3時間は粘るのだろう。商売は上がったりだが、店としては早く出て行けとは言えまい。当日は1,2階とも満席で、男の客は筆者ひとりかと思っていると、筆者らが立ち上がって出ようとする直前、遠くから80歳ほどの男性が足元をふらつかせながら店に向かってやって来るのが見えた。予想どおりにその人は店に入って来てコーヒーを注文し、女性のふたり連れが出て行ったばかりの、筆者の斜め向かいのテーブルにひとりで着いた。近隣の人が気晴らしに利用しているようで、近所に喫茶店はないのだろう。空腹であれば家内も機嫌が悪くなるが、食べ放題のパンで満腹になると一気に改善する。断っておくと、パンは数種用意され、どれも一口サイズに切ってある。家内に言わせるとたくさん食べても丸っぽの2個ほどしか食べていないとのことで、飲み放題の飲料もスーパーで買えば安いものでそう何倍も飲めない。筆者の少々の不満はミシン台のテーブルがあまりに小さいことだ。それはともかく衣笠は京都でも高級な地域で、街並みは梅津や西院辺りとは全然違う。戦前は日本画家が衣笠、等持院辺りに多く住み、なるほどと思う。もちろん堂本印象もそうで、美術館の東の通り向いに邸宅が今もある。
●『第5回 野外彫刻展』_d0053294_02482951.jpg 本展は無料で、目の前の立命館大学の学生なら休憩時間に見るのにちょうどよいが、彼らのうちの何パーセントが美術に関心があるだろう。無料でも展覧会を見ない人は圧倒的に多数派だ。「風風の湯」の常連のFさんは毎日株式市場に注目しているのでなければあまりに暇だと言う。同様に暇を持てあましている高齢者も多いだろう。そう思えば寿命が短かった昔はよけいなことを考えずに済んでよかった。Fさんは趣味を持てなかったのは経済的余裕がなかったためと言う。それは言い訳に過ぎない。たとえば読書は図書館を利用すればお金は不要だ。筆者のこのブログも趣味と言っていい行為で、ネタ集めにほとんどお金を使わない。その意味で見栄の張り合いのインスタグラムは筆者向きでは全くないが、ブログに書かないだけで筆者なりに高額の買い物があり、今月は数十万円の品物を買うなど、最近散財具合がひどい。もっとも、キモノや屏風作品を作ると数か月は無収入のうえ、やはり数十万円の諸経費はかかり、しかも売れないので生活苦を我慢するというより、若者であれば援助者がいない限り、そもそも制作費が捻出出来ない場合は多い。つまり趣味はそれなりにお金が必要と主張するFさんは正しいが、それで諦める人は趣味を持つ資格がない。さて本論に入る。この美術館の庭で以前野外展示を見た。それは陶磁器の展示であった。雨に濡れて平気な作品をこの場所で展示することは京都で活動する作家にはありがたいことだろう。どのように作家の選出を行なっているのか知らないが、作家連盟に所属している人が優先、あるいはそういう人限定で、在野の作家は除外されているはずだ。筆者のような工芸家にも作家連盟はあるが、筆者はお呼びがかからず、ずっと在野で活動し、どこかの会に所属する気もなかった。所属すればしがらみがあることは誰でも想像がつくし、会が設ける賞もたいていは年功序列で、よほど目立つ才能と才覚がなければ秀でることは無理だ。才覚とは商才のことだ。政治力と言い替えてもよい。堂本印象が一代で個人美術館を建設するほどの経済的成功を得たことは、万にひとつの才能で、作画とは別の技量に恵まれていた。それは百年単位で作品を見た場合にはほとんど無意味だが、多作を経なければ名品を生み得ない事実は歴然とあって、多作であり続けるには経済力はある程度は欠かせない。話を本展に戻すと、チラシによれば京都彫刻家協会に所属する作家21名の作品が展示された。具象、抽象、素材もさまざまで、学生が作ったかと思わせられるものもあった。ひとり1点、しかも制限された狭い場所では才能の見極めは簡単ではない。作家の個性を知るには最低でも10点や20点をまとめて見る機会が必要だ。それでも各作家は本展の機会を喜んだはずで、作品は他者に見てもらってこそのものだ。またどの作家も自分の作品が一番目立ってよいと思っているだろう。
●『第5回 野外彫刻展』_d0053294_02485143.jpg
 一方、こうした空間に展示されることで見えて来ることもある。また万にひとつの可能性として、作品をほしいと言う人もあるだろう。作ることとは別にいかにしてそれを売るかという問題にどの作家も晒されている。絵画とは違って置き場所に困る彫刻はほしい人が限られ、大きな作品を得意とする人は売り先を見つけるのが大変だろう。それゆえ経済力のない人は彫刻家を目指さないのではないか。モジリアニがいい例だ。彼は石材が買えずに画家に転身した。その意味から彫刻家は画家よりも位が上との意識が強いと思う。筆者の知り合いの仏師のOさんは二次元の絵画は限界があるが、三次元の仏像、彫刻は現実に即した表現と言う。二次元であるから三次元の現実をどう描くかという、面白みも鑑賞もあると筆者は思うが、彫刻家とは話が噛み合わないだろう。また彫刻はどれもが野外で展示可能かとなれば、木製の仏像はそうではない。となれば場所を限らない石仏のほうが上と言えるかとなれば、それはまた話は別だが、本展は京都府が所有する野外の庭を利用した企画で、濡れては困る木彫りは除外される。またFRPは鋳造より安価で制作出来るから、今は彫刻の製作の敷居は高くないだろう。本展では2枚目の下の写真のB玉を透明容器に詰め込んで組み立てた作品があって、彫刻にもレディメイドを使う考えが見られるが、デュシャンの小便器をそのまま展示した「泉」はその点でも先駆的な彫刻作品であったと言える。ミニマルやコンセプチュアルの彫刻を作る作家が京都彫刻家協会にいるかとなれば、本展を見る限り、伝統的な作風が目立ち、やはりそれなりの作家間の暗黙の了解、しがらみが垣間見える。冒頭の歌に書いたように、筆者は人形しかも伏見人形が好きでたくさん所有している。人形も彫刻の一分野ではあるが、工芸の分野で「人形」に分類されている。また多くの技法があり、素材も豊富な点は彫刻と同じと言っていい。本展では現在の流行と言えばいいか、「作品が気に入った人は表示されているQRコード云々」という表示を見かけた。作者と直接につながり得る仕組みで、作者の思いが文字でわかるページに誘導されるのだろうか。スマホを持たない筆者には介入出来ない、つまり理解出来ない作品があるということだが、それだけ本展は若手作家が中心に選ばれているはずで、それはとてもいいことに思う。最初の写真は右端が黒の御影石による帽子状の作品が面白い。遠くに白い三人の女性像がある。石膏のように見えるが、素材は何だろう。2枚目の上は本物の椿の花が地面に落ちているように見え、これは陶製であろう。3枚目の左は少女と鳥で、デジャヴ感はあるが素朴さは好感が持てる。右は手前の犬が本物っぽいが、市販品の陶製置物にはない形姿がミソということか。奧の跪いて祈る白い少女像も既視感があるが、やはり素材は何かと思わせる。
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by uuuzen | 2022-06-05 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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